和菓子を食す | 春夏秋冬✦浪漫百景

春夏秋冬✦浪漫百景

季節の移ろいの中で...
歌と画像で綴る心ときめく東京千夜一夜物語

和菓子は五感で楽しむものといわれています。

見た目の美しさ(視覚)、食べておいしく(味覚)、

手触りや切るときに感じる感触や口に含んだ時の舌触り(触覚)などですが、

特に臭覚と聴覚に訴えるものには、和菓子独特のものがあります。

 

 和菓子四種.png

 


■臭覚に訴える和菓子
和菓子の香りは米、小豆、芋、ニッキ、生姜、ハッカなど、

天然素材による「ほのかな香り」です。

平安の昔から、衣にたき込めた香の匂いで闇夜でもその人を判別できたり、

香りを「香道」という道に極めてしまったように、

日本人は香りにも鋭い感性を持っていました。

和菓子を天然のほのかな香りで味わうことができるのも、日本人ならではの感性でしょう。

 


■和菓子を聴く
聴覚に訴えるお菓子の音といえば、

おせんべいのバリっという音などを思い浮かべますが、

和菓子の場合はこれを「菓銘」に求めています。
「菓銘」とはお菓子の名前。

花鳥風月、和歌、俳句、歴史、郷土などに基づいて名付けられますが、

菓銘を聴くことによって、その和菓子の深みや余韻を味わうのです。

例えば、カエデをかたどった和菓子は見た目で「紅葉の季節だ」とわかるので、

その名前が「紅葉」では無粋というもの。

この和菓子が「竜田姫」という菓銘なら、

秋の女神が染めた葉が風にのって舞い降りてきたように思えます。

 

 pixta_8388052_S.jpg

 

さらに粋な職人は、カエデの形にはこだわらず、

黄緑から橙色にかけて移ろう色を表現して「照葉」という菓銘にする。

それだけで照り輝く紅葉の情景が浮かんでくるようでなければいけない、といわれます。
また、粋な客人は和菓子の姿を見ただけで菓銘がわかるとか。

この世界も大変奥が深いようです。

 


■知っておきたい和菓子の食べ方
和菓子を見て、聴いて、嗅いで、口に入れてその味や食感を楽しむためにも、

和菓子のスマートな食べ方を知っておきたいもの。

お茶席などでも慌てることなく、落ち着いて味わうことができます。

 

【菓子楊枝】

和菓子と楊枝.png


和菓子はフォークではなく、菓子楊枝でいただきたいもの。

代表的なのはクロモジの枝をスティック状に削った「黒文字」で、

フォークのように切ったり、刺したりして使います。
他にも、青竹、銀、塗り物などの菓子楊枝があり、

季節や器によって使い分けると楽しいものです。

 

【串団子の食べ方】

 

串団子.png


菓子楊枝を使って串から団子を抜き、

菓子楊枝または串で1個ずつ刺していただきます。
菓子楊枝を添えていない場合は「そのままお召し上がりください」という意味ですが、

懐紙などを口元に添えていただきましょう。