鵜殿駅・北越紀州製紙の専用線跡(三重県紀宝町鵜殿地区。2016年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回は、紀勢本線の三重県最南端の駅で駅である鵜殿駅から分岐し、熊野灘沿いの鵜殿港近くにある北越紀州製紙紀州工場との間を結んでいた、
北越紀州製紙専用線の廃線跡を簡単に紹介します。

  

専用線の開業時期は分かりませんが、1976年の時点で専用線は存在していました。主に紙製品の発送に使用され、工場で使用する化学薬品の入荷にも使用されていたそうです。貨物列車ですが、当初は有蓋貨車(ワムか?)で製品を輸送していましたが、1994年10月にコンテナ化されました。発送先は東京でした。また、専用線内では小型のディーゼル機関車が使用されており、国鉄~JR線内ではDD51形ディーゼル機関車が担当していました。2008年までは荷坂峠を越えるために重連で貨車を牽引していました。

  

しかし2013年、北越紀州製紙が貨物列車から船舶による輸送に切り替える事になり、切替直前の3月15日発の便をもって貨物列車の運行が終了しました。専用線の廃止時期は定かではありませんが、この時に事実上休止状態になったと言っても良いでしょう。
また、鵜殿駅は臨時車扱貨物駅としての機能は残されましたが、3年後の2016年4月1日には紀勢本線の亀山~鵜殿間において貨物営業が廃止され、同時に貨物駅としての鵜殿駅は廃止となりました。

  
  

今回は鵜殿駅~北越紀州製紙紀州工場の順に廃線跡探訪レポートを超簡単に紹介致します。

  

尚、専用線の総延長は約2kmと思われますが、その大半が工場敷地内にあり、当然ながら探訪したのは工場敷地外中心でした。
また、調査が不十分なことをお詫び申し上げますm(_)m

  
  

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(Mapion地図を使用)  

  
  

路線名   区間   工場外の延長  備考  
北越紀州製紙:専用線  鵜殿駅~北越紀州製紙紀州工場  約0.5km   2016年廃止?  
(※)全線単線、非電化。軌間1,067mm。     

  
  

探訪・撮影時   2016年11月  

  

  

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(1)鵜殿駅ホームにて工場方・新宮方を望む。
鵜殿駅には貨物列車用の側線が複数ありましたが、現在は使用されていません。
レールは残存していますが、錆びています。草も生えています。


 

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(2)鵜殿駅の構内踏切より工場方・新宮方を望む。
一番左側の線路が専用線跡ですが、草が生えて先が見えません。


 

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(3)鵜殿駅を出て迂回し、駅の南側にある踏切へ出ました。
工場方・新宮方を望む。
右側の線路が紀勢本線、左側、そしてさらに左側にある、草が生えている線路が専用線跡です。
この先で左側の2線が合流して紀勢本線から分岐します。正面に北越紀州製紙紀州工場の煙突が見えます。


 

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(3)上記の踏切より鵜殿駅を望む。
右側の線路の他、真ん中の線路が専用線跡から紀勢本線の鵜殿駅1番線に合流していました。
ポイントは既に撤去されています。


 

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(4)紀勢本線から分岐後、専用線跡には車止めがあり、レールが途切れます。


 

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(5)車止めの先ではレールが撤去されて隅に置かれています。枕木はそのままです。
そして国道42号線との踏切に差し掛かりますが、この部分は整備されて痕跡はありません。
但し、道路脇を見ると踏切用に設置されていた柱の基礎部分が若干残存していました。


 

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(6)国道42号線と交差後は、北越紀州製紙紀州工場へ向かう道路と並行して専用線跡が通っていました。
バラストのみが残っており、草が生えています。


 

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(7)しばらく歩くと神内川を渡りますが、鉄橋は残存していました。


 

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(8)鉄橋を下流側の道路より望む。


 

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(9)鉄橋の南側より鵜殿方を望む。


 

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(9)上写真とほぼ同一地点より工場方を望む。専用線跡は更地になっています。


 

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(10)さらに歩くと、正面に北越紀州製紙紀州工場の入口が見えてきます。
この付近で専用線跡は二手に分かれていました。どちらの線路も北越紀州製紙紀州工場の構内へと入っていました。


 

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(11)分岐部にて。右側へ分岐する廃線跡ですが、道路との交差部はアスファルトで埋められています。
専用線跡部分の工場入口には扉があります。貨物列車の運行時のみ開けられていたのでしょか。


 

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(11。敷地外より撮影)左側へ分岐した線路は工場内でさらに分岐しており、ポイント部のレールが残存していました。
そして左側へ分岐した線路沿いにはプラットホームがありました。


 

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(11)工場入口より鵜殿方を望む。右側の空地が専用線跡です。

  
  

(おしまい)  

  

  
廃線跡探訪の注意点  

私が北越紀州製紙紀州工場の専用線跡を探訪したのは2016年11月の1度きりです。鵜殿駅付近のレールや神内川の橋梁が遺構として残っていましたが、他の部分はほぼ撤去されており、残存している遺構も時間の問題かもしれません。
鵜殿駅~北越紀州製紙紀州工場の距離は約500mで、30分あれば徒歩でも往復探訪できますが、鵜殿駅を発着する列車(普通列車のみ)の本数は少なく、探訪には注意が必要です。尚、駅目の国道42号線旧道には三重交通の新宮へ向かう路線バスが1時間間隔で走っており、新宮を拠点にバスも組み合わせる行程も有効です。

  

食料・飲料について、駅近くにヤマザキショップやスーパーがあり、最低限のものは揃えられます。むしろ新宮駅付近より店舗が充実しています。時間に余裕があれば事前に用意しなくても大丈夫でしょう。

  

名古屋や大阪からは相当遠いですが、紀伊半島をご旅行の際はぜひ一度専用線跡も歩かれてみて下さい。

  

  
接続路線  

接続駅   接続路線  
鵜殿駅   JR東海:紀勢本線  
  
(参考:地理院地図、Googleマップ、Wikipedia)