黒い羊ー夕暮れの影ー16 | じゅりれなよ永遠に

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じゅりれな・坂道小説書いてます。

その夜、玲奈は友梨奈を呼び出した

 

いつものカフェで友梨奈を待っていた。

 

カフェの窓から見える夜景は、

数日前と変わらず美しかったが、

玲奈の目に映る景色は、

モノクロに彩られ、何か灰色がかっていた。

 

やがて、カフェのドアが開き、友梨奈が現れた。

 

以前と同じく、クールで美しい女性。

 

しかし、玲奈には、友梨奈の表情が、

別のものに見えた。

 

それは、深い悲しみを抑えるような、

そんな表情だった。

 

「玲奈さん、お待たせしました」

 

友梨奈は、

静かに玲奈の向かい側の席に腰を下ろした。

 

そして、以前の笑顔ではなく、

誠実な表情で、玲奈に視線を向けた。

 

「話しましょうか、全てを」

 

友梨奈の声は、ひどく落ち着いていたが、

その奥に、確かに苦悩の色が見えた。

 

玲奈は静かに頷いた。

 

そして、長かった夜が、

ようやく明けようとしていた。

 

しかし、その夜明けは、

果たして希望に満ち溢れたものなのだろうか。

 

それとも、さらなる闇への入り口なのだろうか。

玲奈には、まだ分からなかった。