この蚘事、䞉幎前に投皿しようず思ったものですが、倧きすぎるテヌマにビビっおしたい芋送り、今になっお投皿するこずに。

以䞋、匷匕な解釈が展開されたすので、たずもに盞手にしないのが埗策です。

 

以䞋、

『鬌滅の刃』に぀いお、

思いっきりネタバレしたす。

この蚘事を投皿する珟圚、『柱皜叀線』たでしか発衚されおいないアニメ版のみご芧の方をはじめ、原䜜を最埌たでお読みでない方は、この先を決しお読んではいけたせん。

 

たた、ハヌドボむルドミステリヌ䜜家、深町秋生さんの譊察小説にしおバむオレンスアクション小説であり、同時にヒュヌマンドラマずしおの芁玠も濃厚な『鬌哭の銃匟』に぀いおも、テヌマにおいお『鬌滅の刃』ず共通しおいるず個人的に認識しおいるため、この蚘事の埌半でネタバレしたす。

 

 

 

◎       『鬌滅の刃』に芋た家父長制の恐怖

 

「『鬌滅の刃』は家父長制を肯定した、男尊女卑的な䜜品だ」ずいう䞻匵がネットで話題になったそうですが、私の解釈はそれずは真逆です。

むしろ、家父長制の恐ろしさを読者に再認識させ、䞻人公をはじめずした善玉の登堎人物たちが悪玉を駆逐するこずで、“家父長制の克服”を象城しおいるず解釈したした。

 

「この䜜品、家父長制の恐ろしさを描いおるのでは」ず、私が最初に思ったのは、

䞻人公の竈炭治郎が、盟友になり぀぀ある嘎平䌊之助、および我劻善逞ずずもに、那田蜘蛛山なたぐもやたに乗り蟌むくだりでした。

炭治郎たちの前に立ちはだかる环るいずいう敵キャラ、やたらず「家族の絆」にこだわり、さらには家族間の序列を維持するこずに腐心しおたす。

家族間の序列を維持するために担保ずするのは、母や姉ずいった女性家族に、暎力による恐怖心を怍え぀けるこず。

 

环ずいうキャラの倖芋は少幎であり、さらには圌が垰属する擬䌌家族内におけるポゞションが「息子」であり「匟」ではありたすが、擬䌌家族内においお最も匷い歊力を備えおいるこずで、「母」や「姉」、さらには「父芪」にたで呜什をくだせるポゞションに。

珟実䞖界においおも、父芪の肉䜓が加霢により衰えるのず反比䟋し、青幎期にさしかかった息子の肉䜓的匷さがピヌクを迎えたずき、家庭内における父芪ず息子の力関係が拮抗し、やがおは逆転するこずはありたすし、

暎力による嚁嚇力が家父長制を維持する手段ずされおいる家庭内では、DVを行䜿する者が父芪から息子ぞず入れ替わるこずがあり埗たす。

环はそのような珟象を象城しおいるキャラであるず、私は解釈したした。

 

もっずも家父長制を支える「父芪の嚁厳」は、暎力による嚁嚇力だけでなく、経枈力たでもが根拠になるこずも。

『鬌滅の刃』でいえば、「遊郭線」に登堎する堕姫だきずいうキャラクタヌが、幌い女子を虐埅するこずを正圓化するために「わたしがおたえたちを食わせおやっおる」みたいなこずを蚀いたす。

その考えに真正面から異議を唱える我劻善逞がやたらずカッコよく芋えたのは、珟実䞖界の家父長制ずリンクしおいるからに違いないず、私は勝手に思いこみたした。

堕姫は女性キャラであり、家父長制における暩力者、぀たり父芪の象城ではないようにも思えたすが、少幎であり「息子」である环同様、家父長制の副䜜甚を象城しおいるず思えなくもないのでは ず思いたした匷匕すぎる解釈かもですが、この蚘事党䜓が牜匷付䌚な解釈で成り立っおいるこずを自芚しおおりたす。

 

 

さらにはラスボスである鬌舞蟻無惚によるパワハラ䌚議。

「私は決しお間違えない」ずいうセリフずずもにシモベたちをに凄惚な制裁をくわえるシヌンに、家父長制の究極圢態を芋せられた気がしたす。

肉䜓の衰えを知らず、氞遠の呜を持぀鬌舞蟻無惚は、二十䞖玀たでの家父長制ずは違う、二十䞀䞖玀型の家父長制を象城しおいるようにも思えたす。

 

ずいうのは  

今の時代、加霢による肉䜓的衰えを超克した者は少なくないず認識しおいるのは、私だけではないはずです。

ボクサヌのバヌナヌド・ホプキンスが五十歳間近たでずのラむトヘビヌ玚統䞀䞖界チャンピオンだったり、

トム・クルヌズが六十代にしお呜知らずなスタントを自らこなしたり、

同じく六十代の空手有段者がクマに襲われ、目぀ぶし攻撃で撃退したり、

八十六歳の男性が拳銃を入手し、人質をずっお郵䟿局に篭城したり、

九十代の男性が八十キロ玚のむノシシに襲われ、身を守るためクワで応戊しお殺したり、

など、

各事䟋における行為の正邪は様々ですが、肉䜓的な匷靭さを維持する高霢者が䞖界芏暡で増えおいるのは間違いないず思われたす。

 

同じく家父長制をテヌマにした創䜜物でも、二十䞖玀に発衚された䜜品矀の登堎人物たちは、加霢をはじめずした脆匱化から逃れるこずができなかったずいう印象を個人的にはいだいおたす。

スタンリヌ・キュヌブリック監督の『シャむニング』では、ゞャック・ニコル゜ン挔じるDV芪父が経枈力や䜜家ずしおの胜力のなさゆえに、「俺は、倫ずしおも父芪ずしおも尊敬に倀しないのではないか」ず劣等感をいだいおいた。

先日逝去された梁石日ダン・゜ギルさんの『血ず骚』の䞻人公、金俊平キム・ゞュンピョンは加霢による肉䜓的衰えから、か぀お虐埅した息子にすがるようになる。

など。

 

『シャむニング』も『血ず骚』も今なお色耪せない傑䜜であるず思っおいたすが、「暎力的な父芪の恐怖」に限界を蚭定するこずが、発衚された時代、二十䞖玀の珟実䞖界を反映したリアリティだったのでしょう。

 

『鬌滅の刃』は私個人にずっお、『シャむニング』や『血ず骚』ず同様のテヌマがこめられ぀぀、倧正時代を舞台にしおいながら、二十䞀䞖玀における家父長制のリアリティをずもなった䜜品です「私個人にずっお」ず明蚘したのは、異論のある方ずここで議論する぀もりがないこずの意思衚瀺を兌ねおたす。

 

『鬌滅の刃』で描かれる“家父長制の恐怖” に私が珟代的なリアリティをたすたす感じるのは、「DV芪父によるDV芪父ずしおのポゞション維持の長期化、加霢による限界の克服」を描いおいるだけでなく、さらに二぀の点においお珟実䞖界を反映しおいるず思われるためです。

 

ひず぀は、暎君芪父ずしおの振る舞いがドメスティックにずどたらず、䞖間にたで向けられる珟象が描かれおいるように思えたこず。

電車やバスのなか、泣いおいる赀ちゃんを抱っこした他人である母芪に「黙らせろ」などず怒鳎り぀ける高霢男性の映像を各皮SNSで芋かけるこずが少なくないような気がしたす。

『鬌滅の刃』でいえば、鬌舞蟻無惚が倪陜を克服し、倜だけでなく日䞭も倖界で掻動できるようになるこずを最終目暙ずしおいるのが、「暎君ずしお掻動できるのが倜のあいだに限られるなんお、玍埗できない 暎君ずしおの俺の行動を䞖間は認めろ」ず䞻匵しおいるようにも思えたすそれず関連しおいるのか分かりたせんが、クラむマックスにおける鬌殺隊ずの総力戊のさなか、「私たち鬌に身内を殺されおも、自然灜害だず思えばいいじゃないか。それなのにここたで私たち鬌を憎む鬌殺隊は異垞者集団だ」ず逆ギレするセリフもありたした。

 

 

もうひず぀は、DV芪父に虐埅を受けた子どもたちがDV芪父に抵抗する過皋においお、やがおは自らもDV芪父ず化しおしたう珟象が描かれおいるように思えたこず。

先述した“环”のように「息子」ずしおのポゞションのたた、生たれ育った家庭内における優䜍性を父芪から「クヌデタヌによっお匷奪」する珟象ずずもに、

父芪からDVを受けお育った息子が結婚し、生たれ育った家庭ずは別に自らの家庭を築いた埌、DV芪父ずしおの地䜍を「䞖襲」したかのように、劻や子どもに察しDVを振るうようになる珟象も、珟実䞖界では少なくないず思っおたす。

 

『鬌滅の刃』でいえば、炭治郎の効である犰豆子にずっお、鬌舞蟻無惚は鬌ずしおの呜を吹き蟌んだずいう意味で、第二の父芪ずもいえる存圚かも。

炭治郎から芋れば、実の効である犰豆子が、血の぀ながりがないながらも「効」ず呌ぶ女子ぞず倉化したずずらえるこずもできるのではないかず、私は匷匕に解釈したした。

珟実䞖界に近づけおいえば、犰豆子は継父の連れ子、぀たり血の぀ながりのない効ぞず倉化しおしたったのであり、鬌舞蟻無惚は炭治郎の継父にあたる存圚ずいえるかも。

継父が家庭内でDVの振るい手ずしお君臚しおいれば、それはそれで家父長制の䞀圢態にほかならないはず。

鬌舞蟻無惚ずの戊いの果おに、犰豆子は人間にもどったものの、炭治郎自身は鬌になっおしたう。

鬌舞蟻無惚から、鬌のボスずしおの地䜍を「䞖襲」させられるずいう圢で。

 

 

著者でいらっしゃる吟峠呌䞖晎さんは、炭治郎が犰豆子やカナヲ、䌊之助らの尜力のおかげで人間にもどされるこずはもちろん、

物理的な匷さを人間の䟡倀を枬る唯䞀の尺床にしおいた、぀たりは家父長制ず芪和性の高い登堎人物だった䌊之助が、顔もおがえおいない母芪、さらには胡蝶しのぶを匔うべく、栗花萜カナヲず力を合わせ䞊匊の匐を撃退し、最終的には女性ぞの敬意をいだくたでに成長する埌日談たで䞁寧に描くこずで、

心地よい読埌感をもたらしおくださいたした。

 

繰り返したすが、以䞊はすべお私個人による牜匷付䌚な解釈にすぎず、ほかの人に抌し぀ける぀もりはたったくありたせん。

著者でいらっしゃる吟峠呌䞖晎さんが実際にはどのようなテヌマを䜜品にこめられたのか、いち読者にすぎない私に分かるはずがありたせんし。

こう明蚀しおもなお、「あんたの解釈はあんた個人の䞻芳に過ぎたせん」ずいったコメントが寄せられたこずが、過去に投皿した映画レビュヌの蚘事ではありたした。

 

 

 

 

 

◎       『鬌哭の銃匟』に芋る家父長制ぞの嫌悪感

 

映画『枇き。』や『ヘルドッグス』の原䜜者である深町秋生さんの『鬌哭の銃匟』が先月文庫化されたしたが、私が初めお読んだのは䞉幎ほど前。

読みはじめおしばらくしお思ったのは、「この本にサブタむトルを぀けるずしたら、『もしも、「血ず骚」の䞻人公である金俊平が、珟代瀟䌚においお定幎退職した元刑事だったら』だな」ずいうもの。

 

ずいっおも、䞻人公は定幎退職した元刑事ではなく、その息子である珟職の刑事のほう。

䞻人公である珟職刑事、日向盎幞の自宅近蟺で拳銃発砲事件が起き、珟堎に残された銃匟が未解決の凶悪事件で甚いられたのず同䞀の拳銃から発砲されたものであるず刀明する。

それを機に未解決事件の再捜査が倧々的に行われるこずになり、盎幞もその捜査にくわわるこずになるが、再捜査の契機ずなる発砲事件に元刑事である実父、日向繁が関わっおいるこずが明らかになる。

盎幞は父芪ぞの憎悪を再燃させるず同時に、父芪のDVから亡母を守るこずができなかった過去を悔い、出産を控えた愛劻をいたわり぀぀自分もいずれはDV倫、DV芪父になっおしたうのではないかず怯え  

ずいう展開。

 

深町秋生さんの䜜品なので圓然のこずですが、譊察小説ずしおもミステリヌずしおも、バむオレンスアクション䜜品ずしおも秀逞。

 

譊芖庁の刑事ず所蜄譊察眲の刑事が駆け匕きするくだりや、猛暑日が぀づく真倏の地取り捜査で日焌け止めを塗り忘れた刑事が皮膚を火傷するなど、譊察小説ずしおの现郚の描写が読んでお心地いいです。

盎幞の劻や䞊叞、捜査線䞊に浮かんだ故人の息子など、脇圹たちの描写も立䜓感をずもなっおいおリアル。

 

登堎する火噚類のチョむスがたた、ハリヌ・キャラハンの愛銃であるスミスりェッ゜ンMだったり、ゞェヌムス・ボンドの愛銃であるワルサヌPPKだったりするのも、「片やリボルバヌ、片やセミオヌトマチックずはいえシングルカラムマガゞンであり、どちらも装匟数が少ないずいう点では共通する。倚勢に無勢の敵ず撃ち合うシチュ゚ヌションではハンディになるだろ」ず、スリルの盛りあげに貢献しおいお玠晎らしいMもPPKも、䞻人公である盎幞やその同僚刑事が譊察組織から支絊されたずいう蚭定ではないので、譊察小説ずしおのリアリティは損ねられおいたせん。

 

譊察小説ファンやバむオレンス小説ファンを喜ばせるツボをしっかり抌さえ぀぀、『鬌哭の銃匟』が同じゞャンルの他䜜品矀ずくらべ異質に感じられるのは、ストヌリヌ党䜓を通し、子どもや配偶者を虐埅する者たちぞの怒りず嫌悪感がフォヌカスされおいるため。

冒頭シヌンでは埌に起きる本題ずはたったく別事件の捜査に盎幞があたっおたすが、それからしお我が子を虐埅し、死に至らしめた被疑者の取調。

この巧みな冒頭シヌンのおかげで、骚肉の呪瞛に翻匄される日向盎幞の心理ぞずスムヌズに入り蟌めたした。

 

もっずいえば、盎幞が少幎時代に受けたDV被害のフラッシュバック描写の数々が生々しく感じられおしたいたす。

特に読むのが぀らかったのは、盎幞の母の入济䞭に父である繁が䞍意打ちのように垰宅するシヌン。このくだり、思春期の盎幞にずっおあるこずが぀らかったず曞かれおいたすが、その気持ちが本圓によく分かりたす。

テレビでスポヌツニュヌスが流れたずきなど、日垞の些事にたで少幎時代の蚘憶を喚起させられるずいうくだりも、読んでおかなり぀らかった。

 

『鬌哭の銃匟』がほかの譊察小説やバむオレンス小説ずくらべ異質なだけでなく、

家父長制の恐怖をテヌマにした䜜品ずしおも異質に感じられるのは、

「䞻人公にこんな぀らい蚘憶を怍え぀けたくらいだから、その父芪には嫌悪感しかいだけないだろう」ずいう予想をあっさりず裏切り、ストヌリヌが䞀筋瞄で展開しないため。

特に盎幞の父芪、日向繁が満を持しお初登堎するシヌン、最高に巧みなタむミングず状況蚭定なおかげで最高にカッコいいです。

近いうち孫が生たれる還暊を過ぎた男でありながら、逆䞉角圢の䜓型ず高床な戊闘術を維持し、歊装した犯眪者集団を盞手に単身で察等以䞊に枡り合う。

譊察隊が到着する前に珟堎から逃走する手段にも意倖性がありすぎお、リアリティずケレン味のサゞ加枛が絶劙です。

 

初登堎の仕方はカッコいいヒヌロヌキャラそのものなのに、我が子である盎幞を鉄板入りの安党靎や倧型懐䞭電灯でブチのめすだけでなく、目的達成のために亡劻を死埌もなお蹂躙する行為には、『血ず骚』の金俊平もかくやずいうほどの鬌畜っぷりを感じたした。

還暊ずいう幎霢にくわえ、劻の尊厳を螏みにじる期間が圌女の死埌も継続しおいるずいう点、「粟神的な成長をずもなわないたた匷靭な肉䜓だけを維持する高霢者が増えるにずもない、DV芪父がDV芪父ずしお君臚する期間が瀟䌚で広く長期化しおいる」ずいう珟象を違和感なくストヌリヌに溶け蟌たせる技法が巧み過ぎ、「こんなに憎たらしい登堎人物を創りだすなんお  」ず、深町秋生ずいう䜜家に恐ろしさすらおがえたす。

 

『血ず骚』の金俊平は加霢にずもない、我が子を産たせるための女性探しに執着するようになったのに察し、

『鬌哭の銃匟』の日向繁は子孫繁栄にはたったく興味がない。

孫が生たれるこずにも喜びをおがえず、未解決事件にケリを぀けるべく犯人たちずの決闘の地ぞ向かう途䞭、パヌキング゚リアのトむレでは息子である盎幞に察し、今どき䞭孊生男子でもしなさそうな幌皚で䞋劣なマりントの取り方をする。

金俊平ずのこの違いもたた、「昭和のDV芪父である金俊平VS平成および什和のDV芪父である日向繁」の違いがクッキリず浮き䞊がっおいお面癜かった。

人間が皮を保存する手段においおも、昔ず今では違いが生じおいるのかもしれない。

 

ヒトの平均寿呜が短かった時代には、自らが長く生きられないがゆえに、その代替手段ずしお子や孫、曟孫が安寧に生きるこずを望たざるを埗なかったのに察し、

人生癟幎時代が到来した珟代では、子や孫、曟孫の繁栄よりも、自分自身がより長く生きるこずを優先させる者が増えおいくのかもしれない。

再生医療が今埌たすたす発達し、䞍老䞍死が絵空事ではない時代が到来すれば、家族どうしや芪子間の関係は今ずは違う圢になるかも

この点、『鬌滅の刃』の鬌舞蟻無惚が最期にずった行動を連想させられたす。

自らの氞遠の呜に疑問を感じなかった段階では、自分の子孫を残すこずになど埮塵も興味がなかった。

鬌殺隊ずの戊いの果おに自らの呜が終末を迎えるず悟るず同時に、人間たちに灜いをもたらす鬌のボスずしおの地䜍を炭治郎に匷匕に匕き継がせようずした。

 

私の解釈を基にすれば、鬌舞蟻無惚ず金俊平、それに日向繁がずる行動の違いはそれぞれの䜜品のゞャンル、および䞊梓された時代の違いによるものであっお、根底には共通点があるように思えたす。

『血ず骚』のラストでは金俊平の息子が「いくら暎君だったずはいえ、実の父芪を芋捚おた自分は冷血人間なのだろうか」ず自問し読者に苊味をもたらすのに察し、

『鬌哭の銃匟』のラストは『鬌滅の刃』同様、読者に垌望をいだかせたす。

ずはいえ深町秋生䜜品らしく、最䜎限のリアリティは堅持しおいる。

特に盎幞のキャリアの垰結に関しおは、胜倩気タむプのハリりッド映画によくある「䞊叞や組織の呜什にそむいたものの、事件解決に貢献した䞻人公が名誉に济する」ずいうものずは真逆。

これも深読みすれば、「盎幞は繁ずは違い、蟣腕刑事ずしおではなく、良き倫、良き父芪ずしお生きおいく」ず暗瀺しおいるのかも。

 

 

 

以䞋蛇足

 

『鬌滅の刃』のワンシヌンに぀いお

䌊之助が䞊匊の匐ず察決するシヌンには『リヌサル・りェポン2』のクラむマックス導入口ず共通点があり、読みながら興奮したした。

『リヌサル・りェポン2』のクラむマックス手前、䞻人公であるマヌチン・リッグスは察峙すべき敵が二重の意味で埩讐の察象であるこずに気づきたす。過去ず珟圚ずいう、二重の意味で。

䞊匊の匐ず察峙した䌊之助もたた、目の前の敵が過去ず珟圚における二重の意味での埩讐の察象であるこずに気づき、私に感情移入させたした。

胡蝶しのぶが私にずっおお気に入りキャラだっただけに、なおさら。

たたリッグスも䌊之助も、二重の埩讐を認識する盎前、状況打開のために自ら関節を脱臌させたずいう共通点もあっお面癜い。

 

『シャむニング』に぀いお

続線映画『ドクタヌ・スリヌプ』のラスボスである女性キャラは、浅草に珟れたずきの鬌舞蟻無惚のような服装であり、自分ず同じような胜力を持぀者たちの総締め的なポゞションである点でも鬌舞蟻無惚ず䌌おたす挔じるのは、ミッション・むンポッシブルのパヌトからたでに登堎した、元MI情報員圹のカッコいい女性。

『シャむニング』は私の解釈では『鬌滅の刃』ず共通するテヌマですが、『ドクタヌ・スリヌプ』では家父長制の恐怖は描かれおたせん。

それなのに、鬌舞蟻無惚に䌌た悪圹が登堎するのは面癜い偶然。

『ドクタヌ・スリヌプ』、クラむマックスでこそ超胜力バトルが展開されたすが、その手前ではリアルな銃撃戊アクションがあり、「䞻人公も敵も超胜力の䜿い手なのに、どうしお銃撃バトルを」ず䞍思議に思い぀぀、ドンパチアクション倧奜きな私は喜んでしたいたした。

たあ、䞻人公が仲間ずずもにボルトアクションラむフルを䜿い、拳銃を撃っおくる敵たちを拳銃の有効射皋距離倖から着実に倒す身も蓋もない描写に笑っおしたいたしたが。

 

『鬌哭の銃匟』に぀いお

DV倫でありDV芪父である元刑事の暎走ずいう点では、深町秋生さんのデビュヌ䜜『果おしなき枇き』ず共通しおたす第䞉回『このミステリヌがすごい』倧賞受賞䜜。

『果おしなき枇き』のストヌリヌでキヌパヌ゜ンになるのは、䞻人公の嚘である加奈子ずいう登堎人物。

加奈子も『鬌哭の銃匟』の日向盎幞同様、母ずずもにDV被害を受けたずいう蚭定ですが、良き倫、良き刑事たらんずする盎幞ずは正反察の人栌。

悲劇を増殖するモンスタヌ的存圚ずいう意味では鬌舞蟻無惚ず䌌おたすが、なぜか女性ファンが倚いようです。

私の身近にも、「加奈子に恋しおたす」ず蚀っおはばからず、『果おしなき枇き』を読む甚ず保存甚の二冊賌入した二十代女子がいたりず。

 

ずいうこずで、「だから䜕」ず蚀われれば、「いえ、䜕でもありたせん、すいたせん  」ずしか返しようのない駄文で、この無駄に長い駄蚘事を締めさせおいただきたす。