月が雲に隠れる夜 21(終) | じゅりれなよ永遠に

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じゅりれな・坂道小説書いてます。

病院に到着すると、

友梨奈は理佐を抱きかかえながら

急いで救急室に駆け込んだ。

 

医師たちはすぐに理佐を治療室に運び込み、

緊急手術の準備を始めた。

 

友梨奈は待合室で祈るように手を組み、

理佐の無事を願った。

 

時間が経つにつれ、

彼女の心は不安と希望で揺れ動いていた。

 

数時間後、医師が待合室に現れた。

 

「手術は成功しました。

理佐さんは一命を取り留めましたが、

しばらくは集中治療室での

経過観察が必要です。」

 

友梨奈は安堵の涙を流し、

医師に感謝の言葉を述べた。

 

「ありがとうございます。本当にありがとうございます。」

 

だが、すでに警察が病院に来ており

友梨奈は理佐と面会することは叶わず

逮捕されたのだ。

 

 

それから2年後・・・

 

友梨奈は理佐の証言で

誘拐罪と殺人罪は成立せず

過失致死罪で2年服役したのだ。

 

出所した友梨奈は

夜の公園の桜の木の下に来ていた。

 

辺りは静かであった。

 

友梨奈は桜の木の下で立ち止まり、

深呼吸をした。

 

春の風が彼女の髪を優しく揺らし、

桜の花びらが舞い落ちる。

 

彼女の心は、過去の出来事と

新たな始まりの狭間で揺れていた。

 

「理佐、元気にしているかな…」

 

友梨奈は心の中で呟いた。

 

その時、

見覚えのある姿が目にはいってきた

 

理佐が桜の木の下で待っていたのだ。

 

友梨奈の心臓が一瞬止まったように感じた。

 

理佐も友梨奈に気づき、

嬉しそうな表情を浮かべた。

 

彼女はゆっくりと友梨奈の方へ歩み寄った。

 

「友梨奈…」

 

理佐の声は震えていたが、

その瞳には喜びが溢れていた。

 

「理佐…久しぶりだね。」

 

友梨奈は微笑みながら答えた。

 

二人はしばらくの間、

言葉を交わさずに見つめ合った。

 

過去の痛みや悲しみが、

今この瞬間に溶けていくようだった。

 

「元気だった?」

 

友梨奈が尋ねると、理佐は頷いた。

 

「うん、あなたがいなくて寂しかったけど、

なんとかやってこれたよ。

でも、あなたが戻ってきてくれて本当に嬉しい。」

 

理佐の声には、再会の喜びが滲んでいた。

 

「私も、理佐。君に会いたかった。」

 

友梨奈は理佐の手を取り、優しく握りしめた。

 

「これからは、もう離れないからね。

 なにがあっても貴方の傍にいるからね」

 

理佐は涙を浮かべながら言った。

 

「うん、わかった。」

 

友梨奈も涙を浮かべながら答えた。

 

二人は桜の木の下で抱き合い、

再び一緒に歩き出すことを誓った。

 

過去の痛みを乗り越え、

新たな未来を共に築いていくために。

 

月が雲に隠れる夜

友梨奈と理佐は手を取り合い、

未来への一歩を踏み出した。

 

彼女たちの心には、再び巡り会えた喜びと、

新たな希望が満ちていた。

 

二人は静かに唇を重ね合わせた。

 

この瞬間が永遠であるかのように

二人は幸福感で包まれるのであった・・・

 

 

  FIN