第122日:いつの時代でもゴチソウさ!「戦艦『陸奥』の『すき焼』」 | 海軍メシときどき現代メシ

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旧日本海軍で出ていた料理にハマった自称:漂流絵師が、実際に
各艦艇で出された海軍メシを食べながら、そのレシピとエピソード
を紹介するブログです。ときどき、現代の食事も食べます!

皆さん、こんにちは!

最近バターコーヒーにハマってる漂流絵師(自称)鳳翔太郎です。

 

早いもので、1月も今日で終わり。ローソンの「艦これ」フェアも始まりましたが、近所の

ローソンでは取り扱っておらず、(´・ω・`)ショボーンな状態です。早くもヤフオクなどでは

転売ヤーが転売を始めましたが、いくら何でもあんな値段で買えるか!ヽ(`Д´)ノプンプン

 

そう言えば、最近は「島風」や「長波(らしき残骸)」、そして「比叡(っぽい?)」が見つかるなど、

日本海軍ファン&艦これ提督には嬉しい情報が続々と入ってきてますが、当ブログ的には、

残念ながら、ネタが無いんですよねぇ…。

 

「島風」ネタはあるにはありますが、「サイパンから民間人の一部を内地へ輸送した時、汁粉を

配ったけれどダダ甘で、『いっそ、お粥にしてくれ』と苦情が出まくった」というメシマズネタしか

無いんですよね。まぁ、「艦これ」のキャラと比べると、実にらしい話ではありますが。

 

さて、相変わらず日本全国で寒いニュースばかりが報道されていますが、こういう時は温かい

食べ物を食べたくなるもの。特に鍋物はいいですよねー。福岡出身者としては、「水炊き」や

「もつ鍋」を思い浮かべますが、やはり日本人として外してはいけないのが、ズバリ「すき焼き」

ですよね。

 

熱々のお肉や野菜を卵につけて…なぁ~んて考えると、口の中に唾が溜まって、たまりません!

 

と、いう事で、今回のお題は

「戦艦『陸奥』の『すき焼』」でいこうと思います!

 

戦艦「陸奥」は、長門型戦艦の2番艦として建造され、世界の七大戦艦(ビッグセブン)の一角として

姉妹艦の「長門」と共に、日本海軍の象徴として、長らく愛されてきました。

昭和の初めには、観艦式のお召艦も務めています。その時の献立は記録に残っており、同人

作品「居酒屋鳳翔まかない記」でも紹介されています(同人誌第四集に収録)。

 

大東亜戦争が始まると、日本海軍の主力として活躍…はできませんでした。

 

ミッドウェー海戦をはじめとする数々の戦いに、主力部隊として参加していますが、後方の部隊に

配属されていた為、直接戦闘する機会には恵まれませんでした。

 

栄光のビッグセブンとして世界にその勇名を轟かすも髀肉之嘆をかこつ「陸奥」でしたが、その

最期は、あまりにも突然に、そして思いがけない形で訪れます。

 

昭和18年(1943)6月8日午後12時10分過ぎ、訓練の為に柱島に停泊中に火薬庫が大爆発を

起こし、「陸奥」は沈没してしまいました。

 

原因は70余年を経た現在でも、詳しくはわかっておりません。人為的なものであると言われていますが、

諸説ふんぷんで、その最期は謎に包まれています。

 

国民に親しまれた戦艦の謎の爆沈は、戦後まで隠され続けました。

 

 

ゲーム「艦これ」では、武人然とした姉の「長門」に対し、優しい性格で落ち着いた雰囲気をもつ美女

として描かれていますが、提督(プレイヤー)を色っぽく挑発するような、ちょっとエッチなお姉さんな

面も持っています。愛称は「むっちゃん」です。

 

史実では不幸な最期を遂げた為、「運」の初期ステータスは3と低くなっています。「不幸姉妹」と

呼ばれている「扶桑」と「山城」よりも低いです。(この二人は、5です)

 

《あらあらあら…》

 

さてさて、「陸奥と長門は日本の誇り」と国民に長く愛されてきた「陸奥」ですが、食事に関しての

記録は思った以上に残されていません。

 

「陸奥」を扱った資料は、乗員の文集にしろ、専門書にしろ、謎の爆沈に多くのページを割いており、

普段の「陸奥」の様子は予想以上に語られていません。

 

今回のネタは、「陸奥」の艦内新聞が出処ですが、この艦内新聞で、一時期ではありますが、

「陸奥」の食生活の一端を知る事ができます。

 

今回の「陸奥」の「すき焼」が出たのは、昭和13年1月28日。昼食として出されています。

 

どんな「すき焼」だったのか、早速見てみましょう。レッツクッキング!

 

【戦艦「陸奥」の「すき焼」】

材料(2人分)

・牛ロース肉(薄切り):150g ・玉ねぎ:2個 ・モヤシ:1袋 ・豆腐:1丁

・醤油:適量 ・砂糖(あるいはザラメ糖):適量 ・ごま油:適量

 

①熱した鍋に、ごま油を引く

②牛肉を入れる。

③砂糖を入れて、牛肉を炒める

④醤油を入れる

⑤玉ねぎとモヤシを入れて、その水分で煮る

⑥最後に豆腐を入れて、ひと煮立ちして完成!

⑦溶いた生卵を絡めて召し上がれ!

 

資料を読んでいると、日本海軍では、よく「すき焼き」が食べられていたという記事を散見しますが、

実は「すき焼き」の作り方は明治、大正、昭和期いずれの調理教科書にも書かれていません。

 

今回のレシピは、昭和初期に書かれた、艦内に設置された蒸気釜での「副食調理要領」を参考に

しています。

 

書かれていない理由は、ポピュラーな食事だからなのか、それとも別の理由か、残念ながら

現時点ではわかりません。

 

ですが、割り下を使わない「関西風」が標準であった事は、うかがい知れます。また、煮るための水分を確保する具材に、白菜ではなく、比較的保存のきく玉ねぎや豆腐、そして艦内で生産できるモヤシを
使う辺りが興味深いです。

 

昭和7年発行の「海軍研究調理献立集」には、豆腐の代わりに、卯の花を使ったバージョンが記されて

います。

 

当時、「すき焼き」はゴチソウであった様で、士官たちが集まってすき焼きをする時は、「夕食会」では

なく、わざわざ「すき焼き会」と呼んでいた、とも資料に書かれています。

 

また、艦種を問わず、「すき焼き」は日本海軍の将兵にとって、「カレー」や「肉じゃが」と同じく

人気のあったメニューでした。

 

牛肉が一般的には使われていますが、戦艦「長門」ではウサギ肉で、水上機母艦「瑞穂」では鶴の

肉ですき焼きが作られた記録が残っています。

※現在、鶴は絶滅危惧種ということで、ごくごく一部を除いて世界的に狩猟禁止になっています。

 

さて、長々とウンチクを書いてきましたが、これからも寒い日が続く事ですし、日本海軍将兵へ

思いを馳せつつ、海軍風すき焼きをつついてみるのも一興ではないでしょうか。

 

と、いうところで、今回はこれにて!

 

《参考資料》

・「艦内新聞集成 第5巻」(不二出版)

・「写真で見る海軍糧食史」(藤田昌雄 潮書房光人社)

・「戦艦大和の台所 海軍食グルメ・アラカルト」(高森直史 光人社)

・「戦艦長門の生涯」(阿川弘之 新潮社)

・「海と空と友と」(珊瑚会編 非売品)

・「カラー版 日本の軍艦完全網羅カタログ」(「歴史の真相」研究会 宝島社)

・「居酒屋鳳翔まかない記」(同人作品 路地裏の浪漫堂さん)

https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=67027474

 

 

 

 

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