「葵さん、凄い人だよなぁ…。
職人っていうのは、ただ作るだけだと思ってたよ…。」
レオンは驚いている。
「レオン、何驚いてるんだよ。
職人なんだから当然だろ。
素材の正体を掴めない奴が一流の職人になれるかよ!!」
アスカは突っ込む。
「…あ、そっか…。」
レオンはようやく気付いたような素振りである。
すると、セナが…
「それ以上に驚いたのが、アスカさんがプロの職人にうまく対応出来てたところですね。
どうやってそんなことを…。」
と言いかけると、アスカは焦ったかのように、
「社交術!!
ただの社交術!!」
と切り返す。
「…照れ隠しですか?」
なんか、微妙…。
一行はこんな感じで宿に向かう。
すると…。
「うっ…うっ…。」
大通りの真ん中で、一人の男性が傷だらけで俯せになって倒れていた。
「あっ!!
大丈夫ですか!?」
「…っつっ!!」
かなりの重傷らしく、あまり喋られないらしい。
シルビアは早速、回復魔術を使う。
傷はみるみる回復していった。
「…よかった…。」
シルビアの顔から、安堵感が漂っていた。
ここまで気弱だと、なんか心配にはなるのだが、そんなことはどうでもよい。
一人の命を救えたのだから。
「…兄上。」
「どうした。」
「…彼も宿に連れてって…よろしいでしょうか?」
「…まあ、疑わしいが。
好きにしろ。」
「…ありがとうございます。」