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龍慈ryuukeiのブログ

愛一元の世界ここに在り。
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柴田祐二の婚約者である南由美子が、お茶を運んできてくれた。

 

八女茶の芳醇な香りが、極上のセラピーのように峰子をリラックスさせてくれた。

 

 

そこに柴田祐二が沢山の書類を持って現れると、挨拶も早々に報告と説明を始めた。

 

 

坂本保からの殺人未遂の件。

 

坂本朝治からの殺人未遂の件。

 

坂本朝治からの名誉棄損の件。

 

村井安男からの名誉棄損の件。

 

週刊分瞬に対して、虚偽の記事による名誉棄損の件。

 

古田清元弁護士からの名誉棄損の件。

 

 

これらの案件について、峰子が納得して承諾すれば、遂に示談を迎えるのだ。

 

 

峰子はまず、坂本保の件について、示談を承諾した。

 

きっと彼は極刑は免れないだろう。

 

彼にはもう未来はない。

 

峰子は、前を向いて今を生きている自分を感じた。

 

 

坂本朝治に於いては、実刑判決が出る可能性が濃厚だったので、減刑の為に峰子との示談が不可欠だった。

 

彼が週刊誌の記者を使って余計な事をせず、大人しくしていれば、今頃、執行猶予付きの判決で済んでいたはずだったのに、バカな事をしたものである。

 

現時点で拘留中の坂本朝治は、示談を急ぐ為に破格の慰謝料と書面による謝罪を提示してきた。

 

 

峰子は、謝罪を受ける事と慰謝料で合意し、示談する事を承諾した。

 

 

古田元弁護士とも、謝罪と慰謝料を受け取る事で合意し、峰子は示談を決めた。

 

元弁護士だけあって、非常に事務的にスムーズに話し合いが進んだと、祐二は笑った。

 

 

週刊分瞬との話し合いもスムーズだったが、村井安男との話し合いが中々進まず、柴田祐二は苦労したようだった。

 

 

しかし、何とか村井とも話が付いたと聞き、峰子は示談を承諾した。

 

 

 

峰子に報告を終えて、示談の承諾を得ると、柴田祐二は心から安堵した。

 

その顔には疲労の色が浮かんでいたが、表情からは達成感の大きさが感じられた。

 

 

峰子は感謝を込めて言った。

 

 

「先生、本当にありがとうございました。先生のお陰で安心していられました。」

 

「いえいえ、今回は僕も学ぶ事が沢山あって、有意義な時間でした。それに峰子さんのお陰で、来週からはテレビ番組のレギュラーが決まりました。」

 

「それは先生の魅力と実力ですよ。ね、由美子さん(笑)」

 

 

由美子が赤くなって笑った。

 

 

思い出したように祐二が言った。

 

 

「あ、そうそう。峰子さんのご両親ですが、金銭の要求をした件で、重大な約束事項に対する違反行為により、峰子さんがあなた方からの虐待の事実を新聞のコラムで公表する、とお伝えしておきました。」

 

「ありがとうございます。コラムにバッチリ書いたので、少しは大人しくなってくれれば良いんですが。」

 

「周りの目を気にされる方々なので、コラムが出れば、きっと変化すると思います。」

 

 

峰子は頷いた。

 

 

「そうですね。全部上手く行く気がします。」

 

 

タイミング良く、由美子が笑顔と共に、お茶のお代わりを出してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

峰子は、執筆したコラムをデスクの井坂に渡すと、毎朝新聞社を出て柴田弁護士法律事務所へと向かった。

 

 

峰子は歩きながら、高校三年生の頃の記憶を頭の中で辿った。

 

 

それがコラムに書いた『イジメを受けていた時期』だった。

 

 

高校三年生の初日、クラス分けされた自分の教室に行き、出席番号順に着席すると、峰子の後ろの席に座った初対面のクラスメイトが、峰子の座っているイスをゴンゴンゴンゴン蹴ってきた。

 

 

峰子は後ろを振り向いて言った。

 

 

「ちょっとイス蹴って来んの止めてよ。」

 

「蹴ってへんけど?(笑)」

 

 

それが中村依子との出会いだった。

 

依子はそれ以来、峰子に対して、後ろから蹴って来たり、消しゴムを使った後のゴミを背中にかけて来たりした。

 

 

嫌がらせは、すぐにエスカレートしていった。

 

依子たちは、峰子の悪口を書いたメモを授業中に皆に回したり、音楽の授業で使うリコーダーや持ち物を盗んだりもするようになった。

 

 

峰子は、良い事も悪い事も7倍返しが信条だったので、キッチリお返しする事にした。

 

 

峰子はまず、依子の仲良しグループ以外のクラスメイトがイジメの被害に遭わないよう、細心の注意を払いながら、依子たちの知らない所で皆に話をして纏めて行った。

 

大多数のクラスメイトは、依子とその友達の傲慢な態度に不快感を持っていたので、あっという間に結束していった。

 

 

クラスメイトの中には、依子たちが峰子の持ち物を盗んでいる所を目撃した為に、依子に脅されたという人や、嫌がらせを受けた人も複数いて、それが皆の怒りに拍車をかけた。

 

 

こうして、クラスメイト達で判った情報を共有していく内に、打倒依子群団の結束は強くなって行ったのである。

 

 

依子たちのイジメ現場の音声も録音して、証拠となる言質が取れた。

 

 

そうして、いよいよⅩデーがやって来た。

 

 

 

 

その日、依子たちは掃除当番をサボって帰ろうとしていた。

 

 

それをクラス全員で取り囲み、足止めした。

 

 

ある運動部の部長をしている人が、初めに言った。

 

 

「中村依子と東野通子、それと加藤文代、何で帰ろうとしてんの?あんたら掃除当番やろ!」

 

「マリが代わってくれるっていうから、なぁマリ!」

 

 

マリが眉を吊り上げて言った。

 

 

「依子が勝手に押し付けてきたんやろ。いっつもいっつもホンマにいい加減にしてよ!」

 

 

依子の金魚の糞の通子と文代が、マリに詰め寄る様に前に出てきた。

 

 

「何やて?もっかい言うてみ?」

 

 

峰子がマリを庇うように、間に入って言った。

 

 

「東野通子と加藤文代も、中村依子と仲良いだけあって、ホンマに根性とお行儀が悪いな。」

 

 

そこで依子がいきがって言った。

 

 

「みねこ!お前、ウザいんじゃ!」

 


 

 

「あら、中村依子さん、アンタが汚い足で蹴って来るから私のお尻に青痣が出来てさ~、病院で暴行によるケガとして診断書もらってんけど、それで何すると思う?」

 

「私そんなん知らんで~(笑)」

 

「私、依子が峰子を蹴ってるの見たで。」

 

「私も見たわ。」

 

「いっつも蹴ってたよな~!」

 

 

10人位が証言すると、依子は皆を睨んだ。

 

 

峰子が言った。

 

 

「うわっ!こわっ!中村依子が皆を睨んでるわ~!いつもみたいに脅してんのん?」

 

 

依子たちが黙った。

 

そこに、いつも大人しい安藤洋子が、勇気を振り絞って言った。

 

 

「私見たのよ!依子たちが峰子のリコーダー盗んでるとこ!」

 

 

それを聞いた依子が真っ赤になって言った。

 

 

「お前!黙っとけ言うたやろ!」

 

 

峰子が言った。

 

 

「ちょっと皆(笑)いまの聞いた?中村依子ったら、盗みを丸っと認めたよね?」

 

「聞いたで~(笑)」

 

「聞いた聞いた(笑)」

 

 

そこにいた依子一派以外の全員がクスクス笑いながら頷いた。

 

 

そこで峰子が制服のポケットから録音機を出して、依子たちに見せた。

 

 

「全部録音しました。これ、幾つダビングしよかな?学校用と週刊誌用と、依子たちのご近所用と、あ、将来の就職先とか、結婚相手の実家とか、子供の幼稚園や学校用とか、人生終わらせる位、たっくさんダビングしとこ(笑)」

 

 

依子たちは峰子の言葉に、青くなって震え出した。

 

どもりながら通子が言った。

 

 

「あああ頭おかしいんちゃう?」

 

 

「そんだけ私らを怒らせたっちゅう事よ(笑)まずは警察に行って被害届出して、サクッと犯罪歴付けてもらうわ。金銭的な被害大きいからな。リコーダーって結構するねんで。」

 

「暴行罪もやな。」

 

「そうそう。慰謝料も貰わなあかんな。警察に言うてから次に学校やね。一生の付き合いになるね~(笑)よろしくね~(笑)」

 

 

依子たちは泣き出した。

 

それでも、一言も謝らなかった。

 

 

次の日から、依子たちは登校してきたが、この教室にはどうしても入って来れなかった。

 

その代わりに、依子たちグループのリーダーのいる他のクラスに机とイスを運んで、彼女たちは勝手にそちらに行った。

 

 

これは学校で大問題になった。

 

 

しかしそれ以来、依子たちグループの全員がイジメや盗みを行うコトは無くなり、学校に平和が訪れたのであった。

 

 

峰子はこのエゲツナイ経験を、ふんわりソフトな表現にして、コラムに書いたのだった。

 

 

峰子がイジメを解決した方法は、強烈なハムラビ法典チックなやり方だった。

 

 

イジメをする者の中には、とことん根性が悪い人間がいるのだ。

 

そういう人には、正攻法のやり方では効かない。

 

 

話して判る人は、イジメ何てしないのだ。

 

 

 

柴田弁護士法律事務所へ着いた峰子は、今イジメに遭っている人たちに、心から笑える日が来ることを祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

毎朝新聞の報道部でデスクをしている井坂は、峰子の原稿を全部読んで、むむむむむ~~~~っと唸った。

 

 

「峰子ちゃん、これさ~、イジメの解決法。実体験なんだよね?」

 

「はい、そうです。」

 

「いやいやいやぁ~~~~っ!すごいねっ!目から鱗が滑り落ちちゃったよ(笑)」

 

 

峰子は少し恥ずかしくなって、顔を赤らめながら言った。

 

 

「包み隠さず書いたんですが、載せられますか?大丈夫ですか?」

 

「ああ、それは大丈夫だよ。でも、斬新過ぎてビックリしたっていうか(笑)」

 

「どっちが加害者か判らないとか?」

 

「イジメる方も、人を見てからしないとね~(笑)」

 

「自業自得です。」

 

 

20回分のコラム全部にデスクのOKが出て、峰子は達成感を感じた。

 

デスクにお礼を言った。

 

 

「ありがとうございます。では、どうぞよろしくお願いいたします。お疲れ様です。」

 

「こちらこそですよ~。次の原稿が楽しみだ、峰子ちゃん、よろしくね~。お疲れさん!」

 

 

峰子が挨拶をして去ろうとしていると、森川が取材から帰って来た。

 

 

「峰子さん、お疲れ様。コラム?」

 

「はい、森川さん、お疲れ様です。」

 

 

井坂が森川に行った。

 

 

「森川ちゃん、これ、傑作だったよ。読んでみな(笑)」

 

 

森川が井坂から峰子の原稿を受け取り、一気に読んだ。

 

 

「ぶわっはっはっはっ!峰子さん、マジすごいな!」

 

 

爆笑する森川に、峰子が言った。

 

 

「笑って頂けて、安心しました。」

 

「一人のチカラのスゴサを感じたよ。」

 

 

その言葉に、峰子は微笑んだ。

 

 

「自分には力があるって事を、イジメられてる子が自覚してくれたら。ひとりでも心からの笑顔が増えるといいなって思います。」

 

 

井坂と森川が、峰子の言葉を聞いて、深く頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢の中だったのか、どこかの空間だったのか判らないが、とても美しい音色が聴こえた。

 

 

 

その音色は、何故かすごく懐かしく、少しだけ切ない気持ちを、峰子に思い出させた。

 

 

目覚める前の、ほんの一瞬の事だった。

 

峰子は確かにその音楽に触れた。

 

 

しかし、もう一度思い出そうとすると、旋律は消えてしまった。

 

 

「あれはこの世の曲じゃない。」

 

 

けれど、経験するコトには、ひとつの無駄もないのだ。

 

 

多分、何か始まるのだろう、峰子はそう感じた。

 

 

 

起き上がると峰子は、身支度を整え、熱い珈琲を淹れてゆっくり飲んだ。

 

噂好きの小鳥たちが、元気にさえずっているのが聞こえる。

 

 

「あの尖がり屋根の家のおばーちゃん、猫と鳥に毎朝ご飯くれるんだよ。」

 

「ホントに?じゃあ、明日の朝行ってみよっと。」

 

 

小鳥たちの会話を聴きながら、のんびり新聞を読んで、珈琲を飲み終わると、峰子はテーブルの上に原稿用紙とお気に入りの万年筆を出した。

 

 

今日は毎朝新聞のコラムを10回分書いて、明日デスクに渡す約束なのだ。

 

その後は、柴田弁護士法律事務所へ行き、柴田祐二から民事訴訟について報告を受ける事になっていた。

 

 

 

コラムに書きたいエピソードは、山ほど有る。

 

峰子は箇条書きにしたメモを、丁寧に整理して優先順位を決めると、集中して書き始めた。

 

 

今回のテーマは、自分が幼い頃経験した、親からの虐待と、学生時代のイジメ問題だ。

 

重いテーマなので、暗くなり過ぎないように、そして、只の恨み言で終わらないように、過去を優しく包んで淡々と描く。

 

 

峰子が一番大事にしているのは、この内容が、暮らしの中で役立つノウハウになって、苦しんでいる人の役に立つモノになるコトだった。

 

 

虐待については、その内容やその時の感情、そして家族の反応等、家庭環境や近所の人についても触れ、虐待防止に必要な事を考えてみる、というスタンスで書いた。

 

イジメについては、どうやって解決したのか?という自分自身の経験談と共に、被害者と加害者の両者にケアをする事が必要なのでは?という提案も書いた。

 

 

サイコパスで無い限り、イジメで憂さを晴らすような未熟な人でも、成長と共に成熟した人格になる可能性だってある。

 

 

どんな風に生きたいか?

 

どんな人でいるのか?

 

本当は、全部その人が決めている。

 

けれど、どんな人と人間関係を結ぶのかで、考え方は大きく左右するのだ。

 

人間は共鳴する生き物だから。

 

 

目標にするような人と付き合えば、自分も影響される。

 

 

周囲に影響されて日本語を話すように、周囲に影響されて強くもなれるのだ。

 

 

峰子は今、自分はとても幸せだと感じていた。

 

 

何事もなく日々無事に暮らせる事ほど、素晴らしい事は無いのだと、峰子は知っている。

 

 

我が親の暴力と暴言と知らぬふりで、一生分の苦しみを使い果たしたので、峰子にはもう既に、苦しみの持ち分は残っていなかったのである。

 

 

あっという間に10回分のコラムを書き上げたが、峰子はまだ書き足りなかったので、更に10回分を書いた。

 

 

こういうのはノッテいる時に書いてしまいたいのであった。

 

 

コラムを書き終わった峰子が、物干しで洗濯物を干していると、何だか空が騒がしい。

 

 

見上げると、上空には沢山のUFOが来ていた。

 

そのUFO群団のひとつから、クラークさんが峰子に交信してきた。

 

 

「今から裏宇宙会議が開かれます。貴女は招待されました。いらっしゃいませ。」

 

「分りました。意識のみの参加ですね?」

 

「はい。器は置いて行ってください。」

 

「では、洗濯物全部干したら伺いますね。」

 

「お待ちしてます。」

 

 

峰子はこの日から、裏宇宙会議なるモノに参加する事になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、峰子はマネージャーの神野と、関西ローカルのテレビ局にいた。

 

 

お昼の情報番組で、水曜日のレギュラーコメンテーターとして選ばれたのだった。

 

その番組は、司会を売れっ子芸人が勤めていて、弁護士や大学の教授や作家等の著名人がご意見番として、ピリッと辛口の発言をする事で人気のある、全国放送の番組だった。

 

峰子はそこにタレント枠で入ったのだ。

 

 

峰子は神野と共に、共演者の楽屋を爽やかに挨拶回りして、礼儀を尽くした。

 

 

生放送の二時間番組は、峰子にとって刺激的で楽しい時間となった。

 

 

無事に放送が終わると、峰子は水曜日のレギュラーの皆さんから歓迎会に誘われた。

 

 

峰子は歓んで神野と参加する事にした。

 

 

共演者の人たちは、皆素敵な人ばかりだ。

 

 

峰子は、自分のような若輩者にも、分け隔てなく歓迎会を開いてくださるという、人生の大先輩たちの心遣いに、とても感謝した。

 

 

場所はミナミの周防町にある『ピッグテール』というキャッシュオンデリバリーのお店だった。

 

 

自分で選んで、カウンターで注文してその場で支払う形なので、飲みたいモノを飲み、食べたいモノが食べられる。

 

 

峰子は、そのお店の雰囲気がとても気に入った。

 

 

初めてダーツをしたりして、峰子は愉しく大人の気分を味わった。

 

 

貸し切りではないので、他のお客さんもいたが、殆どが外国人で日本人は少なかった。

 

 

 

歓迎会がそろそろお開き、という頃、ある一人の白人男性が峰子に話しかけてきた。

 

 

神野は別の用事が出来て、先にお店を出ていた。

 

 

その男性は、峰子が一人になるのを待っていたようだった。

 

何度か目が合っていたので、峰子はそう感じた。

 

 

流暢な日本語で話しかけてきたその人は、マイケルと名乗った。

 

 

そこで峰子は気付いた。

 

マイケルの口は動いていない。

 

テレパシートークだった。

 

 

峰子もテレパシーで返答した。

 

 

「貴女アメリカに来ませんか?」

 

「旅行という事ですか?」

 

「いえ、Lhasaであなたの特技を使う。仕事のスカウトです。」

 

「スカウト?」

 

「はい、この会話はシールドされていて、他の人には聞こえません。ご安心を。」

 

 

峰子は少し笑った。

 

 

神野には内緒にしたい内容なのだろう。

 

 

マイケルは続けた。

 

 

「興味ありますか?」

 

「余り無いです。ごめんなさい。」

 

「でもね、報酬は一時間で一千万円です。今の報酬とは比べ物にならないでしょ?」

 

 

マイケルは肩をすくめて掌を天井に向けてお道化て見せた。

 

 

「でもそれ、結構な条件があるんでしょ?」

 

「まぁね。家族や友達や会社、地球の平和の為に今までの人間関係を全部切ります。そしてLhasaの施設で生活する。生活のすべては保障されます。好きな物を飲んで食べて、好きな物を着ます。でも他からの仕事は受けてはいけない。外出する時には安全の為SPが付きます。」

 

「それじゃあ、お金が沢山あっても、愉しく遊べないですよね。それは嫌です。」

 

「一時間二千万円でもダメですか?」

 

「使えないなら、持って無いのと同じですよ。」

 

「残念です。でも気が変わったら、マイケル!と呼んでください。結社にはご内密に。」

 

「結社の人には言いませんよ。」

 

「thank you!」

 

 

マイケルは手を振ってお店から出て行った。

 

 

峰子は共演者の皆さんに感謝を告げて、帰路に就いた。

 

 

地下鉄に乗ると、中吊り広告のポスターで里美が笑っていた。

 

 

一柳から、里美が来月歌手デビューすると聞いていた。

 

 

里美は里美で、忙しく頑張っているのだ。

 

里美の人生の時間は、勢いよく流れ始めている。

 

 

里美は志事が忙しくなるので、先月セキュリティーのシッカリした大阪市内のマンションへと引っ越して、気の合う女性マネージャーと住んでいた。

 

 

そのマンションからは、天神さんの花火が奇麗に見えるそうだ。

 

 

峰子も一緒にどうか?と一柳に言われたが、峰子は断った。

 

 

今住んでいる家の意識が気に入っていたし、結界が心地良かったからだ。

 

 

それに、龍君の好物のコロッケは、ここじゃないと手に入らないのだ。

 

 

帰宅すると、峰子は家に挨拶して、留守を守ってくれていた事に感謝した。

 

家も峰子に、おかえりなさいと帰宅に感謝を返してきた。

 

 

冷蔵庫から冷えた麦茶と茹でたトウモロコシを出し、夜食を少し食べて、ゆっくり湯船に浸かって入浴した。

 

峰子は、こうして丁寧に生活をするのが好きだ。

 

 

風呂上がりに、柔らか目の歯ブラシを使って、時間をかけてプラークコントロールをする磨き方で歯を磨くと、一日の終わりがスッキリする。

 

 

 

ずっと張り付いていたLhasaの監視も、この家の中に入った途端に気配が消えてしまった。

 

この家は、デキル子なのである。

 

 

しばらくの間、スカウトを受けた峰子は監視対象になるだろう。

 

 

Lhasaと対立する集団にも、気を付けるようにしようと、峰子はベッドに入って考えた。

 

 

そして、明日を楽しみにしつつ眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

ピッコラの本名は、ピッコラッテ・ソルド・イスヴォール・フォンダリス~~~~~~~という長い名前だったので、峰子は彼女の了解を得て、ピコちゃんというニックネームで呼んでいた。

 

 

峰子が8歳の時に、深夜ピッコラがやって来て、峰子の特技で仲間の命を救うように頼んだのがふたりの出会いだった。

 

特技を施すと、仮死状態だったピッコラの仲間は、息を吹き返し健康を取り戻した。

 

 

その後、峰子はそのまま太陽族の船に乗って、ピッコラと一緒に過ごし、様々な事を学んだ。

 

 

宇宙の成り立ちやシステムについて。

 

宇宙に存在する多種多様な種族について。

 

エネルギーの法則について。

 

太陽族の哲学について。

 

 

そうして数年が経ったある日、峰子は太陽族の長老に言われた。

 

 

「貴女は帰る時が来た。送って行こう。」

 

「そうなんですね。寂しいけど、判りました。」

 

「今からタイムリープします。」

 

 

長老がそう言った途端、峰子はピコちゃんと初めて会った深夜の裏庭にいた。

 

我に返った峰子は、8歳の姿形に戻っていた。

 

 

それ以来、峰子はたまに、ピコちゃんから来るテレパシーで交流していたが、ここ数年音沙汰が無かったのだった。

 

 

ピッコラとの再会が、この様な形になるとは思っていなかったが、ここで会えて特技が役に立って本当に良かったと、峰子は心の底から安堵したのだった。

 

 

 

 

 

元氣を取り戻したピッコラは言った。

 

 

「火星に来て、他の種族との交渉や、テラの今後についての会議等で忙しくしていたんだけど、人類との交流に、何だか疲れてしまったの。」

 

「人類の発してるエネルギー粒子は大きいからね。粒子が微細で繊細なエネルギーのピコちゃんには、石をぶつけられたみたいに痛かったでしょ。」

 

 

ピッコラは悲しげに頷いた。

 

 

峰子が言った。

 

 

「宇宙人さんたちと違って、人類は嘘を吐くからね。純粋な種族にはしんどいよね。」

 

「私たちはテレパシーだから、全部見えるもの。だから混乱したの。」

 

「ホント、正直な方が楽なのに誤魔化そうとするのよね。あ、ハート、もう大丈夫でしょ?」

 

「ホントだ。全然痛くないよ。」

 

「もう少ししたら、人類もエネルギーが繊細になってくるはずだから、それまでは大丈夫なように免疫付けたからね。」

 

「ありがとうございます。」

 

「ピコちゃん、会えて嬉しかった。またね。」

 

「必ず、またね。」

 

 

 

ピッコラに別れの挨拶をして、ノルたちに感謝を伝えた峰子は、待っていたマスターと栄太と共に帰路に就いた。

 

 

帰り路での三人の会話は、長年の友との会話のように、峰子を愉しませた。

 

 

あっという間に時間が過ぎて、峰子はマクドナルホに着いた。

 

 

別れ際、峰子は栄太たちに言った。

 

 

「ありがとうございました。じゃあ、気を付けてプレアデスに帰ってね。」

 

「あ、地球人じゃないってバレてた?」

 

「あまりにも周波数が違いますから~(笑)」

 

 

栄太たちは大笑いしながら帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

全員が珈琲を飲み終わった。

 

 

マスターは脱いだエプロンを椅子に掛けると、総ての窓のロールカーテンを下ろし、ドアに鍵をかけた。

 

 

「さあ、では行きましょうか。」

 

 

そう言うと彼は、栄太と峰子に笑いかけながら、店の奥へ入るドアを開けた。

 

 

ドアから中へ入ると廊下があり、突き当りにエレベーターがあった。

 

 

マスターがボタンを押すと、エレベーターの扉が静かに開いた。

 

 

エレベーターは案外広かった。

 

 

三人が乗ると扉はすぐに締まり、ゆっくり動きだした。

 

 

しかし、3分程経っても、エレベーターは動き続けている。

 

体感では地下へと下降しているのだが、一体どれほど深く降りているのだろうか?と、峰子は考えていた。

 

考えている内に、ひとつの記憶が峰子の脳裏に浮かんできた。

 

 

それは、峰子が8歳の頃に行動を共にした太陽族の友達に聞いた、地球の地底に住むアンシャールという宇宙種族と、それに繋がって活動している人類の話だった。

 

 

多分、結社の基地が、そこにも在るはずだ。

 

 

マスターが峰子の表情を読んで言った。

 

 

「52階へ行きます。降りたら乗り物に乗ってポータルを移動します。今回はアンシャールの所へは行きません。」

 

「峰子は軽く頷いた。」

 

 

栄太が笑って言った。

 

 

「峰子さん、胆座ってるやん。」

 

「私はワタシの志事をするだけやから。」

 

 

マスターが感心して言った。

 

 

「降りたら迅速に行動してください。野良エイリアンが襲ってくるのでね。」

 

「はい、判りました。」

 

 

やっと目的の地下層について、エレベーターの扉が開いた。

 

 

目の前には、タイヤのない乗り物があった。

 

それは、猫型ロボットのアニメに出て来るタイムマシーンに、どこか似ていた。

 

 

三人が速やかにそれに乗り込むと、乗り物は浮かんで移動を始めた。

 

 

やがて空間の裂け目のような穴に入ると、乗り物は火星の基地を目指して進んで行った。

 

 

火星の基地側のポータルが開き、乗り物はそこから中へと入って行く。

 

 

同じような乗り物や、宇宙空間で作業するシャトルのような小さな飛行物体が並んでいる場所に、乗り物が停まった。

 

 

峰子たちが下りると、ヒューマノイド型の宇宙人10人が出迎えた。

 

 

一番年配らしき宇宙人が、礼儀正しくテレパシーで言った。

 

 

「ようこそ。私はノルです。」

 

「私は峰子です。」

 

 

全員の挨拶が終わると、ノルは峰子にターゲットについての必要な情報を送った。

 

そして尋ねた。

 

 

「治癒は可能ですか?」

 

「できます。所要時間は一時間です。」

 

 

ノルを始め、出迎えた者たちに安堵のエネルギーが満ちた。

 

 

「我々の技術ではもう、どうしようもなかったので、できると聞いて安心しました。」

 

 

峰子は優しく頷いた。

 

 

「どれだけテクノロジーが発展しても、生き物は生き物でしか治せない部分があるんです。」

 

「そうなんですね。」

 

「粘土細工は粘土で治し、クラフトは紙で治すでしょ。」

 

「ああ!なるほど!」

 

 

宇宙人たちが感心して頷いた。

 

栄太とマスターも同様に頷いていた。

 

 

 

ひとつの大きな部屋に案内されて中に入ると、様々な医療機器に繋がれた3メートルはある老いた宇宙人女性が横たわっていた。

 

 

もはや死を待つのみといった状態で、全身が灰色にくすみ、目は落ち込み、呼吸は浅く、内臓機能は停止寸前であった。

 

 

峰子はベッドに近付いて、テレパシーで語りかけた。

 

 

「ありがとうございます。貴女がここに居てくださって感謝します。心から愛しています。」

 

「貴女は誰?」

 

「私は峰子。ピコちゃん。私を覚えているでしょ?」

 

「みねこ!」

 

 

彼女は大きな目から大粒の涙を流した。

 

 

峰子は細胞の組成再生の為、育みの愛のエネルギーを共鳴しながら、再び言った。

 

 

「貴女は私の大好きな友達。愛しています。愛されています。」

 

 

その瞬間、彼女の心身の問題や症状は、一瞬で全部解決した。

 

 

肌の色は奇麗な金色に戻り、目には生気が戻って美しい青緑色に輝き、細い手足にも体全体にも、しなやかさと弾力と張りがでた。

 

 

峰子はそれから、彼女に1500年分の若返りを施した。

 

 

峰子からピコちゃんと呼ばれた太陽族のピッコラは、ゆっくり起き上がって伸びをした。

 

 

 

彼女は峰子に言った。

 

 

「私も貴女が大好きです。愛してますよ。」

 

 

目が合った二人は微笑み合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セミが鳴き始めた暑い日の午後3時。

 

 

峰子は一柳からの電話で、結社の志事を受けた。

 

 

その志事のターゲットには、より厳重な警護が付いてくるらしい。

 

 

峰子が指定された時間に、家から一番近い幹線道路にあるマクドナルホの前で待っていると、窓にスモークシールを貼ったハイエースが、店の駐車場に入って来た。

 

 

車の中から、大学生風の一人の男性が出て来て、峰子に声を掛けてきた。

 

 

「オッスオッス峰子~。お待たせ~。」

 

 

峰子は、その男性のセリフの棒読みぶりに、笑いを堪えるコトが出来なかった。

 

 

「あはは!そんな待ってないよ~(笑)」

 

「良かった、ほな行こか~。」

 

 

やっぱり棒読みだった。

 

峰子は思わず小声で呟いてしまった。

 

 

「癖つよっ!」

 

 

二人で車の後部座席に乗ると、男性は照れながら言った。

 

 

「そんな笑わんとってくださいよ。」

 

「これは不可抗力です(笑)」

 

「まあ、しゃあない。」

 

「ごめんなさい。」

 

「僕こういうのん下手なんですわ。」

 

「芝居しなくても、普通に声かけてくれはったらええのに。」

 

「一応、決まったマニュアルがあるんですわ。」

 

「そうなんですね。」

 

「はい。そうそう、言い忘れるとこやった。コホン。これから見る事聞く事は一切他言しないようにお願いします。」

 

「はい、判りました。」

 

「僕の事は栄太と呼んでください。」

 

「はい、栄太さん。」

 

 

峰子が微笑んで栄太の顔を見ると、目が合った。

 

その途端、彼の顏が真っ赤になった。

 

 

それをミラーで見たのだろう。

 

運転している男性と助手席の男性が、堪えきれず笑った。

 

 

栄太は咳ばらいを何度もしながら言った。

 

 

「これから、とあるお店へ向かいます。安全運転で行きます。」

 

「どうぞよろしくお願いいたします。」

 

 

車はいつの間にか高速道路に入り、京都方面へ向かっていた。

 

高速道路特有の、規則的な心地良い振れが、峰子の眠気を誘う。

 

 

栄太が言った。

 

 

「一時間程走るんで、寝てても良いですよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

峰子は遠慮なく眠りに就いた。

 

 

一時間強で、車は山の中に在るカフェへ到着した。

 

 

運転していた人と助手席の人に一礼をして、峰子は車を降りた。

 

山の空気は涼しくて、小鳥たちのさえずりが聞こえる。

 

 

峰子は深呼吸すると、栄太の後に続いて山小屋風の建物の中に入った。

 

オシャレな店内だが、一人の客もいなかった。

 

 

少し待っていると、奥からエプロン姿のマスターらしき男性が出てきて、峰子たちに微笑んだ。

 

 

「とりあえず、お茶してから行く?」

 

「はい、そうします。峰子さんは珈琲?」

 

「はい、目覚ましに、お願いします。」

 

「じゃあ、濃い目ですね。」

 

 

頷きながら峰子は思った。

 

 

確かに、今回のように何気ない合流の方が目立たない。

 

SPが何人もいて重装備するよりも、こちらの方が厳重な警備になのかもしれない。

 

 

峰子は、炭焼き珈琲の香ばしい香りに癒されつつ、これから起きる事に対して、何故か期待が高まって来るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一柳は峰子に伝言を頼んだ件で、里美と面談した結果、彼女と契約する事になった。

 

 

 

一柳は、自分の勘に狂いはなかったと満足していた。

 

 

長田姉妹はとても不思議な魅力があって、人を惹きつける。

 

峰子には峰子の、里美には里美の、その人にしかない魅力があった。

 

 

一柳の頭の中には、既に、里美を売り出す為の色んな構想が、どんどん浮かんでいた。

 

 

まずは雑誌のモデルから始めて、歌唱力や演技力を磨き、行く行くは大河ドラマへの出演を目指そうと、一柳は思っていた。

 

 

 

里美が一柳と契約をする数日前。

 

里美が、峰子から聞いた一柳の話を彼氏のおっ君に相談すると、彼は大喜びして言った。

 

 

「里美ならすぐ人気出るで!僕応援するわ。結婚はいつでもできる。けど、その話は今じゃないと出来へんやろ?」

 

「ホンマにええのん?ほな、やってみよかな?」

 

「うんうん、しんどくなったら、いつでも話聞くしな。社会経験も大事やしな。」

 

「うん、ありがとうございます。」

 

 

 

こうして、里美は一柳の事務所に所属して、志事を始める事になったのだった。

 

 

それから里美は、アルバイトを辞めて、高校に通いながら芸能活動をするという、忙しい毎日を送る事になったのである。

 

 

峰子は、一柳の事務所なら、里美が安全に志事できるだろうと安心していた。

 

 

そして峰子自身も、忙しく毎日を送る事になって行った。

 

 

特に、結社からの依頼は増えていき、週に一度は結社絡みの志事をするようになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

田嶋屋のコロッケを頬張りながら、伯爵は言った。

 

 

「何か、前よりアッサリした味になった?」

 

「揚げ油がラードから米油に変わったんやて。」

 

「へえ~。なるほどね。美食家の俺的にはこっちの方が好きかも~。」

 

「カレーコロッケとかカボチャコロッケとかの味も、米油の方が美味しいやんね。」

 

「うんうん。素材の味が活きてるよな~。」

 

 

こうして大量のコロッケがあっという間に無くなった。

 

 

「ごっつぉ~さん!」

 

「よろしゅうお上がりでした(笑)」

 

 

峰子とゆっくり話すのは久しぶりの伯爵だったが、ふたりのおしゃべりが尽きる事はなかった。

 

 

 

夜になって、伯爵が帰って行くと、峰子は里美の分のコロッケをお皿に盛りつけて、テーブルに置いた。

 

里美に、一柳からの伝言を預かって来ていたので、今夜は里美とのお喋りにも花が咲きそうだ。

 

 

一柳は里美を一目見て、その明るくオチャメで可愛らしいキャラクターを気に入った。

 

里美がもし演技やモデル活動等に興味があるなら、是非スカウトしたいそうだ。

 

 

そこで、一柳に頼まれた峰子が、その伝言を里美に伝える事になったのだった。

 

 

里美は演劇部だったので、峰子はこの話にワクワクしていた。

 

 

 

里美と峰子の外見は、あまり似ていない。

 

性格も全然違う。

 

 

里美は小柄でアイドルのように可愛いくて、言葉のセンスが良く、小さい頃からモテモテだった。

 

峰子はどちらか言えば背が高くクール顔で、お笑いの神様に愛され過ぎて、彼氏いない歴=年齢だった。

 

 

この様に、姉妹のタイプは真逆だった。

 

だからこそ、二人共とても個性的で、それぞれの良さがあった。

 

 

 

アルバイトから帰って来た里美に、峰子は一柳からの伝言を伝えた。

 

 

里美は少し考えて言った。

 

 

「どうしようかな~。」

 

「いいお話やで。」

 

「そやな~。でも、今日プロポーズされてん。」

 

「プロポーズって……結婚してくれってやつ?」

 

「あはは!お姉ちゃん、なんちゅう顔してるのん!わはは!かお!かお!」

 

 

峰子はもうすぐ18歳の誕生日を迎える妹から、結婚というワードが出てきた事に心底驚いていた。

 

 

里美が続ける。

 

 

「だって、おっ君もうすぐ30歳やから。」

 

「あれ?おっ君て誰?」

 

「彼氏。」

 

「彼氏って、明ちゃんって人じゃ?

 

「それ、前彼。」

 

「いつの間に?」

 

「お姉ちゃんの知らん間に。」

 

「そうなんや。里美が好きに選んだらええよ。どっちでも応援するし。」

 

「ありがとう。」

 

 

里美が通っている歯医者さんが、偶々里美のバイト先に来て、仲良くなったらしい。

 

 

それがおっ君だったそうだ。

 

 

峰子がボソッとつぶやいた。

 

 

「私が恋愛に発展する縁って、どこに有るんやろ。」