心理学の世界に、「親密化過程」という言葉があります。人と人とが出会い、親しくなる過程をそう呼んでいます。

 

親しくなるためには、出会った初期の段階が重要です。出会って2週間目の関係の満足度が、6ヶ月後の関係の満足度や親密さを予測するといわれています。いったい何が、親密化過程に影響を与えているのでしょうか。その要因を紹介します。

友人の選択状況

友人と一緒にいる時間があり、多くの頻度で行動や経験を共有することは大事です。

北星学園大学大学院の渡辺舞氏らは、大学生を対象に入学3ヶ月間を横断的に調査し、親しい友人の選択の変化について調べました(「大学新入生の友人選択状況が親密化過程に及ぼす影響」)。

 

すると、男女あわせて入学1ヶ月後に選択した親しい友人と同一人物を2ヶ月後も選択したのは57パーセントであり、2ヶ月後に選択した人物と同一人物を3ヶ月後にも選択したのは67パーセントにおよびました。1ヶ月後から3ヶ月後まで、親しい友人を一度も変えなかったのは44パーセントでした。

 

つまり、出会って数週間で形成された関係が、比較的継続されることがわかります。その一方で、2ヶ月後から3ヶ月後で33パーセントの人が親しい友人を変更しており、複数の友人関係のなかで友人を選択しているともいえます。

友人選択に関する要因

一般的には、大学生であればガイダンスや講義が一緒という理由で、仲良くなるように考えます。

 

渡辺氏らによると、入学1ヶ月後と2ヶ月後の友人選択に影響を与える要因として、主張的行動の頻度が高いことがわかりました。主張的行動とは、他人の権利を侵害することなく、個人の思考と権利を敵対的ではない方法で表現することを意味します。

 

主張的行動の頻度が高いことは、相手はそうした行動を許容してくれると判断している可能性があり、それが友人選択に影響を与えていると考えられます。ほかにも、一人暮らしであること、週に4日以上の接触頻度であることも影響することがわかりました。

 

頻繁に顔を合わせるという接触頻度の高さについては、これまでも指摘されてきました。つまり、直接的なコミュニケーションが友人選択に最も影響を与えています。

それと同時に、主張的行動が要因であることから、友人をポジティブにとらえる感情も強く影響しているのです。

 

友達に対して正直に接すること、そして相手を素直に受け入れることも大切なんですね。