昨年末に「年の終わりにラストソングス」という特集記事をアップしたときに、このバンドの最後の曲を取り上げたのですが、思いのほかモット・ザ・フープルというバンドは知られてないのだなという印象を持ちました。
「このままではモットは歴史の闇に埋もれてしまう」と危機感を持った私は特集記事を上げることにしました(大袈裟ですね)
私のように思ったモット・ファンは他にもいたようで、2012年5月に日本でも彼らのドキュメント映画が公開されたようです(ファンを自称する割には、私は知らなかったのですが)
このブログはモット・ザ・フープルの代表的な曲の動画を年代順に集めたものをネット上に保存しておこうという意図で作成しました。
動画の本数も多いので前篇と後編に分けて、ご紹介します。
⑴ 『土曜日のギク』
~アイランド・レコード時代
モットの前身バンド、サイレンスのボーカリスト・オーディションにふらりと現れた、その男はボブ・ディランを歌い始めます。
男の名はイアン・ハンター。
Vocal:Ian Hunter
ハンターはバンドのメンバーに採用され、バンド名をウィラード・メイナスの小説から採り、モット・ザ・フープルと改めます。
彼らはアイランド・レコードと正式に契約し1969年にデビューしました。
過激で暴力的なライヴ・パフォーマンスが有名で、客との喧嘩や機材の破壊などは日常茶飯事だったようです。
当時の雰囲気が垣間見れる、薄暗い小さなクラブでのライブ・パフォーマンスをご覧ください。
曲はアイランド・レコード時代の代表作"Rockn'Roll Queen"
確かに張り詰めた緊張感と今にも何か起こりそうな不穏なムードが感ぜられますね。
アイランドよりリリースされたのは、下記4作品。
『Mott The Hoople』(1969年)
『Mad Shadows』(1970年)
『Wildlife』(1971年)
『Brain Capers』(1971年)
ライブの評判とは裏腹に、レコード・セールスは振るわず、1972年3月26日スイスのチューリッヒでのライヴの後、メンバーは、ついに解散を決意します。
⑵ 『すへての若き野朗ども』
~グラム・イヤーズ
「奴らを解散させては、いけない」
早くからこのバンドを気に入っていたデヴィッド・ボウイが、この話を聞きつけて、楽曲の提供とプロデュースを申し出ます。
こうして、完成したアルバムは新たにCBSレコードに移籍して1972年に発売されました。
All the Young Dudes/Mott The Hoople
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アルバムに先行して発表されたシングル"すべての若き野郎ども (All the Young Dudes)"は彼らにとって最大のヒットとなり、グラムロックを代表する曲のひとつとなりました。
アコースティック・ギターとエレキ・ギターのコンビネーション、裏拍の手拍子、コーラス・ワークなどに、この時期のボウイらしいアレンジの効いた曲です。
曲の構成としてはボウイの頭には"ヘイ・ジュード"のイメージがあったのだと思います。
感傷的なギターのフレーズ、イアン・ハンターの男っぽいボーカルと"すべての若き野郎ども "という、今となっては気恥づかしい邦題に一発でやられて、中学男子だった私はこのバンドのファンになったというわけです。
グラムロックというのは70年代の前半にロンドンでT.REXやデヴィッド・ボウイらを中心に巻き起こったロック・ムーブメントの一つでしたが、中性的なイメージの派手な衣装や濃い化粧が特徴で音楽的な共通性は余り無かったように思います。
グラムロック・ムーブメントに乗って一気にスターダムに駆け上がったモット・ザ・フープルでしたが、彼らは本質的にボブ・ディランとストーンズの影響を受けたロックンロール・バンドでした。
この曲もボウイから提案されたのではないのでしょうか。
ルー・リードのヴェルベット・アンダーグラウンド時代のナンバー"Sweet Jane"
終奏でのミック・ラルフスのギターソロが秀逸ですね。高度なテクニックを使っているという訳ではないのでしょうが、実にいい味を出してます。
このアルバムでラルフス自身のボーカルで収録された彼の作品"Ready for Love "は、後にポール・ロジャースのボーカルでバッド・カンパニーの名曲のひとつとなります。
Guitar:Mick Ralphs
さすがはボウイと言うべきでしょうか。
細かい部分まで音作りが計算された、よくできたアルバムだと思います。
⑶『メンフィスからの道』~ミック・ラルフスの脱退
次の作品ではボウイのプロデュースからは離れ、メンバーによるセルフ・プロデュースによりアルバムをレコーディングします。
1973年の作品
革命/モット・ザ・フープル
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アイランド時代に戻ったかのようなモット流ロックンロール"Violence " "Drivin'n Sister"などのナンバー、ハンターの得意とするバラッドの代表曲”Ballad Of Mott The Hoople"に加えてアメリカン・ルーツ・ロックへのアプローチを感じさせる楽曲もこのアルバムから現れはじめます。
アルバムに先行して発売された、この曲はタイトルもずばり"メンフィスからの道 ( All The Way From Memphis )"
アルバム『Mott』のオープニング・ナンバー
イアン・ハンターがレオン ・ラッセルの"Roll Way The Stone"にインスパイアされて作った曲ということです。ハンターもスワンプ・ロックの動向には注目して、この曲は彼なりの回答だったのでしょうね。
サックスはロキシー・ミュージックのアンディ・マッケイ。
アコースティック・ギター、マンドリン、バンジョーという楽器構成のフォーク&カントリー風の"I Wish I Was Your Mother "でこのアルバムは幕を閉じます。
『革命(Mott)』の発表直前にミック・ラルフスが脱退し、ポール・ロジャースらと共にバッド・カンパニーを結成。
次回、二代目ギタリストと新メンバー加入でパワーアップ!!
「モット・ザ・フープル物語」後編をご紹介します。
ところで、イアン・ハンター初来日公演、1月16・17・18日という情報を発見。
ブログをアップするタイミングが一足遅かった…