・私から見てひいばあちゃんに当たる、サトばあちゃんの話。
明治生まれのサトばあちゃんは、18のとき豪農の家にお嫁に行ったんだけど、
初夜に廊下に座ったまま部屋に入ろうとしなかった。
そしてそのまま朝までそこから動かなかった。
結局、その家を出て行ったそうで。
実はさんちゃんっていう小作人の人が好きだったと。
でも、「小作人はお金持ってないから」と、周囲から反対されてしまった。
という話を祖母から聞いて。
私「むしろすごいね。その時代に好きな人じゃないから嫌だって言ったのって」
母「そういうのなんて言うの?」
初夜になにもしないことをなんて言うか。
私「……。中断?」
(なにを言ってんの私。笑)
嫌なものは嫌だって断固拒否できる人だった、ってことか。
その後、戦争から帰ってきた祖父がマラリアになったとき、さんちゃんが祖父を助けてくれた。
祖母「金粉を持ってきてくれて」
私「金粉? 薬じゃなくて?」
どこから持ってきたのか知らないけど、その人が持っていたそうで。
それで、祖父は回復することができたと。
サトばあちゃんは祖母の姑で、かなりひどい人だ、嫌な人だな、としか思ってなかったけど、ちょっとだけ印象変わった。