第123日:ハフッハフッチュルルッ!「空母『蒼龍』の『チャンポン』」 | 海軍メシときどき現代メシ

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旧日本海軍で出ていた料理にハマった自称:漂流絵師が、実際に
各艦艇で出された海軍メシを食べながら、そのレシピとエピソード
を紹介するブログです。ときどき、現代の食事も食べます!

皆さんこんばんは!
漂流絵師(自称)鳳翔太郎です。

 

いやもう、シャレにならないくらい寒い毎日が続いていますね。

 

関東の方は、雪こそ降ってはいませんが、朝は氷点下だし、日本海側はえらい事に

なっていますね。

 

寒いとねぇ…肝臓が疼いて、体に力が入らなくなるんですよ。何か、例年以上にキツイです。

 

そんな感じで、先週末は肝臓が疼きに疼いて、机に向かうどころではなく、布団の中で

グッタリしてました。(ついでに、某アプリゲーでせっせとチョコ作ってたり…)

 

グッタリはしていましたが、先日、いい資料を手に入れたので、その本を読んでいました。

 

その本は、主計科員として重巡洋艦「利根」に乗っていたという料理界の重鎮が書かれた自伝で、

本来は身内だけに配った非売品だったのを、在庫があるという事で、運良く手に入れる事が

出来ました。

 

料理人の一代記として読んでも面白かったですが、「利根」での食事事情について、貴重かつ面白い

ネタがいくつか手に入りました。いずれ、機会を見て、紹介したいと思います。

 

さて、今回のお題は

「空母『蒼龍』の『チャンポン』」でいこうと思います!

 

寒い日にチャンポンっていいですよねー。と言っても、このネタを思いついたのは、つい先ほど

近所のファミマに行ってきた時なんですけどね。いや、チャンポン風スープなんて売っていたので、

「そういやぁ、海軍でもチャンポンネタがあったな」と思いついた次第で。

 

さて、料理の解説の前に、空母「蒼龍」の解説をば。空母「蒼龍」は、蒼龍型空母の1番艦として

建造された、日本海軍の中型空母です。

 

「蒼龍」以前に日本海軍は「赤城」と「加賀」を建造していましたが、この2艦は建造途中で
転用された空母なので、この「蒼龍」はこれまでのノウハウと最新の艤装を施された日本初の

本格的空母と言えます。

 

広い甲板と、軽巡洋艦と同等の高速性能を併せ持ち、僚艦となる「飛龍」や、その後の空母建造に

大きな影響を与える事になりました。

 

昭和13年(1938)に第二航空戦隊(通称:二航戦)に編入され、真珠湾攻撃では二航戦の旗艦として

参加。大戦果を挙げます。

 

その後ウェーク島攻略、ポートダーウィン空襲、セイロン沖海戦と転戦し、栄えある「南雲機動艦隊」の

中核を為す艦として、その名を轟かせます。

 

しかし、栄枯盛衰は世の常、「無敵」と呼ばれた機動艦隊も、その栄光の座から落ちる時が

来ました。そして、それは「蒼龍」最期の時でもありました。

 

運命の日、昭和17年(1942)6月5日――。

 

日本海軍は太平洋のある一つの島を囮に、米軍の機動艦隊を一気に叩こうとしました。そう、

「ミッドウェー海戦」です。

 

戦いは日本軍の勝利に終わる―初めは、誰もがそう思っていました。確かに、彼我の戦力差を

考えると「負けようがない」戦いだと予想されました。

 

しかし、周知されているように、日本軍の慢心とミスにより、戦いは、日本軍の惨敗に終わります。

 

低空の敵を警戒するあまり、上空哨戒がおろそかになった隙を突かれ、「蒼龍」は「赤城」「加賀」と

共に敵の急降下爆撃を受け、装備換装中の爆撃機や爆弾に誘爆し、大爆発!!

 

乗員が脱出した後もしばらくは漂流していましたが、やがて再度爆発を起こし、艦長や多くの

乗員たちと共に深い海の底へと沈んで行きました。

 

 

そう言えば、この時の「蒼龍」艦長は柳本柳作大佐だったのですが、この柳本艦長はちょっと変わった

人で、艦内では一人で壁を向いて写真を見てニヤニヤしている事があったそうです。で、部下の

一人が「女かお子さんの写真でも見てるのかな」と思って覗き込んでみると、見ていたのは、

撃沈した敵艦の写真でした。

 

ドン引きですよ!

 

ゲーム「艦これ」においては、元気そうな見た目の通り、性格も明るく活発なキャラとして描かれて

いますが、「ミッドウェー?なにそれ、美味しいの?」と都合の悪い事はすぐに忘れようとする

傾向にあるようです。

 

さて、今回紹介する「チャンポン」ですが、昭和14年4月18日の昼食として、実際に「蒼龍」艦内で

出されたメニューです。ちなみに、2合のどんぶり飯(麦飯)とセットです。

 

そのレシピですが…前回同様、各時代の海軍の調理教科書には、記載はありません。そこで、

これも前回同様、蒸気がまを使った副食調理標準要領を参考にして、紹介したいと思います。

 

それでは、レッツクッキング!

 

【空母「蒼龍」の「チャンポン」】
材料(2人分)

・乾うどん(出来れば細打ちのもの):2束 ・牛肉:200g ・玉ねぎ:1個  ・モヤシ:1袋

・中華スープ:2カップ ・塩:適量 ・胡椒:適量 ・ラード:少々

 

①鍋に湯をわかして、うどんを茹でる。

※くっつかないように、箸で混ぜながら、お好みの固さまで茹でる。

②深めのフライパンにラードを溶かし、牛肉を入れて炒める。

③牛肉の色が変わった段階で、切った玉ねぎと①で茹でたうどんを入れる。

④モヤシを入れる。モヤシと玉ねぎから出た水分で、少し煮る。

⑤スープを入れて、塩と胡椒で味を付ける。

⑥ひと煮立ちしたら、完成!!

 

現在、巷で出回っているチャンポンと比べると、何とも地味ですね。まぁ、色味的に寂しかったら、

お好みでキャベツやニンジンを加えてもいいと思います。

 

しかし、肉が豚肉じゃなくて牛肉ってのは、なにげに新鮮…。

 

《どう、提督?美味しい?美味しい?》

 

見た目は地味だけど、これはこれで美味い!!

 

ちなみに、あの当時は専用のチャンポン麺は存在しておらず、海軍では乾うどんを使うのが標準

だったようです。ラーメン玉にしても、「中華うどん」という名で、製法も通常のうどんとほとんど

変わりませんでした。

 

でも、麺がうどんでも、食ってみるとちゃんと「チャンポン」なんですよね。何か、それが妙に

面白かったりして(笑)

 

というところで、今回はこれにて!!

 

《参考資料》

・「艦内新聞集成 第11巻」(不二出版)

・「写真で見る海軍糧食史」(藤田昌雄 潮書房光人社)

 

・「カラー版 日本の軍艦完全網羅カタログ」(「歴史の真相」研究会 宝島社)

 

・「第二次世界大戦紳士録」(ホリエカニコ ホビージャパン)

 

 

 

 

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