エスター(2回目) | 想像と好奇心でできている

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野いちごでは、 『テレビの感想文』ときどき更新。

2回目なので、最後のほうでわかるネタバレを知っている。

それでも、これは怖い。

 

ネタバレしてます。

 

 

 

3人目の子どもを流産し、心の傷がいえないケイトと、その夫ジョン。

夫婦は養子として、9歳の少女エスターを迎え入れる。

ツインテールの黒い髪。

首と、手首に黒いバンドのようなリボンをつけている。

 

この黒いリボン、最初からつけていて、ネタバレが始まるまでまったく意識していなかった。

まさかこれに、エスターの正体につながるものが隠されていたとは。

 

後半、クライマックスが近づくにつれ、メイクをして、大人っぽいドレスに着替えたエスター。

ジョンに「少女」ではなく、まるで大人の女性のように迫るシーンが。

そのことに気づかないジョン。最初はエスターに、家族が離れていったことを嘆き悲しんで話していたけど、結局拒絶する。

 

もともと、9歳とは思えない頭の良さと、(冷血で残酷な)奇妙な行動が、一部の人の前ではときどき出ていたエスター。

 

実は、エスターは33歳。

ホルモン以上による下垂体不全という病気が原因で、9歳の子どもの体だった。

今までの奇妙な行動の理由は、ジョンに、一人の女性として近づきたかったから。それでジョンの妻、ケイトに対して特に執拗に攻撃していたってことか。

 

だから、妻のケイトを家から追い出そうとしていた、と。

エスターは以前にも、家族に養子としてもらわれ、その家の夫に近づこうとした過去があった。それがケイトと、孤児院のシスター・アビゲイルとの電話での会話で判明。

 

しかし、見た目は子どもでも、自分の正体を隠すため、嘘で自分を塗り固めていたエスター。

ロシア出身ではなく、エストニアにいた過去があり、エストニアの精神病院サールイン・インスティチュートにいたことをつきとめるケイト。

 

精神病院では、エスターが暴れるので、拘束意を着せられていた。それでも暴れるので、拘束衣のあとが首と両手首に残っていた。

つまり、あの黒いリボンは、それを隠すためのもの。過去を隠すためにしていたことだった。

 

このとき、男性の医師ががケイトに言った、「彼女は危険人物で、私の知る限りで最低7人は殺害している」。

ってことは、7人以上殺してる可能性があるってことか。

 

そんな危険人物で、さらに、ケイトの息子、色仕掛けをして失敗した夫のジョンも殺害。

映画によくある、「人を殺した人は、自分の死をもって償う」が発動。

 

最期は、逃げようとしたケイトと娘のマックスを追いかけ、雪の積もった森の中の氷の湖の中に落ち、ナイフを持ったまま、ゆらゆらと赤い血を湖の中に流しながら、冷たい湖の中に沈んでいく。

ラスト、ケイトの足首にしがみつき、「ママ」と言ったエスター。

ケイトが「私はあんたのママじゃない!」と言って、エスターを蹴って湖に振り落としたシーンのあと、湖に沈んでいったあと、湖面の上、ケイトとマックスがいる地上のシーンになったとき。

これって、エスターが墓の下に行った(死んだ)ってことの表現かな、と思った。

 

エスターの、狡猾で計算されている、ケイトやほかの人への嫌がらせ(かなり大きめの精神的ダメージを与える)が、すっごい怖い。

 

あと、エスターが描いていた、水槽のブラックライトを当てると、白い光の絵の具のように浮かび上がる、精神的にヤバい人が描いた絵(人が血を出してる絵とか、家が燃えている絵。ブラックライトを当ててないときは、なにも怖くない絵になってる)が、怖い。

さらにその絵の下に、男女の性的な行為のリアルな絵が隠して貼られていた。これは、見た目9歳のエスターが隠し持っている性的な願望みたいなものなのかな。

 

後半、エスターの正体など、ネタバレしてからの展開が、ああ、そういうことだったのかとわかっていき、すっきりする。

 

と同時に、エスターの凶暴性も増幅。ジョンに近づこうとしていたのに、色仕掛けが通じず、部屋に戻ってメイクをぬぐいとり、リボンをとり、ガラスを割るエスター。メイクがとれてぐちゃぐちゃにエスターの顔がひび割れたガラスに映る。

よく見ると、エスター顔の皮膚が、これメイクしてるのかな? 若くないんだよね。ちょっとざらっとしてそうな素肌。

 

ジョンに拒絶されたエスター、ジョンをナイフでグサグサに刺しまくって殺すし。怖い。

 

見た目のせいか、ちょっとだけかわいそうだな、とか、

切ないな、って思うこともあったけど、

やっぱりモンスターはモンスター。

人を外見で判断しちゃダメだね。