第1424回「海底軍艦 デアゴスティーニ版」(東宝特撮映画) | 新稀少堂日記

第1424回「海底軍艦 デアゴスティーニ版」(東宝特撮映画)

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 第1424回は、「海底軍艦 デアゴスティーニ版」(東宝特撮映画)です。中学1年の時に見た映画です。東宝特撮映画としては、「マタンゴ」と並んで好きな映画です。何よりも好きなのが、轟天の造型です。「ゴジラ FINAL WARS」で再登場しますが、そのデザインには正直ガッカリしました。


 押川春浪の小説が原作ですが、全く別物のようです。ストーリーは、戦後20年になっていませんので、太平洋戦争の影を色濃く残しています。この映画は1963年に公開されましたが、横田庄一さんがグアムで発見されたのは、約8年後のことです。


 映画は、カメラマン(高島忠夫さん)が、岸壁でグラビア撮影をしているところから始まります。自動車が海に飛び込むのですが、海中を進んでいるように見えます。オープニング・タイトルが始まります。カメラマンは、事件の調査を進めていきます。そこに浮かび上がってきたのは、海底に沈んだ伝説のムー帝国です。


 ムー帝国の謀略は、激しさを増していきます。ですが、唯一ムー帝国を恐れる存在があります。彼らは、終戦時に一枚の設計図を手に入れていたのです。海底軍艦です。いまだに、日本の敗戦を認めていない軍事勢力があったのです。神宮寺大佐(田崎潤さん)が率いる"轟天建武隊"です。秘かに、海底軍艦を建造していたのです。


 世界の危機を救うために、神宮寺大佐の元上官である楠見(故上原謙さん、加山雄三さんの御父君)が、海底軍艦の出動を要請するために、秘密基地に向かいます。そこで、楠見は、同行していたマスコミと共に、海底軍艦の威容を目撃することになります。ウィキペディアでは、マニアックに表現されていますので、一部引用します。


 『・・・・劇中の海底軍艦、ムウ帝国潜水艦ともにデザイン担当は小松崎茂。小松崎は「潜水艦とロケットとでは根本的に構造が違うので、轟天号のようなものを実際には作れないのは分かっているが、映画の画面ではそれなりに観客を納得させられるようにデザインした」との趣旨の発言をしている。


 設定ではキャタピラを出して地上を走る陸上型の変形もあったが、劇中では描かれなかった。轟天号は、劇中ではその装備のひとつ「電子砲」を使用することは結局なかったが、東京湾内でムーの潜航艇と対峙して砲撃を交わす合成素材用の特撮フィルムは現存しており、何らかの事情で場面カットされ、光線の合成まで至らなかったようである。・・・・』

 

 海底に一大勢力を築いたムー帝国も、いまや崩壊の危機にあります。そのため、地上への進出を計画していたのです。一方、海底軍艦の試運転が開始されます。音楽は伊福部昭氏です。海底軍艦のライトモチーフが、緩やかに館内に響きます。そして、浸水したドッグから海中を進んでいきます。


 海底軍艦は、海面から空中に浮遊します。ロケット推進には見えません。それでも、私には十分です。ライトモチーフが速く演奏されます。しかし、物足りないほど短いカットです。当時、他の映画も多く特撮シーンを必要としていましたので、特撮シーンを削ったのでしょうか。


 深夜、ドックが爆破されます。取材をしていたマスコミの中に、ムー帝国のスパイがいたのです。海底軍艦は破壊されたのでしょうか。同時に、カメラマンと神宮寺の娘(藤山陽子さん)は、ムー帝国に拉致されます。ムー帝国が映し出されます。華麗かつ絢爛な踊りが展開されます。玉座の皇帝(小林哲子さん)は、一言放ちます。「マンダのいけにえにせよ」 当時、中学校で流行語になりました。


 赤い髪(かつら)と大胆な衣装、まさしくムー帝国の皇帝です。カメラマンは、畏れ多くも皇帝を人質に脱出します・・・・。一方、地上においては、ムー帝国の侵略が始まります。ゴジラ映画と同じく、避難シーンが映しだされます。一方、がれきに埋もれた海底軍艦は、船首のドリル部分を使って、地下基地から脱出します。カメラマンたちは、海底軍艦と合流します。


 海底軍艦は、ムー帝国進攻を謀ります。マンダは、絶対零度の冷線砲で凍らせます。地下には、先端のドリル部分で突き進んでいきます。ターゲットは、ムー帝国の中核となる発電施設です。冷線砲で凍らせ破壊します。大陸の沈下以来、繁栄を維持してきたムー帝国も、ついに最期の時を迎えます。そして、皇帝はムー大陸と運命を共にします・・・・。


 皇帝役の小林哲子さんは、その後映画でみかけていません。最高のはまり役です。「マンダのいけにえにせよ」 海底軍艦の造型とあわせ、大好きなセリフです。そして、伊福部氏の音楽、語りつくせない思い出深い映画です。


(補足) デアゴスティーニ版の東宝特撮シリーズで、次のものは既にブログに書いています。

「ゴジラ」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10355643969.html

「モスラ」 http://ameblo.jp/s-kishodo/entry-10398252162.html