Pure Love 16 | じゅりれなよ永遠に

じゅりれなよ永遠に

じゅりれな・坂道小説書いてます。

(平手友梨奈side)

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突然、私の頬に感じた温かさに、

私は驚きとともに動揺を覚えた。

それは理佐からのキスだった・・・

 

「タイム!!いきなりすぎだよ。

覚えてない!もう1回お願い。」

 

私のお願いに

いたずらっ子のように微笑みながら、

理佐は呟いた

 

「だ~~め。次の試合に勝ったらね。」

 

そう、理佐が入院してから、

私は部活を10日間休み、

その間に試合があったのだが、

ものの見事に、惨敗を喫したのであった。

 

「次の公式戦は冬までないんだけどなあ~~~

 

「そのときまで、我慢我慢~~」

 

「長いよ~~~」

 

私はダダをこねた。

 

「次勝った時は、本気のキスをしようね。」

 

「え??ほんと、嘘じゃないよね?」

 

私は異様に興奮した。

 

「うん!約束ね!」

 

理佐は、小指を差し出し

指切りをしてくれた。

 

「よ~~~し、今度もがんばるぞ~~」

 

私は、はしゃぎまくった

 

「私もがんばるから・・・」

 

理佐は、物悲しい表情で呟いた。

 

そうだ、彼女は死と直面して、

今日も闘っているのではないか。

 

私はなにを浮かれているのだ

 

「ごめん・・・少し浮かれ過ぎたよ。」

 

「なに、謝ってるのよ。今日もすごく楽しいよ!」

 

理佐はニッコリほほ笑んだ。

 

そして、彼女は、

首を傾け私の肩に顔をもたれさせてきた。

 

「温かい・・・友梨奈はほんとに温かいよ。

このまま、ずーと、こうしていたいよ。」

 

理佐の頬に涙がこぼれていく。

 

おそらく、この2年、だれも見てない所で

何度、この涙を流したのだろうか?

 

だれが彼女を支えてあげたんだろうか?

 

それを思うと居たたまれなくなり、

胸がくるしくなるのが実感できた。

 

「理佐!私のまえでは強がらないで、

弱いとこ見せていいよ

私は何もかも受け止めるから。」

 

その決意に嘘はないよ。

 

私は理佐の為ならなんでもできる。

 

「理佐・・・私ね・・・私ね・・」

 

すでに涙声だった。

 

「私ね…死にたくないよ。

友梨奈といつまでも一緒にいたいよ~~!」

 

初めて彼女が

弱いところを私にさらけ出してくれた。

 

私は、なにも言わず、

 

ただ、彼女の肩を抱きしめ、

頭をなでてあげることしかできなかった。

 

たまに吹く気まぐれな潮風が

涙で濡らした頬に寒さを感じさせてくれる、

そんな穏やかな午後の出来事であった。