その夜、玲奈は友梨奈を呼び出した
いつものカフェで友梨奈を待っていた。
カフェの窓から見える夜景は、
数日前と変わらず美しかったが、
玲奈の目に映る景色は、
モノクロに彩られ、何か灰色がかっていた。
やがて、カフェのドアが開き、友梨奈が現れた。
以前と同じく、クールで美しい女性。
しかし、玲奈には、友梨奈の表情が、
別のものに見えた。
それは、深い悲しみを抑えるような、
そんな表情だった。
「玲奈さん、お待たせしました」
友梨奈は、
静かに玲奈の向かい側の席に腰を下ろした。
そして、以前の笑顔ではなく、
誠実な表情で、玲奈に視線を向けた。
「話しましょうか、全てを」
友梨奈の声は、ひどく落ち着いていたが、
その奥に、確かに苦悩の色が見えた。
玲奈は静かに頷いた。
そして、長かった夜が、
ようやく明けようとしていた。
しかし、その夜明けは、
果たして希望に満ち溢れたものなのだろうか。
それとも、さらなる闇への入り口なのだろうか。
玲奈には、まだ分からなかった。