その1 の続き。
タイトルから考えて、ギャングと警察官が出てくる、正義対悪みたいな話かなーと思ったけど、やっぱり安達さんの脚本は予測不可能。たぶん、何回予想しても当たらないだろうな。
お客さんが紙くずを投げる。
これ、観客参加型のゲームみたいで、いいと思いました。初めてだな、舞台に物を投げたの。
おもしろかったのが、投げた紙くずが、押見さんの体に当たったこと。しかも押見さんの衣装、上半身裸に黒の革ジャンなので、右の鎖骨のあたりにポンッって当たったのがかなり目立った。
「アンパンマン」のバタコさん並に絶妙なお客さんがいたようで。笑
その瞬間、お客さんが笑って、押見さん「ふっ」と苦笑い。
ちなみに自分は「きっと最後は笑わないシーンで終わるだろう」と予想して、終わる前に紙くず全部投げました。思ったところに投げられなかったなー。
どういうところでみんなダサいと思うのか。それがわかるのもおもしろかった。
セリフを噛んじゃったときもけっこう紙くずが飛んできてた。ダメ出しにもなってたような。笑
まあ、ちゃんと言えなかったっていうのがダサいってことですよね。
一応、男性同士で……、っていうのがありますよ的なことが伝えられるんだけど、そこが笑えるようにしてあるので、説明っぽさがあまりない。そんなに押しつけがましくない。自然に理解できる。
笑えるんだけど、ちゃんとしてる。そのさじ加減がちょうどいい。
役柄じゃなくてご本人の名前で書いてしまいますが。
押見さんにひと目惚れしてずっと見続けてきたのが竹内さんで、そんな竹内さんの気持ちを知っている押見さんがバンドに入れたのが房野さん。その房野さんは、実は、竹内さんが好きだったと。
この三角関係はストーリーのメインではないので、かなり抑えられた形になっていました。
うーん、一方通行で、両想いにならない、……純愛? 笑
(あ、安達さんが恋愛がメインの話を書いたら、それは観てみたいかも。ラブコメとか)
笑えるシーンだけではない。
途中、押見さんといけやさん、犬の心の二人だけが舞台に立つシーンが。
その場面は、まじめなやりとりで、笑いが起きない状況。
このときは、犬の心はキングオブコント2014ファイナリストだ、ということを思いだしたほど。
安達さんの脚本演出の舞台って、笑えるし、たまにとんでもない設定が出てくることもあるけど、その一方で、ちゃんとまじめな部分もあって、観終わったあとに記憶に残る。
印象に残されざるをえない、ってところがすごいんだよなぁ。
きっとこういうことを言いたいんだろうな、と観終ったあとに考えさせられることもあります。
でも、本当はメッセージ性もないし、実はそんなつもりで書いてないですよ、って可能性が無きにしもあらずで。じゃあ、どっちなんだろう? とそこがはっきりしないのも、安達さんらしい。けむに巻かれる感覚。
ストーリー展開をかなりざっくりと考えると。
二人の男がいる。「消えてください。僕の前からいなくなってください」と言う男と、そう言われた男。 →(ここで、過去に戻って)キャットハーツというバンドがいた。 →上京して、売れる。成功する夢をかなえる! →でも、現実はうまくいかない。 →そのバンドの一人だけ、才能があることを見抜かる。チャンスが与えられたのは彼一人だけ。あとは不要と判断される。所属する会社の社長の提案で、キャットハーツは解散。 →(最初の、二人の男のシーンがここで始まる)ライブ前の楽屋で、かつてバンドのボーカルだった男に、もう一人の男は「消えてください(以下省略)」。彼はステージへ。 →その結果、夢を叶え、お客さんがいっぱいいるライブのステージに一人で立つ。 →最後。事故で亡くなった元バンドメンバーの、その現場に来た、元バンドのボーカルの男。田舎に帰って、もう一回最初からやり直す、と言う。
こうして要約して見てみると、けっこうオーソドックスな展開。
だからこそ、ちょっと加減を間違えたらベタになってしまう(「あ、よくある話だよな」って思われるような)気がする。
主人公一人だけに光が当たり続けてない。かといって、脇役が主人公より目立ったりしないようになっていて。
「チェインギャング」は、切っても切れない絆、って意味なんだそうです。
出演した安達さんが自ら言ってました。
あらすじの文章は、歌詞の一部でした。その歌がエンドロールといっしょに流れてました。
あとは、演技力のある芸人さんには、しっかり演技ができる役がキャスティングされてたな、と。
ブロードキャスト!!房野さんは、感情が高ぶって泣く演技がすごい人ですから。
ほかにも、登場した時間は短いけど、思いだすと記憶に残ってる、犬の心いけやさん。
嶋佐さんと屋敷さんは、バンドのメンバーっていう役が似合ってた。普段から、先輩に臆せずガンガン言ってる人たちだから、なのかな? パンクっぽい(例を挙げるなら、漫画「NANA」のブラストみたいな)イメージ。
安達さんの、出演する芸人さんを適材適所に配置する判断力もすごいんだろうな、とお見受けしました。