春想奏『襟裳岬』♬森進一 | 春夏秋冬✦浪漫百景

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歌と画像で綴る心ときめく東京千夜一夜物語

『襟裳岬』

襟裳岬 - 森進一 (襟裳岬 原曲) HD

1974年1月15日

作詞 岡本おさみ、作曲 吉田拓郎、馬飼野俊一(編曲)

森は本作で1974年の第16回日本レコード大賞と、

第5回日本歌謡大賞の大賞をダブル受賞。

ライバルの五木ひろしに先を越されていただけに、

その喜びようは尋常ではなかったという。

さらに同年の第25回NHK紅白歌合戦において、

この曲で4回目の白組トリおよび初の大トリを飾った。

奇しくも紅組トリも島倉千代子の同名異曲の「襟裳岬」(1961年)であった。

 

襟裳岬歌碑。左が本曲の、右が島倉千代子版の歌碑

北の街ではもう 悲しみを暖炉で

燃やしはじめてるらしい

理由のわからないことで 悩んでいるうち

老いぼれてしまうから 

黙りとおした 歳月をひろい集めて 暖めあおう

襟裳の春はなにもない春です

寒い友だちが訪ねて来たよ

遠慮はいらないから暖まってゆきなよ

襟裳岬は北海道の東西の中間線が南に鋭く突き出た突端にある岬で、

北海道の背骨・日高山脈の終端部に当たります。

先端は約2キロにわたる岩礁群で、沖合は世界有数の漁場になっています。

この歌が流行り始めたころ、えりも町の住民から、

「えりもの春は何もない春です」というフレーズについて、

レコード会社や作詞者に抗議が寄せられたと伝えられています。
「えりもの春はさわやかな晴天が続いたと思うと冷たい強風が吹き、

やがて花が咲き、ゼニガタアザラシやラッコがやってきて、

浜辺には昆布が打ち上げられるなど、見るべきものがいっぱいある、

それなのに『何もない春』とはケシカラン」といった趣旨だったと思います。

 この歌が大ヒットして観光客が増えると、

住民の不満は一転して感謝に変わり、岬には歌碑も建てられました。