じゅりれなよ永遠に -4ページ目

じゅりれなよ永遠に

じゅりれな・坂道小説書いてます。

友梨奈は引き上げ、麻衣は美波と一緒に

彼女の部屋に入った

 

美波の部屋は、彼女の性格を表すように、

清潔で、

可愛らしい小物があちこちに飾られていた。

 

緊張と安堵が入り混じった表情で、

美波は慣れた手つきで紅茶を淹れてくれた。

 

芳醇なベルガモットの香りが、

先程までの緊迫した空気を

和らげるようにふわりと漂う。

 

「…本当に、ありがとうございました、

麻衣さんと友梨奈さんが

来てくれなかったら、私…」

 

 カップを持つ手がまだ微かに震えている。

 

 「もう大丈夫よ。あんな奴は二度と

美波ちゃんに近づけないから」

 

 麻衣は穏やかに言い、紅茶を一口含んだ。

 

温かい液体が喉を通り、

強張っていた心と身体を

少しずつ解していくのを感じる。

 

雑談というには

まだ少しぎこちない会話が続く。

 

美波の好きなアイドルの話、

最近見た映画の話。

 

麻衣は相槌を打ちながら、

目の前の美波を見つめていた。

 

恐怖から解放され、

少しずついつもの笑顔を取り戻しつつある彼女は、

硝子細工のように繊細で、

そして強い輝きを放っているように見えた。

 

(…守りたい) その想いが、

麻衣の胸の内で確かな形を取り始めていた。

 

玲奈の言った「覚悟」。

 

それはまだ完全には定まらないかもしれない。

 

でも、この温かい灯火のような存在を、

失いたくないという気持ちが、

今は何よりも勝っていた。

 

ふと会話が途切れ、静寂が訪れる。

 

美波が何か言いたそうに麻衣を見つめている。

 

その潤んだ瞳に、

数日前の告白の言葉が重なった。

 

麻衣はカップをソーサーに置くと、

意を決したように口を開いた。

 

「美波ちゃん」

 

「は、はいっ」

 

 緊張した面持ちで美波が顔を上げる。

 

「この間の…返事なんだけど」

 

麻衣は美波の目を真っ直ぐに見つめ、

ゆっくりと言葉を紡いだ。

 

 「私と…つき合ってみる?」

 

瞬間、美波の大きな瞳が、

信じられないというように見開かれた。

 

そして、

次の瞬間にはみるみるうちに涙が溢れ出し、

それは喜びの雫となって頬を伝った。

 

「…はいっ…!はいっ…!」

 

 何度も頷きながら、

美波は麻衣の手に自分の手を重ねた。

 

その手は震えていたが、力強かった。

 

言葉はいらなかった。

 

どちらからともなく顔が近づき、

唇がそっと重なる。

 

最初は触れるだけの、

確かめるようなキス。

 

やがて、それは互いの想いを伝え合うように、

少しずつ深くなっていく。

 

美波の涙のしょっぱさと、

紅茶の甘い香りが混ざり合った、

忘れられないキスだった。

 

長いキスが終わると、二人の間には甘く、

少し気まずいような空気が流れた。

 

「…あの、さっき色々あって…

汗かいちゃったから、

シャワー借りてもいいかな?」

 

 麻衣が照れ隠しのように言った。

 

 「もちろんです! どうぞ使ってください!」

 

 美波が慌てて立ち上がろうとするのを、

麻衣はそっと制した。

 

「ありがとう。

…もし、美波ちゃんがよかったらだけど…」

 

 麻衣は少し躊躇いがちに続けた。

 

 「…一緒に入る?」

 

美波の顔が、

驚きと喜びで真っ赤に染まった。

 

 「…はいっ! 一緒がいいです…!」

 

弾けるような笑顔だった。

 

浴室は、湯気で白く煙っていた。

 

シャワーの音が心地よく響く。

 

先に服を脱いだ麻衣の、

月光を浴びた彫刻のように

滑らかで美しい裸体が、

湯気の中にぼんやりと浮かび上がる。

 

美波は息を呑み、

その完璧な曲線美に見惚れていた。

 

 「どうしたの?」

 

 麻衣が優しく微笑みかけると、

美波は恥ずかしそうに俯きながらも、

ゆっくりと自分の服に手をかけた。

 

やがて、

二人分の柔らかな肌が

シャワーの下で触れ合った。

 

湯気と水の飛沫の中で、

互いの体温がじかに伝わってくる。

 

麻衣は美波を優しく抱き寄せ、再び唇を重ねた。

 

水の音が二人の吐息と重なり合い、

浴室を満たすのであった・・・・

 

麻衣は美波の全てを受け止めるように、

そして美波もまた、麻衣の愛に応えるように、

互いの温もりの中で深く、

そしてどこまでも優しく溶け合っていった。

 

それは、恐怖を乗り越え、

ようやく結ばれた二人の、

美しく、そしてかけがえのない愛の交歓だった。