材料力学/機械設計演習問題
例題1.
直径20mm長さ3mの軟鋼棒の軸方向に、50kNの引張力を加えると伸びはいくらになるか但し、E=206GPaとする。
解答
λ=Wl/AE=50・10^3・3・10^3/((π/4)20^2・206・10^3)=2.32[mm]
例題2.
例題1.において、軟鋼棒はどれ程細くなるか。ポアソン比を1/3として計算せよ。
解答
d-d'=dσ/mE=(20・(4・50・10^3/(π・20^2))/(3・206・10^3)=0.00515[mm]
例題3.
縦弾性係数Eが206GPaであるバネ鋼の弾性限度を740MPaとすれば、最大弾性エネルギーはいくらか。
解答
u=σ^2/2E=740^2/(2・206・10^3)=1.33[N・mm/mm^3]
例題4.
伝達動力50ps、原動機回転数1450rpm、減速比1:4の1段歯車減速機を歯車の曲げ強さだけを設計してみる。小歯車歯数:z₁=20、モジュール6とすれば、大歯車歯数80で、20°並歯として中心距離はa=240+60=300とする。
解答
ピッチ円接線力Pu、周速υを計算すると、
Pu=4.5H/(πn₁d₀₁)・10^6=4.5・50・10^6/(3.14・1450・6・20)=412kg
υ=πn₁d₀₁/6・10^4=9.12m/s
バースの速度係数∱υは、ボブ切り精度jis4級として、
∱υ=6/(6+υ)=6/(6+9.12)=0.397 となり、
歯形係数は、標準平歯車の歯形係数表からy'π=₂₀=0.543 y'n=₈₀=0.735となる。
材料はS45Cとすれば、σb=30kg/mm^2, 負荷に中衝撃程度を予想して、使用係数∱s=1.25とすると、小歯車についてのルイスの式Pu=σb・b・m・y'・∱υ/∱sは、
412=30・b・6・0.543・0.397/1.25
∴b=13.27≈14mm
同様に大歯車について求めると、
412=σb・14・6・0.735・0.397/1.25から、σb=21kg/mm^2であり、大歯車はS30Cでもよい。
例題5.
曲げ強さの計算例を用いた1段歯車減速機の歯面の強さを求めてみる。
m=6、z₁=20、i=4、∱υ=0.397、使用係数S=1.25であり、材料の許容接触応力表から、κ=0.053
Pu:許容荷重=2b・dm・∱υ・κ(i/(i+1))/S=2・42・6・20・0.397・0.053(4/(4+1))/
1.25=136kg となり、歯面は50psの動力を伝える荷重412kgには到底耐えられない。
歯面の強さを高めるには、ブリネル硬さσ₀上げるのが効果的である。許容歯幅bを計算してみる。材料の許容接触応力表からκ=0.069とし、
b=Pu・S/(2∱υ・d₀₁・κ)((i+1)/i)=412・5・1.25/(2・0.392・6・20・0.069・4)=98mm
例題6.
バネ材料SWPB、素線の直径d=1mm、平均コイル直径D=10mm、有効巻き数Na=8
総巻き数Nt=10、自由高さH₀=32mmで、バネの使用範囲が高さH₁=24mmでP₁=1kgfから高さH₂=12mmでP₂=2.5kgfであり、毎分800回の正弦波形の繰り返し荷重を受ける場合の疲れ寿命を推定せよ。
解答
τmax=K(8PD/(πd^3)=1.15(8・2.5・10/(π・1^3)=73.2kgf
上限応力係数は
τmax/σB=73.2/230=0.318
また,
r=Pmin/Pmax=1/2.5=0.4
繰り返し荷重を受けるバネの図にプロットして、10^7以上の寿命を持つことができることを推定できる。
例題7.
m=25kgの質量がκ=10kN/m,c=120N・s/mのバネとダンパーによって吊られている。
このmにFsinωt=20sin15t[N]の励振力が働くときの質量の応答を求めよ。
但し、初期条件はx(0)=0,x'(0)=0.1m/sとする。
解答
運動方程式mx"+cx'+κx=Fsinωtより、
ωn:固有角振動数=√(κ/m)=√(10000/25)=20rad/s
ξ:減衰比=c/2mωn=120/2・25・20=0.12
ωd:減衰固有角振動数=√(1-ξ^2)・ωn=20√(1-0.12^2)=19.9rad/s
∴xc=Ce^(-2.4t)・sin(19.9t+ψ)
また、系の特殊解は、
xp=(F/√((κ-mω^2)^2+(cω)^2)・(ωt-φ)=120/√(10000-25・15^2)^2+(120・15)^2)sin(15t-φ)=4.23・10^-3・(15t-φ)
φ=tan^-1((2ξω/ωn)/(1-(15/20)^2))=tan^-1((2・0.12・15/20)/(1-(15/20)^2))
=0.39(22.4°)
∴x=Ce^(-2.4l)sin(19.9t+ψ)+4.23・10^-3sin(15t-0.39)=0
さらに初期条件によりC,ψを決定すれば、
x(0)=Csinψ+4.23・10^3・sin(-0.39)=0
∴Csinψ=1.61・10^-3
x(0)=2.4Csinψ+19.9Ccosψ+15・4.23・10^-3cos-0.39=0.1
∴Ccosψ=2.27・10^-3
となる。これよりC=2.78・10^-3、ψ=0.617+4.23・10^-3sin(15t-0.39) [m]
例題8.
例題7の強制振動の定常応答を複素表示法によって求めよ。
解答
((κ-mω^2)+jcω)X=F
((10000-25・15^2)+j・120・15)X=20
(4375+j・1800)X=20
X=20/(4375+1800j)=20/4730e^(j0.39)=4.23・10^-3・e^(j0.39)
X=4.23・10^-3・e^(j(15t-0.39)
∴xp=Im(X)=4.23・10^-3sin(15t-0.39) [m]
例題9.
直径d=400mm、厚さt=40mm、の円板テーブルがある。回転軸中心に関する慣性モーメントIを求めよ。テーブルは鋼製とし、密度ρ=7.86g/cm^3とする。
解答
m:質量=ρ(πd^2/4)l=7.86・(π・40/4)・4=39508.67[g]=39.51[kg]
I:慣性モーメント=1/2・m(d/2)^2=1/2・39.51・(400・10^-3/2)=0.79[kg・m^2]
例題10.
外径D₂=φ200mm、内径D₁=100mm、長さl=100mmの中空円柱がある。中心軸xに関する慣性モーメントIxを求めよ。また重心を通りx軸に垂直なy軸に関する慣性モーメントIyを求めよ。比重をρ=7.85g/cm^3とする。
解答
m:質量=ρπ(R₂^2-R₁^2)l=55.49[kg]
Ix=1/2m(R₁^2-R₂^2)=3.47・10^-1[kg・m^2] 3470[kg・cm^2]
Iy=1/4m(R₁^2+R₂^2)+(l^2)/3)=1.56[kg・m^2] 15600[kg・cm^2]
例題11.伝達動力15kw、1500rpmの伝動軸の直径を求めよ。但し、許容せん断応力τ=60N/mm^2とする。
解答
d=₃√((16/πτ)Ml=₃√((9.55・10^5・16・15)/(π・1500・60))=20mm
例題12.軟鋼材を用い、荷重50kNを支える為のボルトの大きさを求めよ。
解答
W=30d^2 d=√(W/30)
W=50kN=50000N
d=√(50000/30)=40.8≒42mm
例題13.荷重8kNを支える軟鋼製締付ボルトの外径、及びナットの高さを求めよ。
解答
W=8kN=8000N
d=√W/30=√(8000/30)=16.3mm≒20mm
q:接触面圧力=10W/2nd^2=10・8000/(2・30・20^2)=3.4
d=20mmのピッチは2.5mmであるから、H:ナット高さ=3.4・2.5=8.5mm
例題14.軸の回転数1400rpm回転して3.7kwを伝達するキー溝をもつ軸径を求めよ。
尚、材料はS40Cとし単純な捻じりモーメントのみを受けるものとする。又、沈みキーの材質はS45C-Dで許容せん断応力30N/mm^2とする。
解答
T:伝達トルク=9550・(H/N)・10^3=25240[N・mm]
d:軸径=₃√(16T/(πτυa))=16.24≒20mm
キー溝幅b=6、ρ=0.2とする。キー深さt=3.5
τn=16T/πd^3≒16[N/mm^2]
ここで、
b/d=0.3、t/d=0.175、ρ/d=0.013
キー溝を有する軸の形状係数の図より、ακ≒2.62
τmax=ακ・τn=42[N/mm^2]
例題15.深溝玉軸受6010で、回転数750rpmでラジアル荷重2kNを受ける場合の寿命時間を求めよ。
解答
荷重はラジアル荷重だけであれば、等価荷重Prは、Pr=Fr=2kN
6010の基本動定荷重Crはカタログより、21.8kNである。よって回転数750rpmに対する玉軸受の速度定数は、スケール図より∱n=0.35であるから、寿命係数∱h=∱n・(C/Pr)より
∱h=0.35・(21.8/2)=3.8
この寿命係数に対する寿命時間は、スケール図より約27000時間に相当する。
例題16.軸受系列60の単列深溝玉軸受を用い、1430rpmでラジアル荷重1500N、
アキシアル荷重530Nを受けさせ、8000時間以上の寿命を必要とする時の呼び番号を選定せよ。
解答
アキシアル荷重が加わるので、係数X,Yの値の表よりeを求める。
Fa/Fr=530/1500=0.35
X=0.56,Y=1.31とする。これによって動等価ラジアル荷重Prは、
Pr=XFr+YFa=0.56・1500+1.31・530=1534[N]
∱n,Lhの図より、10000時間に対する寿命係数∱h=2.7、1430rpmに対する速度係数∱n=0.29を得る。
基本動定格荷重Cr=∱h/∱n・Pr=14282[N]
よって、深溝玉軸受の呼び番号及び寸法表より、6007を選定する。
同軸受のC₀rは表より10.3kNである。アキシアル荷重比は530/10300=0.051
Fa/Fr値は0.36、表よりX=0.56
Y=1.99+((1.71-1.99)/(0.056-0.028))・(0.051-0.028)=1.76
動等価荷重Pr=0.56・1500+1.76・530=1773[N]
6007のCrは、表より16kNであるから、
∱h=0.29(16000/1772)=2.62
∱h=2.62からスケール図より、9500時間となる。
例題17.モジュールm=4、歯数z₁=20、z₂=30、x₁=+0.2、x₂=0の歯車に於ける中心距離を求めよ。但し、圧力角α₀=20°とする。
解答
1.噛み合い圧力角α'の計算
invα'=2tanα₀((x₁+x₂)/(z₁+z₂))+invα₀=2・0.363397・(0.2/50)+0.014904=0.0178157 ∴α'=21°11'
2.中心距離増加係数yの計算
y=((z₁+z₂)/2)(cosα₀/cosα')-1)=(20+30)/2(cos20°/cos21°11')-1)=0.194751
3.中心距離aの計算
a=((z₁+z₂)/2+y)m≒100.78
例題18.質量20kgのシャンデリアを天井からワイヤで吊下げる。使用する線形はφ1mmで引張強度は50MPaとする。安全率を4とすれば必要なワイヤの本数を求めよ。
解答
必要本数nとすれば、n・σal・A>mgより、
n>4mg∱/(πd^2・σ)=4・20・9.8・4/(π・1^2・500)=1.997≈2本以上となる。