5月29日は、5(ご) 29(ふく) の語呂合わせで「呉服の日」だそうだ。
ところで、
10月29日には、10(いいわ) 29(ふく) で “いい和服” と読ませて「和服の日」がある。
また、11月15日は「きものの日」で、
ちょうど七五三の日にあたることから、家族そろって着物を着てほしいとの願いから制定された。
日本の伝統的な着物の振興という趣旨は同じなのだが、
似たような記念日が複数あるのは、制定した団体が違うから。
これらの記念日は、いずれも一般社団法人 日本記念日協会により、正式に認定・登録されている。
さて、着物や帯などには華麗な柄や文様が施されているが、
その中には、魔除けや着る人の幸せを願う意味が込められたものがある。
“吉祥文様” と呼ばれる文様がそれで、
長寿を願う鶴や亀 (亀甲)、松竹梅などが有名だ。
ほかにも、さまざまな吉祥文様が存在するので、ここに代表的なものをご紹介したい。
鞠 (まり)
“どんな困難も丸く収まる” “弾むような幸せがいつまでも続く” といった想いが込められている。
橘 (たちばな)
柑橘系の常緑樹である橘は、不老不死の国に生えていると古事記や日本書紀にあり、長寿と子孫繁栄をもたらすとされる。
橘の葉と実を象 (かたど) った日本固有の吉祥文。
束ね熨斗 (のし)
現在は印刷されたものなどで代用されているが、かつては祝い事の進物や引出物に添えられた熨斗鮑 (のしあわび)。
それを細長い帯状にデザインして束ねた縁起のよい文様。
多くの人に祝福されることを表し、熨斗の長さは長寿の印ともされる。
雪輪
雪の結晶を表した文様、雪華文様ともいう。
解けた雪が水となって田畑を潤すことから、五穀豊穣と繁栄を祈る文様。
雪の結晶を観測できる顕微鏡が日本に伝わったのは江戸時代だが、それ以前の平安時代から存在したオーパーツ的文様。
貝桶
流水
留まることなく流れる水の文様には、
「清らか」「災難を流す」「火除け」の意味が込められている。
矢羽根
魔除けの意味がある矢 (羽根の方) をデザインした文様。
これを並べた文様は “矢がすり” と呼ばれる。
扇面
扇を広げた末広がりの形が、末代までの繁栄を象徴する文様。
青海波 (せいがいは)
古代ペルシアが発祥の文様。
どこまでも広がる穏やかな波を表し、繁栄と幸福が未来永劫続く祈りを込めた。
籠目 (かごめ)
宝尽くし
縁起のよい宝物文様の集大成のような文様で、大変おめでたいとされる。
そのため、晴れ着などに多用されている。
仏教の八宝(8つの宝物)や雑八宝(ざつはっぽう)に由来しているが、
室町時代に伝来してからは日本独自のアレンジが加えられた。
時代や地域によりバリエーションがある。
日本で定着した代表的な宝物文様とその意味は下記の通り。
金嚢・巾着
お金や大事な物などを入れる袋。金運上昇の意味が込められている。
七宝
金、銀、瑠璃 (ラピスラズリ)、玻璃 (水晶)、珊瑚、瑪瑙 (めのう)、真珠を七宝といい、
丸 (円) がつながる文様から、円満が続くとされる。
宝巻・巻軸
経典や秘伝の書の巻物。
知恵と知識の象徴。
隠れ笠・隠れ蓑 (みの)
姿が隠れる不思議な力を持った笠と蓑。
病や災難から身を隠すという意味がある。
打ち出の小槌
打ち振れば欲しいものが手に入る。
一寸法師の昔話で有名だが、敵を “打ち” 破るという勇ましい意味も込められている。
分銅 (ふんどう)
両替の時、金銀を計る秤 (はかり) のおもり。
富のシンボル。
宝珠
密教法具のひとつ。
丸くて先がとがった珠で、火焔が出ているように描かれる。
金銀財宝など望むものを出すことができるといわれる。
筒守 (つつまもり)
宝巻・巻軸の入れ物。意図するご利益は宝巻・巻軸と同じ。
鍵
大切な物を保管する蔵の鍵。
金運上昇を願いが込められている。
丁字
薬品や香料になるクローブの実。
平安時代に伝わった時は希少だったため、非常に価値が高かった。仏宝。
以上、
吉祥文様の代表的なものをピックアップしてみたが、
運勢がよくなる縁起物のデザインなので、このブログを読んでくださった皆さまの運勢もアップすることを祈って、
今回はこれにて。
【おことわり】
本ブログ中の写真や解説は、家庭画報、KIZAMUマガジン、スタジオアリス・ふりホTimes、KIMONO-PROブログ等の記事から引用、参照させていただきました。