「新・名盤探険隊シリーズ」デラニー&ボニー入荷‼ ③ | Apple Music音楽生活

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「ステージでの演奏が終わり、宿泊先に戻ってからも一晩中、演奏し続けことがあったものだ。
モーテルの部屋で誰からともなく始まった、自然で無理のない演奏を再現してみようと思ったんだ」


デラニー・ブラムレットはこのアルバム 『Motel Shot』 制作の動機について、こう語っています。

このアルバム制作のエンジニア、ブルース・ボトニックの家と、当時のデラニー&ボニーのマネージャーの自宅で収録が行われたということで、プライベートな空間ならではのリラックスした雰囲気が伝わってきます。
ライブでもスタジオ録音でもない、こういった形態で収録されたアルバムをセイクレット・アルバムというそうです。

1971年の作品
モーテル・ショット/デラニー&ボニー&フレンズ

¥1,234
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アンプを通さない生楽器による演奏を主体にし、ドラムスも使用しないという楽器構成で収録されています。
そりゃそうですよね。エレキギターやドラムが大音量で鳴っていたら、モーテルの他の宿泊客はうるさくて眠れません(笑)

曲の内容としてはゴスペル、ブルース、ヒルビリーなどルーツ・ミュージックの伝統曲を主体とし、R&B 、ソウル・ナンバーとオリジナル曲を数曲加えたという構成です。

やはり、まずはゴスペルでしょう。
何しろゴスペル系の曲が5曲もあるので、どれをかけるか迷いましたね。
ゴスペルとは、ざっくり言うと黒人教会で歌われた賛美歌のことですが、ゴスペルって、どんなものかということが、最もシンプルかつストレートに伝わってくる、この曲にしてみました。
レオン・ラッセルは正に本物のゴスペル・ピアノを弾いています。



ゴスペルにもいろんな種類があるようですが、これは礼拝の開始を華やかに盛り上げるプレイズ・ソングというものではないかと思います。
手拍子を取りながら単純なフレーズを繰り返します。

アルバムにクレジットはありませんが、左トラックから聴こえてくる男性の歌声は明らかにジョー・コッカーです。

『Accept No Substitute』『On Tour With Eric Clapton 』に参加したフレンズのメンバーがこのジョー・コッカーの『Mad Dogs & English Men』のツアーに引き抜かれてしまった為、デラニーとボニーは新たなお友だち(フレンズ)を集めて、1970年に『To Bonnie from Delaney』を発表します。
このアルバムは新メンバーによるものと、レオン・ラッセル率いる旧メンバーによるセッションが混在して収録されています。
また、詳細は不明ですが、ジョー・コッカー以外にもグラム・パーソンズ(この人はクレジット有り)を初めとした著名なアーティストが数多く、ゲストとして参加しているようです。

さて、新メンバーの中で目玉は何と言ってもデュアン・オールマンでしょう。

曲ごとのクレジットがないので、はっきりとは判りませんが、彼が確実に参加していると思われるのは3曲。参加していてもスライド弾いてなきゃ、さっぱり判りません。

その中から、ロバート・ジョンソン作のブルース・ナンバーを選んでみましたが、YouTube にこのアルバムのものはありませんでした。
代わりにデラニー&ボニーとデュアン・オールマン、サム・クレイトン(コンガ)によるアコースティック・セットによるライブ音源を発見しましたので、お聴きください。



これは1971年7月にニューヨークのFM放送のために収録された時のものだと思われます。
デュアンのスライドギターが『Motel Shot』収録のバージョンよりも、ピアノのない分、よく聴きとれる演奏だと思います。

私にとって馴染みのある新メンバーとしては、このサム・クレイトン(メアリー・クレイトンの弟)とケニー・グラッドニー(ベース)でしょうか。
二人はこのアルバム発売の翌年、リトル・フィートに参加し、『Dixie Chicken』以降、不動のメンバーとして活躍することになります。


デラニー・ブラムレットとフレンズのメンバーによるオリジナル曲は彼らのシングルとしては最高位(全米チャート13位)を記録した"Never Ending Song Of Love"をはじめとして4曲。
その中から、このアルバムのラストナンバーをお聴きください。
デラニーとレオン・ラッセルの共作



伝統曲のリメイクに留まらず、新たな音楽を創造していこうという姿勢が感じられます。確かにカントリー・ロックからウエストコースト・ロックに向かう時代の流れが、この曲からは感じ取れます。最後にスティーブン・スティルスが“God bless you 🎵"と一声入れていることが、それを暗示しているように思えました。
この年、1971年にスティルスはマナサスを結成します。

ちょっと渋すぎかもしれませんが、私はこういうアルバム、好きですねえ


この「新・名盤探険隊シリーズ」のデラニー&ボニー3作品は、デジタル・リマスター、充実したライナー・ノーツに歌詞・対訳が付いて1,200円(定価・税抜き)はお得だと思います。