時代という大河の中を、
静かにとは言えない人生を進んでいた。
プロレス業界に入ったことも。
プロレス団体の代表になったことも。
負債を返すために、水商売の世界に身を置いたことも。
長州力の団体に常務として参画したことも。
その都度、もがき苦しみながら
流れていった。
もがき、苦しんではいたが、いつも真剣だった。
騙されたり、
裏切られたり、
それでもこの悠々たる流れの
中を進んできた。
古い言葉に、『出世の本懐』
というのがある。
人がこの世に生まれてきた究極の目的。
私の人生の目的はなんだったのだろう。
プロレスをやることか?
違う❗️
水商売で金儲けをすることか?
違う❗️
では何をするために、
私は生きているのだろう。
それを捜しながらの人生は
気がつけば、古希の峠が見えてきた。
私の究極の目的とは?
私の生きた証とは?
何なのだろう。
もしかすると、生きているあいだには、
見つからないのかもしれない。
そんな日々を過ごしていた頃。
中国の馴染みのない街で新種の
ウィルスが猛威を奮っているという話を聞く。
そのウィルスが、自分の生活に大きな影響を与えることになるなどとは、まったく予想もしていなかった。
外洋を遊覧しながら、日本の港に現れた豪華クルーズ船が岸壁に抑留された。
船内で大勢の乗客が、新種のウィルスに感染した。
亡くなった人も多い。
気がつくと、参加予定だった集まりが中止になった。
仕事が延期や中止になった。
マスクをするように。
手洗いの励行。
人との間隔をとるように。
出歩くことを自粛するように。
繁華街を避けるように。
大変なことが起きているのだと
その頃になって気がつく。
街の風景が変わり始めた。
新種のウィルスに《コロナ》という名がついた。
人々の習慣が変わった。
人々の秩序も変わった。
価値観も変わってしまった。
ハグをしたり握手をする人を見なくなった。
私は、人生の終盤に予想もしなかった世界に身を置くことになってしまった。
あの『死神』が聴き慣れないことを私に伝えてきた。
『光触媒』
なんのこと?
最初は、
そんな感じだった。
気がつくとあの日から
一年になろうとしている。
そして私は、自分の出世の本懐に辿り着いたような気持ちになっている。
私は、生きた証しを見つけられたのかもしれない。
コロナを中心にして、過去のことが繋がり始めた。
その時は、なんだか判らなかったことに、
今、その意味を知らされている。
私はかならず、この局面を乗り越えて、見果てぬ夢のイタダキを
登りきる。