キッチンダイニングから、鼻をくすぐる【割りした】の美味しそうな香りが漂ってきた。
誰かのお腹が ‘ぐう~ぎゅるんと‘ 鳴った。
すると、笹本の顏が素直に赤くなった。
「さあさあ!すき焼きが煮えながら皆さんを待ってるわよ、どうぞ召し上がれ~!」
太郎に続き、雅子の号令も、皆に条件反射を起こさせた。
全員が大きなダイニングテーブルに着席して、すき焼き大会が始まった。
「いただきます!」
その食卓に、新たな顔が加わる。
笑顔でやって来たのは、法務大臣の柴田正彦と秘書の中野修司だった。
笹本はポカンとしながら、この光景を眺めて言った。
「これが夢なんやったら、すき焼き食べてから目覚めさせてくれ。」