鯛子である。
勝手な事をしたのではなく、騒々しい最中、何やら勘違いしてしまったのだろう。
自分の判断で、人の荷物を触るような子ではない。
今朝の一件で、ヒラメの受験票が紛失していることは、鯛子も知ったはずである。
お兄ちゃんの大事な受験日に、自分のせいで受験票がなくなったなんて知ったら、今頃、生きた心地がしないであろう…
何とか無事に受験できればいいが…
もしできなかったら、かなり双方が傷ついてしまう。
何とかしないと…
ヒラメを慰めつつ、鯛子を責めないであげて欲しいと、それとなく言ってみる。
ヒ『わかってるよ。どうせ本命じゃないし』←(強がり)
受験会場は近いので、すぐに到着した。
気を落ち着ける時間も与えられなかった事に、益々自己嫌悪に陥る…
息子よ、ごめん…
あまり私が不安がると、かえって良くないので、極力平静を装ったが…
内心は、自分の不甲斐なさに、申し訳なくて仕方なかった。
受験会場には、中学校の先生も二人ほど来ていた。
私達親子を見つけ、女性教師が駆け寄る。
大きなヒラメの肩を抱き
『安心せえよ。大丈夫。先生がちゃんと言うから。』
そして私を見てこう言った。
『担任から電話を貰いました。
びっくりされたでしょう。
大丈夫ですよ。受験はできますから。
子供ですからね、たまにこんな事もあります。
お母さんも、安心して下さい!
ヒラメ!頑張ってこいよ!
さ、先生と行こう。』
それは母のように…
優しくヒラメを抱くようにして、中に入っていった。
私『頑張ってね。』
おそらく…
こんな事は、たまに起きるなんて嘘だと思う(-"-;)
んな奴はいない!
そりゃね、何年かに一度とかはあるかもだけど、そうないよね。
多分、気遣ってくれたんだ…
学校に交渉しなきゃいけないかと思ってたのに、先生が行ってくれた…
ぶっちゃけ有り難くて、泣きそうになった。
頑張れ!ヒラメ!
息子が戻るまで、ひたすら家で落ち込んだ。
仕方なかった部分もあるが、私の配慮不足が大きかった…
このお気楽な性格をこれほど呪ったことはない。
お昼過ぎ、担任から電話があった。
担『無事に終わりましたよ。』
い~い顔で帰ってきました。
本人は、やりきれたようです。
私『スイマセンでした。』
いやいや、びっくりしましたねぇ。
まぁ、彼らしいっちゃあ、彼らしいですよ(笑)
無事に終わって良かったですよ。
うん…
良かった…
午後、息子が帰宅した。
私『どうだった?』
ヒ『うまくいったと思う。まぁ、受験票なくしたけど、多分大丈夫じゃないかな。』
しかしさ…
うちら、すげーな!←(もう立ち直っている)
だってさ、今回の件は、三人のチームプレーで出来たんだぜ!(できなくて良い)
私→ヒラメ→鯛子
の、どれが欠けてもなし得なかった技だ!
ヒラメ、爆笑!
ヒ『我が家ならではだね。
やるな!』
私『お前、学校でネタにしただろ?』(¬з¬)
ヒ『いや、中々ないかなと思って…
皆に報告した!』
大騒ぎだったよと、嬉しそうにニヤリッ。
やはり、私の子である。
更に鯛子が帰宅。
思いの外元気である。
鯛『あっ、お兄ちゃん!受験どうだった?』
ヒ『まぁ、良かったよ。』
鯛『そっかぁ。良かったね!』
うん?
何でそんなに元気なんだ?
聞けば…
担任がクラスに来て、受験票が紛れてないかと聞かれた時…
鯛『お兄ちゃんたら、だらしないんだから!』
と思ったらしい…
つまりだ!万が一にも、自分がなくしただなんて、ちっとも気づいてなかったのだ!
鯛『えっ!嘘!?
鯛子が入れたときになくしたって事?』
いや、わかんないけどね…
可能性はあるだけで…
まぁ、無事に済んだし、気にすんなよ。
鯛『うそ!お兄ちゃんゴメン!
絶対にお兄ちゃんがなくしたと思ってて』
ヒ『お前な!』
鯛『だって!お兄ちゃんならあり得るな、位にしか思ってなくて…』
(-"-;)
やはり…私の子である。
兄貴は、踏んだり蹴ったりだ。
後日…
鯛子の部屋から、受験票が発見された(笑)
受験票は再発行されたため、我が家には、二つの受験票が残った。
記念に取っておくことにした。( ̄∀ ̄)
えっ?受験の結果?
ちゃんと受かりましたよ(笑)
しかも、結局そこに入学しました(爆)
本当は、ヒラメの本命はここだったんです。
乙姫一家、ヒラメの受験票紛失事件は…
下級生に至るまで、語り継がれましたとさ。(ヒラメ大喜び)
めでたし、めでたし。
(¬з¬)
いやぁ、驚いた…
おわり。