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s-blackadderのスポーツコラム

下手の横好きですが、スポーツに関するコラムのようなもの(⁉︎)を投稿します。
あくまで個人の見解ですので参考程度に…
拙いところがありますがご容赦ください。
担当 野球(NPB,MLB,JABAなど)ラグビー,NFL

日本一が決定したあの瞬間から早1週間、ようやくひしひしと実感し始めたベイスターズファンの筆者。今回はそこまでの私自身の感情·思考を綴ったちょっとしたエッセイとしてお付き合い頂きたいと思います。(長くなりそうなのでご容赦を(笑))


そもそも今年の横浜DeNA(以下横浜)は順風満帆では無かった。去年まで先発投手陣として支えてきた今永がMLB移籍、バウアーも帰国とキツいデプスに。ドラフトで入ってきたOF度会やSS/3B石上、オープン戦で台頭したOF梶原がいるとはいえ厳しい戦いを予想。下手すれば世代交代を促すシーズンだろうと覚悟していた。


案の定連勝するときもあれば連敗するときもあるというジェットコースター気分のシーズンだった。OF筒香の帰還と1Bフォードの獲得で野手陣のデプス低下を防止する手は打ったが中継ぎ陣の不安定は相変わらず、まずい事に正捕手に成長した山本祐大が離脱してしまう。広島が史上稀に見る大失速で3位フィニッシュになんとかすることが出来た。終わってみれば71勝69敗3分け。収支+2でよくここまで持ってきたな、これで御の字だろうと思っていた私。当然の事ながら数ヶ月後に興奮と歓喜の瞬間を迎えるとは全く想像してなかった、というか横浜ファンはあの瞬間を想像出来ただろうか?


クライマックスシリーズ(以下CS)1回戦は阪神。甲子園ではあったが、7年前日本シリーズに進んだときも甲子園スタートで伝説のドロンコ試合含め勝ってるイメージがあったので私はあまり心配してなかった。中継を見ることなく思った通り2連勝でファイナルステージへ。

CSファイナルステージはセ・リーグ覇者の巨人。リーグ戦の直接対決は8勝16敗1分けと圧倒されてしまった。阿部新監督の下強力な投手陣と勝負強い1B岡本や3B坂本、C岸田やOF浅野の台頭等で融合した野手陣で試合巧者ぶりを取り戻した盟主。

ルールの関係で東京ドームで6戦中4勝しなければならない(巨人はアドバンテージ1勝+シリーズ3勝で通過)まさに鬼門。更に東が阪神戦で負傷し登板回避、1Bオースティンも万全ではなく慎重な起用を迫られる事態となり窮地に追い込まれていた。

シリーズ序盤はそんなことを感じさせず勢いそのままに3連勝したが、あと1勝のところで守備のミスから漬け込まれて敗北すると連敗しあっという間にシリーズ最終戦へ。

最終戦はお互いに1点を取り合い終盤戦に突入するいかにも巨人好みの展開。私はその時さすがに試合中継を見ていた。7回裏巨人の攻撃中、ブルペンカメラが写し出されるとなんと先発投手陣の柱で大ベテラン菅野が投球練習をしているではないか。

そして8回表横浜の攻撃、菅野がマウンドに上がった、ご丁寧に長年支えてきたC小林も登場。

巨人のシナリオは8,9回このバッテリーで横浜打線を抑え込んで球場の空気を良くして裏の攻撃3B坂本や大舞台で奇跡を起こすC小林等で勝ち越して逃げ切ってやろうという事だと感じた。8回表はピシャリと抑え込まれた、その裏巨人の攻撃はピンチを作りながらも伊勢がなんとか耐えた。とはいえ巨人の思惑を破壊しなければ勝機がないことに変わりはない、いずれサヨナラ負けするだろうなと…

9回表ランナーSS森が3塁まで進んで迎えるは我らが主将であり主砲の2B牧。土壇場で奇跡を起こす。巨人の黄金バッテリーが唯一失敗したミスを見逃さなかった。僅かではあるが初球より甘く入った外角へ逃げるスライダーに必死に食らい付く、その打球は三遊間を抜けた。巨人のシナリオを打ち砕き勝利を決定的にした瞬間だった。牧がガッツポーズをし菅野が肩を落とした。これでシリーズを勝ちきった横浜が7年ぶりに日本シリーズに進むこととなった。よくぞ厳しい相手を攻略して勝ちきってくれた、最高の舞台に上がってくれるだけでも私は満足だった。


久しぶりの日本シリーズへ。7年越しにソフトバンクに立ち向かう事となる。

日本シリーズの相手は前回横浜が相手した時と同じソフトバンク。圧倒的な戦力でシーズンを駆け抜けて、CSでも力をつけてきてしかも何をしてくるか分からない新庄監督が率いる日本ハムを全く寄せ付けない、まさに今季最強のチームといっても過言ではなかった。開幕前、4連敗で散っても文句は言うつもりはない、また1から出直してくれればいいやなんて思ってたのである。


横浜スタジアム2連戦から始まった日本シリーズは有原·モイネロと強力なスターター中心に打線がほとんど良いところなく抑え込まれた。采配でも良いところがない、特に第1戦では申告敬遠して安直に有原投手との勝負を選択してしまった。結果2点タイムリーヒットを打たれてソフトバンクに勢いを持ってかれてしまった。有原投手は広陵高校から早稲田大学に進み東京六大学野球で腕を磨いたのだが、東京六大学野球は指名打者がなく投手も打席に立つルール。セ・リーグと全く同じなのだ。いくら実績がないとはいえ六大学経験者を甘く見てはいけなかったのだ。


とにかくハマスタの連戦全く良いところがなく連敗、絶望的と感じるのが大半の直感だと思う。


ただ、私の中では確固たるモノはないとはいえ『福岡ドームの方が横浜の選手はプレーしやすい筈だからまだ一縷の望みはある』という考えから少しは冷静で見守ることが出来た。

というのはハマスタこと横浜スタジアムはウィング席が設置されてるので大きく見えるがグラウンドの広さはNPB中最も狭い(下手すれば高校野球地方予選決勝で使う都道府県の地方球場と同じくらい)。いくら力のある投手でもコントロールを間違えばホームランになってしまうプレッシャーが襲ってくる。横浜の投手はコントロールに長けてるタイプが残念ながらごく少数(苦笑)基本的には力勝負がメインなので広い球場の方がありがたいのである。打線はパ・リーグのルールで指名打者いわゆるDHを置くことができる。横浜の場合はセ・リーグで代打としてしか出番がない余剰のパワーヒッターを活用することが出来る(怪我を気にしながらの起用だった1Bオースティンを打つことに専念させることが出来た。)、また調子の良し悪しによってオーダーを変えられるオプションが増えることも大きなプラスになるだろうと考えたのである。

強調材料としては弱いが今季のセ・パ交流戦の成績はホームゲーム3勝6敗(ソフトバンク、楽天、オリックス)、ビジター8勝1敗(日本ハム、ロッテ、西武)いかにパ・リーグのルールて下で強いか(裏を返せばハマスタで戦うのが下手か(苦笑))多少はお分かり頂けるだろう。

ちょっとした弾みでソフトバンクサイドがミスを犯せば横浜打線が火を噴き3連勝も狙える(少なくとも2勝1敗の勝ち越し)とほんの僅かながら期待をしていた。

横浜は東を復帰させて、東·ケイ·ジャクソンと横浜最強のスターター3枚をこの3連戦にぶつけた。結論としてこれが見事に功を奏してソフトバンク打線をなんとか封じることが出来た。

浮上のキッカケをつかみたい打線は第3戦、先制しながらもなかなか相手先発の剛腕スチュワートJrから追加点を奪えなかった。しかし粘り強く打線が塁を賑わせていたことが、ソフトバンク首脳陣にミスを犯す事となる。4回でスチュワートJr が降板したのだ。想定よりも早く降板したことで風向きが変わりつつある。2番手投手大津はスチュワートJrと同じ右腕手はあるが球速域は下がるし、緩急で揺さぶるタイプ。誰かしかドンピシャに合わせてくれる、いや合わせてくれと願っていた。そして遂に横浜打線に救世主が現れた。

それがこの回の先頭打者でシリーズMVPに選出されたOF桑原なのだ。大津の立ち上がりの球を思い切り引っ張り込んだその打球はほんの僅かな横浜ファンが待ち受けるレフトスタンドに吸い込まれた。「ハマのガッツマン」当たりだしたら止まらない1番打者が横浜打線を甦らせる貴重な1発を放ったのだ。

これを皮切りに第4戦ではDHに入ったオースティンと3B宮崎が、第5戦ではソフトバンクバッテリーの呪縛に嵌められていた2B牧に3ランホームランとソフトバンク投手陣にダメージを与える1発を放った、もちろん桑原も連日の複数安打で横浜打線を活性化し続けた。もう横浜打線は止まらない。福岡ドームでの3連戦を3連戦スイープと最高の形で終え、あと1勝のところでハマスタに帰ることとなった。


そして迎えた第6戦、横浜打線は再び有原に対峙することとなる。それでも勢いのある横浜打線はハマスタを盛り上げる大きな1打を産み出した。

横浜を優勝するためにアメリカから帰ってきた筒香が遂にこのシリーズで先制ホームランをセンター右横スタンドに放った。一番結果が欲しかった選手の一撃に場内大歓声。

その後ソフトバンクOF柳田が2ランホームランを打ち混沌とした雰囲気となった中で迎えた5回裏、ソフトバンクは第3戦で粘投したスチュワートJrをスクランブルで送り込んできた。しかし、横浜打線は動じなかった。1アウトから怪我の山本に変わりリードし続けたC戸柱がヒット、SS森が四球で出塁すると調子を落としていたOF/1B佐野を代打として送り込んだ。すると佐野がヒットで期待に応えると、OF桑原が粘り続けて押し出しの四球を選ぶ、OF梶原も低めのスプリットを掬い上げる驚異のバットコントロールでタイムリー。スチュワートJrをK.O.すると替わった岩井にも打線が襲いかかる。2B牧は惜しいライナーに倒れたが11Bオースティンが押し出しの死球、そしてホームランを放ったOF筒香が左中間に走者一掃のタイムリーツーベース‼なんと筒香は4打点の荒稼ぎ。結局打者一巡の猛攻で決定的な7点をもぎ取った。

リーグ戦でなかなか見られなかったあまりにも華麗で理想的な大量得点に私はテレビの前で純粋に興奮してたし、感動してたし、なにより心の中で選手と一緒に吠えていた。もう現場にいってベンチに入って見てるぐらい一心同体になってたかもしれない…


その後は両軍点が入らず最終回。守護神森原がソフトバンク打線に立ちはだかる。OF柳田を空振り三振にしてゲームセット。横浜が下剋上で26年ぶり日本一が決まった。奇跡が起こったのだ。

その瞬間確かに嬉しかったのだが、信じられない気持ちが強くて受け入れきれなかった。



日本一決定の瞬間、私は受け入れきれなかった…

数日後、横浜市長杯という関東大学野球5連盟による野球大会(優勝、準優勝チームは明治神宮大会に出場する大事な大会)に観戦するために横浜スタジアムを訪れた。素晴らしい試合を2試合見れて満足したあとスタジアム内のベイスターズショップに立ち寄り、日本一記念商品の為に散財した。

そして帰る途中の横浜駅東口、そごう横浜や横浜Portaでは優勝セールが開催されていて立ち寄った。館内放送は球団歌『熱き星たちよ』が垂れ流し状態になっていた。そこでやっと私はベイスターズが日本一になったんだとしっかり実感することが出来たのだ。シンプルに嬉しいし幸せでそれらを噛み締めていた。



日本一の時には行けなかったハマスタと帰りに立ち寄ったそごう横浜の日本一セール 
やっとベイスターズ日本一を感じることが出来た筆者。前回日本一の26年前は当時4,5歳くらいで野球がどういうものなのかすら分かってなかった私である。

来年はリーグ優勝含めて「完全優勝」というのが至上命題となる。かなり大変なミッションで今季のままではリーグ優勝すら厳しい。最低でも収支+10は目指さないといけないであろう。


佐野のFA問題は再契約という形で結局落ち着いたようだが、油断してるとライバルが入念に研究したり補強してくるだろう。

ただ、冒頭で出てきた度会や石上、投手では石田裕太朗など世代交代を虎視眈々と狙う勢力もいれば先日のドラフト会議で指名された新たな仲間も密かに楽しみである。育成システムもすっかり整備されてるらしい。

なので私が小学生ぐらいの頃、ベイスターズと名乗るのが恥ずかしく名乗ったらバカにされる万年最下位争いをしていた最悪の時期に戻ることは直ぐには起こらないだろうと思いたいし、起こるなと願ってる…(苦笑)


〈了〉