第1180回「ゴジラ デアゴスティニ版東宝特撮映画」(SF映画) | 新稀少堂日記

第1180回「ゴジラ デアゴスティニ版東宝特撮映画」(SF映画)

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 第1180回は、「ゴジラ デアゴスティニ版東宝特撮映画」(SF映画)です。東宝は、ソフト販売にあたり、価格戦略に厳しい会社です。黒澤明作品でも、当初のボックス版からわずかに下げただけです。しかも、一挙にリリースすることはありませんでした。ある期間をかけて、過去の作品を焦らすがごとくリリースしています。


 その東宝が、デアゴスティニと連携し、特撮作品を書籍として販売する。テレビのスポット広告が流れた時は、目も耳も疑いました。007シリーズなどは、既に廉価版が出ていましたので不思議ではありませんでした(他社だったと思います)。しかし、東宝特撮映画となりますと、・・・・。


 早速ラインナップを知りたくて、買いました。立ち読みでもよかったのですが、990円と初回バーゲン価格でしたので、買うことにしたのです。全55冊の予定となっています。半数はゴジラ・シリーズです。残りは、小松左京氏原作の「日本沈没」、「エスパイ」、「さよならジュピター」とか、変異人間ものの「透明人間」、「美女と液体人間」、「電送人間」、「ガス人間第1号」、「マタンゴ」がずらりと並んでいます。


 当然、「ノストラダムスの大予言」は対象となっていません。差別的表現(原爆症など)が理由とされていますので、今後も、リリースされることはないかと思います。「ガンヘッド」、「ヤマトタケル」、「平成モスラ3部作」は入っていますが、「竹取物語」は対象外となっています。


 私個人としては、ゴジラ・シリーズはファイナル・ボックスで持っていますので、周辺作品を取り上げて欲しかったというのが実感です。ですが、「日本誕生」、「海底軍艦」、「妖星ゴラス」、「緯度0大作戦」など魅力的な作品が多いですので、ゴジラ・シリーズ以外は購入しようと考えています。


 1954年に制作されたゴジラは、同じ年に公開された「七人の侍」と並ぶ日本映画史に残る大傑作です。何度も観ています。太平洋戦争の傷跡が残る時代に、戦争にも匹敵する怪獣を登場させた発想には驚嘆の一語です。ただ、はじめて観たのは、小学生になる前ですのでそんなことは考えていませんが・・・・。


 ゴジラが襲来する中、ビルの軒下に身を寄せる母は娘に語ります。「もうじき、お父さまのところへ行くのよ」 一方、電波塔からマスコミは放送しています、「これが最後の放送になります。これで最後ですっ。・・・・」、極めてわざとらしい放送です。ゴジラは電波塔を破壊します。


 消防車が深夜の街を走ります。道路は舗装されていません。ゴジラが炎を背景に浮き上がります。凄い迫力です。ゴジラの去った後、病院に負傷者が運ばれます。一方、子供たちは平和の祈りをしています。1954年ならではの映像です。


 何度も見直していますが、この映画の欠点をあげつらうことは簡単です。しかし、ゴジラの持つ圧倒的な迫力は、敗戦国日本の底力を世界に誇示したのも事実です。そして、悲しいことに、この第1作を超えるシリーズ作品が結局現われることはありませんでした。ハリウッド・リメイク版もゴジラとは別作品と考えた方がよいかと思います(嫌いではありませんが)。