泳ぐ写真家龍之介 -83ページ目

「シシリア・ワインとヒュー・ジョンソン氏」

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ニューヨークに住んでいた頃、

ロスに住んでいた弟が遊びに来ました。


じゃあ、リトルイタリーで食事でもしようか!ということになりました。


リトルイタリーは、私の住まいから歩いて行ける距離にありました。

早速、美味しそうで、雰囲気のある小さな店を発見して、席に付きました。


店の名前は忘れましたが、壁に、フランク・シナトラが来店したときの様子を撮った写真がありました。

お店の人に、写真に写っている偉そうな人たちは誰なの?と聞くと、
「ああ、この店に来た歴代マフィアの大ボスだよ。となりに写っている東洋人は、チャイニーズマフィアのボス。実は仲がいいんだ(チャイナタウンはリトルイタリーのお隣)。ここはオーナーを含め、皆シシリア出身さ」という返事。


マフィア最前線にやってきたという実感が湧いて、少し緊張しました。


「シシリアから入ったばかりの珍しい赤ワインがあるけど、どうだい?」と言うので、
いただくことになりました。


そのワインは、樽ごとシシリーの親戚に送ってもらったみたいで、

そのままデキャンタで登場しました。

早速、グラスに注いでみてびっくり。

どろどろなのです。

なんでも、

ぶどうを踏み潰して発酵させ、

フィルターで濾す前の状態のものだとか。

皮とか果肉のどろどろが、さすがに原型はとどめていなかったのですが、

そのままの状態です。びっくりしました。

発酵で泡がプクプクしています。日本酒にもこんなのがありますよね。


しかし、一口飲むと、そこには、今までのワインの常識を覆す、すばらしい世界が!
それは、

不思議な舌触りと、口の中に広がる濃厚な甘みとタンニンの苦さが入り混じった、

未体験ゾーンでした。

ぶどうの香ばしい香りとアルコールの甘酸っぱい香りが漂って、

至福の時間が流れていきます。


あまりの美味しさに、2人ともフリーズしてしまいました。


弟は、「美味しいカリフォルニア・ワインはずいぶん呑んだけど、これは別格だ」とぽつり。

シシリー料理を楽しみながら、デキャンタ3本分を飲み干してしまいました。

このワインが飲めるのは、一年の内のほんの一時期だけだそうです。ラッキーでした。


その後、世界各地を回りましたが、

どこにも、この手のワインは見当たりませんでした。


そうこうしているうちに、仕事で、

ワイン評論の世界的権威、ヒュー・ジョンソン氏(写真上)を撮ることになりました。

良い機会だと思い、

撮影後に、ワインの生き字引的ジョンソン氏に、

そのシシリアのワインのことを聞いてみました。

しかし、

ジョンソン氏にして、そのような赤ワインは、見たことも聞いたこともないとのこと。

一部のワイン農家が自家用に作っているのじゃないの?ということでした。


ジョンソン氏の、「そのシシリアワイン、美味しかった?」との問いに、
「あまりの美味しさに、3本ほど呑んでしまいました」と答えると、


氏から、厳かな表情で、
「ジェントルマンは、そのようなワインの飲み方をしてはいけません。」
と説教されてしまいました。


私が、「恥ずかしいです。もうそのような呑み方は2度としません。」と恐れ入っていると、


「君が、これから、良いワイン愛好家になることを誓った記念に、これをプレゼントしよう!」と言って、

氏デザインのスクリュー・プル(ワインオープナー)をいただきました(写真下)。

私は、これを、今も大事に使っていて、「良いワイン愛好家?」を目指しています。

最近では、「少し良いワイン愛好家」にはなれたと思っています。


ワインには、そのワインセラー、ワイン農家の数だけの個性やストーリーがあるのでしょうね。

それだけに、奥が深く、興味がつきないと思います。
そんなすばらしい世界に、仕事や私生活を通じて触れる機会があったことに、

今さらのことながら感謝しています。


※ヒュー・ジョンソン氏は、イギリス人。世界的に影響力を持つワイン評論の第一人者。氏の論評でワインの価格が変動するとも言われています。インテリで、ケンブリッジ大学卒。

「インスタントフィルム販売好調」

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インスタントフィルムとは、ポラロイドやフジのフォトラマのように、

撮った後に剥がすと、すぐにプリントになるものです。

ちょっと前までは、ポピュラーでしたが、

ポラロイド社が生産を終了してからは、

フジフィルムだけが販売を継続していました。


そのフジのインスタントフィルムの販売が好調らしいです。

よく調べてみると、

警察や医療現場での記録写真としての需要が増えているとの事、

デジタルだと改ざんの可能性があるので、

全く改ざんが不可能なインスタントフィルムが再び注目を浴びているわけです。

なるほどな。と思います。

信用のできる記憶媒体としては、これ以上のものはありません。

デジタルは全く信用できないし、フィルム写真のネガやポジのように

「オリジナル」の概念が存在しません。

簡単に複製できるからです。


掲載写真も実は、ポラロイドです。

ただ、大きさが、20cm×25cm。

販売されていた、ポラロイド中最大のものです。

40cm×50cmの巨大なポラロイドがありますが、

それは特注で、受注生産です。


20cm×25cmとなると、撮るカメラも大きいです。

8×10カメラと言って、

一般の方が見たら、ぎょっとするほど大きいカメラです。


私は、以前はこんなカメラで、人物や商品を撮っていました。

もともと作品用に購入したのですが、

仕事にも使っていました。

画質が桁違いに良いので、

結構、クライアントさんが喜んでいました。


この大型カメラで撮るポラロイドは独特で、

絵画のような雰囲気を持っていました。

オリジナルを見ると、

デジタルプリントが遠く及ばない雰囲気とクオリティを持っていることが

分かります。


デジタル時代になって、

写真の存在が、ずいぶんと薄っぺらになってきたと思います。


※(撮影データ) カメラ:ジナーC 8×10、 レンズ:シュナイダー・ジンマー300mm f5.6、 ポラロイドランドフィルム64(8×10)、絞り:f90, シャッタースピード:1/60sec、ストロボ8000W/sec 1灯使用





「ワイン雑学・ワイン運搬法」

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wine


フィレンツェに

エノテカ・ピンキオーリという有名な3つ星レストランがあります。

(銀座にもピンキオーリ東京があります。)


私が撮影に行ったときには、2つ星になっていました。

まあ、星の数なんてどうでもよいことですが、、、。


写真上の右の女性が、

オーナー(イタリア人)の奥さんにしてシェフの

アニーさんです。アニーさんはフランス人。

撮影のときに、

アニーさんが、可愛いわんちゃんを連れていたので、

「なんてかわいいんだ」と感激して褒めたら、


次の日のランチに誘っていただきました。ラッキーヽ(゚◇゚ )ノ

カメラマンの役得です。


アニーさんは英語が達者だったので、

会話は楽でした。


ピンキオーリは、確か、かつて、修道院だったと思いますが、

ちょっと記憶が不確かですが、

それを改修して造られた、それは素晴らしいリストランテでした。

回廊があったので、きっと修道院だったのでしょう。


このリストランテが、他の、世界の名だたるレストランを圧倒するのは、

そのワインコレクションです。

地下のワインセラーに貯蔵してあるワインは、なんと16万本(+_+)

世界中のワインを収集してあるそうです。

南米のワインも豊富でした。


ワインリストを見せてもらえますか?

と言ったら、

電話帳のようなワインリストが3冊ほど、デンと登場しました。

ちゃんと目を通していると、日が暮れそうだったので、

おすすめのワインをいただきました。



いろんなお話を伺いましたが、

最も、印象に残っているのは、

アニーさんが、東京に視察を兼ね料理の指導に行く時の事。


かなりの頻度で東京に来られているようですが、

東京に行くときには、必ず高価なワインを3本ほど、抱えていくそうです。

アニーさんが高価だと言うので、相当高価なワインなんでしょう。


それらは、もちろん、ピンキオーリ東京のワインリストに載るワインです。

機内持ち込みにして、

専用のケースに入れて、到着するまで、ずっと抱きかかえているそうです。

これに勝る運搬方法はないそうで、


どんな厳重な梱包をして航空便で運んでも、

振動やショックによって、味・香りが落ちるそうです。

人間が抱えるのに勝る方法はないんですね。


で、


私もトスカーナでいただいたキャンティ・クラシコは

機内持ち込みで、抱いて帰りました。

確かに、味覚・風味は全く落ちていませんでした。


やはり、何でも、一番大事なのは、


「愛」ですね。




※写真下は、エノテカ・ピンキオーリブランドのワインです。