ーあの日…貴方と顔を合わせたのが私じゃなかったら…きっと今でも…私と貴方はただのクラスメイトのままだった…。
ー貴方があの日…あの場所にいた理由…。あの時の私には分からなかったけど…今なら分かる…。
貴方の気持ちが…。
ー貴方が心の奥底に秘めていた気持ちが…。
アリス「では、4月●日19時から5名様にて予約を承りました。オーナーに確認しましたところ多少の人数の変更であれば当日でもご連絡頂ければ大丈夫とのことです」
「無理を言ってしまってすみません。ありがとうございます」
母が営んでいるカフェにある日貸し切りの予約が入った。
アリス「高校時代のご友人との会食ですよね?皆さま久しぶりに集まるんですか?」
「地元に残った友人達とは頻繁に集まるんですけど…1人…なかなか仕事の関係で会えない友人がいて…」
アリス「そうなんですね!じゃあその方もきっと集まる日を心待ちにしていらっしゃいますね!」
アリス「予約の人数は一応5名だけれど、もしかしたら1人は来れないかも…だって!」
カフェの調理はオーナーである私の母が担当している。
母の作るメニューはリピーターも多く、評判も良い。
エマ「ここってアルコールの提供はしてないけどいいのかな??集まるの夜からなら、皆さん本当は飲めるお店に行きたいんじゃ……」
アリス「車でいらっしゃる方もいるみたいだから、飲まないんですって」
エマ「そうなの?」
アキナ「何回か貸切予約入ったことあったけど、軽めの送別会とか…忘年会とかそんな感じだったわよね?同窓会っていうのは初めてかも!」
アリス「今回久しぶりに参加される方の希望でここを選んで下さったみたい!」
エマ「その方ここに来てくださったことがあるのかしら??」
アリス「その方の仕事の後輩さんがうちのカフェをオススメして下さったみたい」
エマ「へーー?」
アリス「その日、本当はシフトじゃないのに…💦ごめんね、アキナちゃん」
アキナ「何言ってるの🎵久しぶりの貸切だもん!私、今から気合い入ってるわ!!」
先程予約を入れて行かれたお客様は数ヶ月程前からこのカフェに通って下さっている。
綺麗な人で人目を引く存在だった。
エマ「今回はアリスもママと厨房に立つのよね!」
アキナ「アリスちゃんも!?」
アリス「ええ!まだメインどころは無理だけど」
アリス「でも初めてなの!厨房に立たせてもらえるの」
小さな頃から料理の世界に興味があった私の夢は…料理人として、いつかこのカフェを引き継ぐことだ。
アリス「頑張らないと……!!」
ー貸切予約当日ー
メイ「ナオミッて本当に背が高いよねー!5センチでもいいから分けてほしいっ!」
ナオミ「5センチと言わず10センチでも15センチでも持っていってほしいわよ!」
サラ「ちょっとでいいから顔出してみない?あんたに会いたいってあの子も言ってたわよ?」
【高校の同級生の集まりに何で俺が行くと思うんだよ】
サラ【あら!あんたもよく知ってる顔ぶれよ?覚えてない?ナオミとメイ】
「…覚えてない。仮に覚えてたとしても行かねぇよ」
サラ「相変わらずツレないわねー。昔は結構仲良くしてたじゃない、あんた達」
【いつの話してんだよ、あんなのガキの頃の話だろ】
「用がそれだけならもう切るぞ」
サラ【ちょっとあんた!】
「じゃあな」 プツン
ナオミ「だから言ったじゃん(笑)来るわけないって(笑)弟くんだって気まずいでしょ?アタシ達と一緒じゃさ」
サラ「最近益々可愛くなくなってきたわ、アイツ」
メイ「そりゃ年頃の男の子に可愛さを求める方が酷じゃない?(笑)」
ナオミ「確かに(笑)」
メイ「今弟くんっていくつだっけ?」
サラ「16!4月で高2になったわ!」
メイ「うわー💦私らが年取るわけだわ💦」
メイ「高2っていったら、あの時のあの子と同じ年頃かーー…」
サラ「……そうね…」
ドアの開く音
アリス「いらっしゃいませ!お待ちしておりました」
ナオミ「こんばんはー!!」
メイ「今日はよろしくお願いしまーす」
サラ「今日は無理を言ってしまってすみません」
アリス「いいえ!とんでもないです」
アリス「今日はお一方はお仕事の都合で後から…もう一方はご都合がつかず…と、いうことでしたが…」
サラ「ええ。…まあ仕方ないかもしれないわね」
アリス「え?」
サラ「私の弟なんです。"都合がつかない"って断られたの」
アリス「…弟さん?」
サラ「久しぶりに会う友人が弟に会いたがっていたので、ダメ元で声をかけてみたんですけど(苦笑)」
サラ「色々難しい年頃だから」
アリス「弟さんはおいくつなんですか?」
サラ「16歳です。この4月で高校2年生なんです」
アリス「じゃあ私と同じなんですね!」
サラ「直前になって色々バタバタしてしまってごめんなさい。今日はよろしくお願いします」
アリス「こちらこそ宜しくお願い致します。ではお飲み物から順番にご用意させて頂きますね」
ナオミ「これ…グラモホーンの蓄音機だわ。もう手に入らないからめっちゃ貴重なやつだよ。これ」
メイ「へぇー!そうなんだ!ナオミ詳しいわねー!!」
ナオミ「職業柄ね〜」
ナオミ「今日ってあの子仕事なんでしょ?大丈夫なの?今更だけど」
サラ「今日はこの辺りで撮影らしいから仕事終わりでも車飛ばせば間に合うって言ってたわよ」
エマ(…撮影?後から来る方って…カメラマンとかなのかな??)
メイ「大変そうよね。雑誌やメディアで見ない日はないし…。今や超売れっ子だもんねー」
アキナ「?売れっ子って何かしら?」
エマ「もしかして専属のスタイリストさんとか?」
「ここよね??ナビの通りに運転してたのにな〜💦結局道に迷っちゃった💦」
「皆に会うのも久しぶりね!」
「ごめんね!!遅くなっちゃった!!」
メイ「あ!来たきた〜💕」
ナオミ「おつかれ〜〜!」
アリス「いらっしゃいませ!」
……綺麗な人……背が高くてスタイルがよくて…まるでモデルみたい……
アリス(……え?…え!?待って?待って?この人……)
エマ(!?あれ!?この人…この人って!!)
アキナ「あ!!!ニ…ニ……」
サラ「久しぶり!お仕事お疲れ様!」
サラ「元気だった?ニナ!」
ニナ「ご覧の通り(笑)元気にやらせてもらってるわ!」
アリス「……あの人って…モデルのNINA…よね?」
エマ「…あの?今人気No.1のモデルのNINA?」
アキナ「え!?ど、どうしてNINAがここに!?」
エマ ハッ「まさか!!ここを勧めてくれた仕事の後輩って…ジュリのことなんじゃ!?」
アリス「!?ジュリってまさか!あのジュリ!?」
※ドラマの一場面より抜粋
アキナ「!!もしかして少し前にここで雑誌の撮影だって来てたモデルの人!?NINAと同じ事務所の後輩っていう…」
3人(スッッゴイ人が来ちゃった……!!!)
…この時の私は夢にも思っていなかった。
私なんかじゃ到底手の届かない雲の上のような存在の人を……
強く意識することになる…ということを…。
to be continued