ロケ弁 | サト_fleetの港

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ブログで取り上げる話題はノンセクションです。
広く浅く、幅広いジャンルから、その時々に感じたことを “おとなの絵日記” のように綴っていきます。


先般、ある女優さんが、ロケ弁のクオリティーが下がっていると苦言を呈し、話題になっていた。
ロケ弁とは、映画やテレビ番組の撮影の際、出演者やスタッフに提供される弁当のこと。
といっても、“ロケ弁” という種類の弁当があるわけではなく、
仕出し屋さんや弁当屋さんに注文して取り寄せた弁当が出される。
ADさんや監督助手の人が注文する係になっていることが多い。

私も映画やドラマのエキストラに参加した際、よくロケ弁をいただいた。
ボランティアエキストラにはギャラは出ないのだが、
多くの場合、ロケ弁は出してもらえる。
ロケ地のフィルムコミッションの人たちが、ケータリング (炊き出し) をしてくれることもあって、
そういう時は、温かいご飯と出来たての料理をいただくことができた。

撮影所で撮影する場合、そこに食堂があると、弁当ではなく食堂で定食を食べたこともある。(ちょっと昔のことだが)
撮影している作品が時代物だと、
役柄の衣装を着たままの役者さんたちが食堂で食事をしていたり、面白い光景を見ることができた。

ネットニュースによると、

件の女優さんが嘆いた弁当の中身というのは、
“4つに仕切られていたうちの2つが白飯とゴマがかかった白飯、あとの2つの仕切りには漬物とソーセージしか入っていなかった”

というもの。

(ENCOUNT等複数の芸能ニュースより)


こんな質素な弁当には、私はお目にかかったことはないが、
おそらく、昨今の円安で食材が値上がりし、予算の範囲内に収めようとすると、
こんな弁当になってしまうのだと思う。
なにしろ、米以外の食材のほとんどが輸入で、食用油も高騰しているというから。

ちなみに、この女優さんが一番のお気に入りの弁当は、
別のネット記事によれば、金兵衛の銀だら西京漬け焼き弁当だそうだ。

金兵衛の銀だら西京漬け焼き弁当
ご飯と焼き魚をメインとしたおかず
が二段になっている。

(写真と情報は、おとなの週末Webより)



では、みんなに評判の良いロケ弁とは、どんなものがあるのだろうか?
弁当の発注に携わるADさんが選んだベスト10という記事があったので、一部抜粋させていただくと・・・

【東京編】
1位『叙々苑』焼肉弁当
2位『津多屋』幕の内弁当
3位『浅草 今半』すき焼弁当
4位『塚田農場』幕の内弁当
5位『金兵衛』焼き魚弁当
6位『鳥久』とり肉弁当
7位『オーベルジーヌ』欧風カレー弁当
8位『まい泉』とんかつ弁当
9位『崎陽軒』シウマイ弁当

10位『喜山飯店』中華弁当

(以上、テレキャリア記事より)


やはり、テレビ局や製作プロダクションが集中する首都圏の人気弁当となると、
名だたる店舗の傑作弁当が目白押しだ。
先述の金兵衛の弁当も5位に入っている。
2位の津多屋は、ドリフの『8時ダヨ!全員集合』御用達だったことで有名な店。
ちなみに、1位の叙々苑の焼肉弁当は高価なため、特別なロケの際に出されるとのこと。

※津多屋の幕の内弁当 (一例)

※叙々苑の焼肉弁当


これが地方ロケに行くと、当たり前だが、その土地の弁当になる。
地元の名物が入った弁当だったりすると、味覚から旅の気分を味わえる。
私がいただいたものでは、
横浜郊外でのロケの際、ベスト10にも入っている崎陽軒のシウマイ弁当が出た。
福井でのロケでは、弁当の中に空弁 (そらべん=機内食) で人気になった地元発祥の焼き鯖寿司が入っていた。
富山の山あいでのロケでは、その土地の渓流で釣れたと思われる川魚の焼き魚弁当をいただいた。(名物らしい)

ほとんどの場合、弁当だけでなく、ペットボトルのお茶などの飲み物も付いている。


※崎陽軒のシウマイ弁当

※福井県坂井市の名産 焼き鯖寿司


その土地の名物ではないが、千葉の結婚式場でロケをした時は、
肉食系女子のドラマということもあって、助監督さんが言うには「肉食系弁当にしました」とのこと。
見ると、青椒肉絲 (チンジャオロース) 弁当と鯖の味噌煮弁当だった。
たしかに、青椒肉絲には細く切った豚肉が入っているし、
鯖も魚だが肉 (動物性タンパク質) には違いない。
私は青椒肉絲弁当をいただいたが、
ちょっとユーモアのあるロケ弁の選定に、業界の人のセンスを感じたものだった。

※青椒肉絲弁当 (イメージ)


ところで、こういったロケ弁は、主演俳優さんや監督さんも、エキストラと同じものを食べるのだろうか。
いつも疑問に思っていたが、
あれは、八王子の近くのホールでのロケだったか、一つの広い部屋の中で、
監督さんらスタッフ一同と私たちエキストラが一緒になってロケ弁を食べたことがある。
(役者さんたちは別の部屋だった)
あの時は叙々苑のものではなかったが、かなり高級そうな焼肉弁当だった。
もちろん、美味しかった。

新潟県の有名な図書館でのロケの時は、
某女優さんのマネージャーさんが、私たちが食べたのと同じカツカレーを2つ持ってその女優さんが座っているテーブルに持って行くのとすれ違った。
一緒に食べるのだと思う。
(その女優さんは、控室ではなく図書館内のカフェで休憩していた)

この時は、主演クラスの俳優さんたちも、同じロケ弁を食べているんだなぁと思った。


※新潟県のロケで出たケータリング
のカツカレー (ポトフも付いていた)


また、あれは東京に初雪が降った寒い日のこと。
私は埼玉県のとある公園でのロケに参加していた。
その時、俳優さんやスタッフの人たちはロケバスの中で昼食をとったのだが、
エキストラたちは、吹きっさらしの公園のベンチに座って冷たいロケ弁を食べた。
弁当を出してもらっただけでもありがたいので文句は言えないが、
公園内の自動販売機の前には、温かい缶コーヒーを求めるエキストラたちの列ができた。

“同じ釜の飯を食う” という言葉があるが、一つの映像作品を創り上げるのに、
主要キャストやスタッフからエキストラに至るまで、同じ弁当を食べるのはよいことだと思う。

でも、中には自分だけ特別な食事や飲料水を用意させる人もいると聞いた。
そういう人は「こんなロケ弁食えるか!」と言うわがままな大スターかと思いきや、
健康上の理由からの場合もあるとのことなので、一概に判断できない面もある。

たかが弁当、されど弁当。
腹が減ってはいくさができぬ。
質の悪い弁当では士気が下がる。
物価高の世の中ではあるが、
よい作品を創るために、ロケ弁の予算は減らさないようにしてほしい。
(私の言うことでもないか…)