バターが欲しい | Sono's

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 いつもバターを買うお店が最近いつ行っても閉まっている。
バターはスーパーにも売っているけれど、製菓材料店で業務用バターを
買う方が割安だし、ミルクの香りがいい。それに、私はよくお菓子を作るから、
スーパーの200gのバターなんてすぐになくなってしまう。
 お店は家から少し遠いところにあり、平日の朝に行くと、いつも料理教室の
最中で複数の人たちが料理をしているが、教室と言っても普通の家庭の小さな
昔ながらの古い台所で、その丸見えな台所で皆さんが料理をしている。
その手前にほとんど商品の並んでいない棚があり、その奥に業務用の大きな
冷蔵庫がある。そこにバターが入っている。店長とおぼしきふっくらコロコロした
女性がいつもバターを新聞に包んでくれるが、商売気は一切なく、ここに製菓材料を
買いにくる人が私の他にいるだろうかと思うほど商品が棚に並んでいないし、
賞味期限は大丈夫だろうかと思うほど、いつ行っても棚の商品は減ってもいない。
でも、最近まで料理教室は一応賑わっていたし、バターは新鮮だった。
しかし、最近いつ行ってもシャッターが閉まっている。だから、とても困っている。
もうそろそろバターを買わないと、バターの在庫がなくなる。バターが家にないと
作るケーキの種類が極端に限定される。ほかのもっと本格的な製菓材料店を2店舗
知っているが、家から遠いだけでなく、ちょっと高い。通販で買うことも以前はしていたが、
送料のみならずクール便代がかかってしまい、それなら近所のスーパーで普通の
バターを買う方が安い。
 私は時々夢を見る。家の隣に製菓材料店がある。種類が豊富でチョコレートやら
ナッツ類から果物のピューレまで何でも揃っていて、値段が手頃。
製菓材料の他、道具も売っている。一般的なものから特殊なものまでないものはない。
もし在庫切れでもさっと取り寄せてくれ、隣だからいつでも買いに行ける。
今日は今から用事で出かけるけど、一応お店をのぞいてみるつもり。
シャッターが閉まっていませんように。





~1h later ~

 用事が済んで、いつものお店をのぞくと、シャッターが開いていた!
今日は珍しく料理教室は開催されていなかった。最近ずっとシャッターが閉まって
いたのは週末や平日の午後だったことを思い出した。それで初めて店主に話しかけた。

私「週末はお休みなのですか?」
 「いや、一応金曜が定休日です。」
私「午後はお休みなのですか?」
 「う~ん、午後5時で閉めるから・・・」バターを新聞に包ながら彼女は答えた。
私「最近ずっとシャッターが閉まっていたからどうしたのかなぁ、と思っていたのです。」
 「ええ、そう? ずっと開けてたよ~。」

この店主には時計とカレンダーが必要なんだ。