ネタバレしてます。
アメリカに旅行に行っていた姉・春花事故に遭い、帰国して、しばらく車いすでの生活を余儀なくされる。
ある日、ベッド脇に置いたはずの車いすが窓際に移動していた。
弟・幸一は部屋にカメラを置いて、ひと晩中撮影してみると……。
不可解な映像がいくつも。音で驚かせるのが多い。
ガラスの割れる音は定番で、びっくりする。
不意打ちが予測できない。見るお化け屋敷みたいな。
どういうことなのか、原因は説明されないままストーリーが進んでいく。
不可解な現象は、夜、静かな部屋から始まる。
誰もいないのに、見えないなにかにベッドから引きずりおろされ、ベッドの下に引っ張られ、悲鳴をあげ続ける姉を助けにいく幸一。
幸一が部屋に入ってきて、ベッドの下を撮っても、なにもいない。
春花はだんだんと精神的に不安定になって、「悪魔がいる」「とりつかれてるみたい」と弟に言う。
それから、パソコンで悪魔について調べたり(悪魔の挿し絵。黒いヤギにコウモリの羽根が生えてる)して、幸一が寝ている春花の左手に木製の十字架を握らせ、部屋を出ていった。
このへんで、「春花が多重人格者」「実は弟がやっていた」「それとも幽霊のせい?」といろいろ考える。
でも、映像の収録時間の数字がとんだりしてない。(それがあったら、実は幸一が映像を編集していて、このシーンでこんなことが、っていうのが可能だけど)
十字架が春花の手から床に落ちる。勝手に十字架が床の上をすべって動き、止まる。
部屋の窓ガラスがふたつ、部屋に飾ってある絵のガラスが割れる。
そして、十字架から急に火が。燃えあがり、真っ黒に焦げた十字架。
後半から終わりにかけて、不可解さがいちだんと強くなる。
夜、眠っているはずの春花が起きて、ベッドから立ちあがった。
幸一がふすまから出ている足を見つけて、ふすまをあけようとしたとたん、後ろから春花が来て、幸一に蹴りを。ギプスはめてるからすごく痛そうな音が。
走って家を出て、タクシーをつかまえ、逃げる幸一。
が、タクシーの前に春花が突然現れ、ぶつかった音がして。あ、ひいちゃった……。
場面が変わり、霊安室。画面左側が暗闇。
遺体を確認しに来た幸一。
このとき、遺体は春花のものだと思っていたんですけど。
急に幸一がひざまずいて、引っ張られ、画面左側に連れ去られてしまう。
「山野幸一は死亡
父・繁幸の遺体も自宅から発見。
山野春花の消息は 現在も不明のままです」
英語と日本語の字幕が出たあと。
画面左側、遺体が横たわっているベッドの左。
長い髪の毛で顔のほとんどが隠れて、左眼だけが出ている春花らしき人物が、カメラのほうを向いて立っている。
左眼の黒目がゆっくりとカメラのほうを見て。終わり。
見ているの想像力にかなりゆだねるホラーだなぁ、というのがまず思ったこと。
与えられた情報をもとに想像すると。
あのふすまで倒れていた人は、父親ってことか。
春花は悪魔にとりつかれて、正気を失い、自宅で家族を殺害。その後、行方不明に。
人間じゃないものになってしまった。
ってことですかね。
想像にまかせる終わり方だから、こっちが自由に考えられる分、すっきりはしない。
これはこういうことで、こうでした、ってわからないまま終わるのが苦手な人は、嫌な終わり方です。
両足にはギプスをはめて、歩くときはかなり足音がする春花。
なにかに完全に操られてるような、意識がないのに動く人形みたいな、不自然にひざが折れてる、春花の歩き方が不気味。
ホラーって、静かでなにも変化がない時間(いわゆる「間」)と、画面のどこかに「ここになんか出ないかな」って思わせるような余白(暗闇とか、タンスや仏壇、鏡など)があると怖いんだな、って思いました。