セミ | Sono's

Sono's

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 窓を開けると「ツクツクボウーシ」という鳴き声が聞こえた。
これが聞こえると夏は後半に突入したという知らせなのだそうだ。
つい先日まで毎日ジワジワジワ・・・という鳴き声だけが聞こえていた。
たくさんのセミが一斉に鳴くから、ジワジワジワ・・・が永遠に続いているように聞こえ、
休憩しないのだろうか、ずっと鳴き続けて疲れないのだろうか、と思うのだが
よくよく聞くと途中で鳴き止んでは、また鳴いている。しかし、ジワジワジワ・・・
という抑揚のない鳴き声はどこまでも続いているように聞こえる。

 子供の頃、カナカナカナカナカナ・・という「ひぐらし」の鳴き声を聞くと、
ああ、夏が終わった、と思ったりしたが、特に夕方に鳴いていたため、夏が終わると
同時にその日一日が終わった・・・という気持ちになった。カナカナカナカナカナ・・・と
時折思い出したように鳴き、そして、大抵1~2匹だけが静かに鳴いていたと
記憶している。だから、ひぐらしの鳴き声は哀愁が漂っていて好きだった。
 ところが、数年前に夏でも気温の低い山でキャンプをした時のこと。
すぐ近くで大量のひぐらしが一斉に大声で鳴き始めた。一体何匹いるのだろうか、と
思うほどの大合唱で目が覚めた。そう、夕方ではなく、早朝に鳴いていたのである。
ひぐらしは早朝と夕方だけ一斉に鳴き、そして、それ以外の時間帯は全く鳴かないことが
分かった。大量の「カナカナカナカナカナ」は、まるで賑やかなパーティーのようだった。
その時以来、長年思い出の中にあった哀愁は消え、ひぐらしの鳴き声を聞いても
子供の頃に感じた寂しいような気持ちはどこかへ行ってしまった。

 もう夏も後半なのか・・・今年は比較的涼しくて過ごしやすいが、毎年あまりの暑さに
早く夏が終わればいいのに、と思うのだが実際に終わると、どうしてだか寂しい気持ちになる。
そして、秋になるとセミの鳴き声は聞こえなくなる。