オリンピック休戦 | サト_fleetの港

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広く浅く、幅広いジャンルから、その時々に感じたことを “おとなの絵日記” のように綴っていきます。

北京オリンピック2022が始まった。
ついこの前、1年遅れで東京オリンピック2020があったばかりなので、
冬季のオリンピックが巡ってくるのがえらく早い感じがする。

※北京オリンピック2022開会式の模様。


ところで、
“オリンピック休戦” という言葉があるのをご存知だろうか。
オリンピック開催期間中は、戦争などの武力行使を停止しようという提案で、
毎回オリンピック開催前に国連総会で採択される。

これは、“スポーツには平和と寛容を促進し、テロリズムと暴力的過激主義を予防・対処する効果がある” として、
スポーツとオリンピックの理念を通じた平和でより良い世界の構築を目指そうというもの。
昨年の東京大会に際しても、全会一致で採択された。

今回の北京大会でも、
中国やロシアなど173ヵ国が共同提案国となり、オリンピック開幕7日前から、続くパラリンピック閉幕の7日後までの期間中 (1月28日~3月20日)、
世界中のあらゆる紛争を停止することを呼び掛けて、昨年12月に採択されている。

平和の祭典オリンピックにふさわしい、非常に素晴らしいことのように思えるのだが、
実はこの提案の採択、今回は全会一致ではなかった。
“Quad” (クアッド) を構成するアメリカ、日本、オーストラリア、インドなどが、
中国政府が少数民族ウイグル族を弾圧していることに抗議して、採択に加わらなかったのだ。
「人権弾圧をしておいて、どのツラさげてそんな提案できる!?」
と、中国に言いたいのだろうか。
また、
同様の理由で、開会式への政府関係者の出席を見送った国も、アメリカや西側諸国を中心に多数にのぼった。

このように、その理念とは裏腹に、オリンピックには必ず政治の影が付きまとう。
近年では、
ソ連 (現ロシア) のアフガニスタン侵攻に抗議して、アメリカ、日本、西ドイツや、イスラム諸国がボイコットしたモスクワ大会 (1980年) や、
その報復でソ連や東側諸国が参加しなかったロサンゼルス大会 (1984年) など、
オリンピックは、国際情勢とは無縁でいられない。

平和の祭典としての崇高なオリンピック精神も、
利害がからんだ各国の思惑により形骸化してしまっているようだ。

※ウクライナ国境付近に集結中の
ロシア軍戦車部隊。


オリンピック開催の裏で、
今こうしている間も、ウクライナ情勢は緊迫の度を増している。
中国がロシアに、北京オリンピック期間中は侵攻しないでくれと、水面下でお願いしたという情報も伝わってくる。

中国とロシアは友好関係にある。
中国はロシアのウクライナ政策を非難していない。
オリンピック期間中の侵攻を避けたいのは、
オリンピック休戦を提案した手前、
期間中に紛争があると、中国の立場がなくなるからだろう。
あくまで国の体面を保ちたいだけのこと。

オリンピックが終わったとたん、戦争勃発ということにならないことを祈りたい。