脚本
冨田雄大
演出
足立拓也(マシンガンデニーロ)
出演
ランパンプス 平田陽 ぷりずん ひらきっぱなし
ゴールドバーグ ヒラノショウダイ 平和
あらすじ
同い年なら仲良くならなかった
この距離だから近づいた
二人で笑いたかった
人間は凄い
絶望した人間はより凄いらしい
まず、最初におことわり。
ランパンプスとぷりずん以外、神保町花月で観るのはこれが初めてでした。(ただ、ひらきっぱなしは、少し前にあったランパンプスのライブ「パンプスマート」でゲスト出演されていたので知っていました)
ですから、はっきり言ってしまうと、ランパンプス以外、ほぼ全員初見。
コンビ名と顔、顔と名前が一致してない芸人さん、ネタを見たことがない芸人さんが、圧倒的に多い。
あと、ときどき過激で、衝撃的なシーンがいくつか。
ブラックで、バイオレンス、でもたまに笑えるシーンもある。
そんなわけで、感想がいつもと違って、ちょっと書きにくい。
偏った内容になると思います。ご了承ください。
ツイッターで見た方の感想を見ると、「最後まで観ないとわからない」とか、「2回、3回と観たい」とか。
最後まで観て、観終わったあとで、「あ、あのときのあのシーン、実は伏線になってる!」と発見がある。
ところで、この物語の最大の謎「クッションの[マウス]って、誰?」が、わかりませんでした。
頭の悪さ露呈。でも、わからないまま帰りたくなかったので、終演後、お友達数人と観に来ていた女の子のグループの会話を聞き、
「すみません、ちょっといいですか。マウスって誰かわかりました?」と、かなり勇気を出して、笑 質問しました。
ちなみに、教えてくださった方、とても綺麗な人でした。
その節はありがとうございました。助かりました。
では、その最大の謎から行きましょう。
教えてくれた方が言っていたのは、マウスは、アプルの妻だった。(はっきり性別言ってないから、女性もあり得る、と)
よくよく考えてみると、寺内さんの息子は出てくる。
父と息子、キャッチボールしてる、素敵なシーンが数回ある。
が、奥さんが一回も出てこない。舞台に存在すらしてない。
舞台に出てこなくても、息子がいるから、妻がいる前提で話は進みます。
だから、まさかそこから、途中に出てくる「ゲイタウン」に行ったって話(これも、伏線ポイント)も含めて、ラストに「実は同性愛者だった」所長、とつながって終わるとは。
私はてっきりラクシーだと思っていた。(ウトスと会って見送ったあと、夜ウトスに気づかれないように別の仕事してるんじゃないかと)
そのあとバーテンダーの人かとも思ったけど、この人は違う。
謎解きはできなかった……、後半からストーリー追いかけるのに精いっぱいで、それどころじゃなくて。
登場人物、全員が「二面性」の持ち主なんですよね。
最後の二人のシーン。
あれって、「あなたが、実は同性愛者だってこと、僕知ってますよ」って精神的な部分を責めようとしてる、ってことでいいんですよね?
仕事してるときも、息子とキャッチボールしてるときも、一回も自分が同性愛者だってこと言ってないし、そんな素振りすら見せない。
だから隠してるし、それはつまりアプルにとって、弱点でもある? はず。
私はあのシーン、そういう風にとらえたんですけど。でも、キスする意味が不明。
で、最後にハッピーエンドになった人の共通点は、「二面性があるけど、問題ない人」。
心にダークサイドがない人、と言ってもいいかもしれない。
ヘルヘル王国の王様のそばで秘書になった、実はスパイの彼は、すでに二面性を超えた存在になってますし。
実はお姫様の彼女は、愛する人がいて、信じられる友達もいた。
一方。寺内さん演じるアプル所長は、どこまで本音でしゃべってるかわからない。なに考えてるかわかんない人。
仕事は「好きだから」している。でもその仕事は、拷問屋。一言で言うとクレイジーな悪い人です。
そして、ウトスはコミュニケーションセンターに配属されたばかりの頃と比べて、一人前になったときには、最初に彼女に見せていた明るさとか、上司に指摘された「正直さ」がなくなっていて、「他人の気持ちを見抜く洞察力」が身にについてる。
あと、楽しそうに淡々と拷問するところが、先輩の所長の背中を見ておぼえていったんだろうな、って感じ。
素直な人ではあるんですよね。でもその素直さが最初にあるからこそ、後半、ますます残酷に見える。
始まりが、まず、効果音が痛々しい。拷問するシーン。
両手をいすに固定されて動けない人を、寺内さんが暴力でなにか言わせようとしている。
拷問が出てくるのでSM、というほど単純明快ではない気がする。
主従関係、って言葉が適切かな? 上司と部下、先輩と後輩、っていうのもある意味、立場が対等じゃないので主従関係とも言えるし。
国のために動いていたスパイの人たちは、国と自分の主従関係。
小林さん演じるウトスが、アプル所長に自分の生い立ちを話したとき、
「孤児院にいた」「この国の税金で育ってきた」から、国のために働こうと決めた、と。
彼の場合、自分を育ててくれた国に対して感謝の気持ちがある。だからこそ仕事熱心で、最後は一人前の拷問屋になってしまった、とも言えるわけで。
「僕の命を助けてくれた。だから、助けてくれた人のためになんでもします」的な。
怖いね。盲目的な感謝の念。
その2 に続きます。