そして、12月24日がやってきた・・・
私は仕事を終えて午後23時に
待ち合わせの駅の構内にきていた。
21時過ぎから雪が舞っており、
その景色がなんだか
寂しさを感じさせていたんだ。
すると、友梨奈が現れたんだ。
私を見つけると笑いかけてくれて、
白い息がみえる。
「理佐~~ごめん!まった?」
「全然!友梨奈、
少し痩せたんじゃないの?ご飯食べてる?」
「なに言ってるの!それはこっちのセリフよ!
理佐こそ少し痩せたよ!
あんまり、自分を追いこんだらだめだよ。」
友梨奈は
子供に言い聞かせるような感じで言った。
そう、私は友梨奈が女優として売れているので
早く追いつきたいと焦っていたんだ。
「気楽にいこ!理佐の頑張りは
みんなに伝わっているから。」
友梨奈の言葉に私は癒されている・・・
痺れた足が治って行く感覚がしたんだ。
「うん・・・肩の力がぬけたよ。」
友梨奈はその言葉に笑顔になったんだ
話したいことが沢山あったのに・・・
本人を目の前にして
私はなにもしゃべられずにいたんだ。
そうだ!プレゼントを渡そう!
「友梨奈・・・これ、プレゼント。」
私は用意していた赤い紙で
ラッピングされたプレゼントをポケットから取り出した。
「え??私に?ありがとう。」
「開けてみて。」
私達は駅のベンチに腰掛け、
友梨奈は丁寧に
ラッピングペーパーをはがしていく。
「わぁ~かわいい、イヤリング。ありがとう!」
私が送ったのは星型のイヤリング。
友梨奈は早速つけてみる。
喋るたびにイヤリングが揺れて、
友梨奈を可愛く演出していた。
そして私は
友梨奈のコートのポケットに
手をいれて互いの手で温めあいながら、
今している仕事の話しに花を咲かせた。
そして、時計の針が23時50分をさした・・・
「58分になったら、
電車が来るからそれに乗って帰るね。」
友梨奈が呟いた。
「もう、そんな時間なの・・・はやいよ」
私は途端に寂しくなった。
友梨奈は基本、仕事でない限り夜更かしは
しない主義なんだ。
私はタクシーで帰るんだけど、
友梨奈は
このまま電車に乗って帰る見たいなので
私達は電車を待つことに。
ふと空を見上げると雪がやみ、
星が顔をのぞかせていた。
やがて、電車が到着して
友梨奈は車両に乗り込む。
「じゃあね、理佐。来年もよろしくね!」
「友梨奈!またね。ず~と好きだからね。
私は永遠に友梨奈が好きだからね。」
私がそう言ったら、無情にもドアが閉まる。
すると、友梨奈はニッコリ笑って
ドアのガラスに息を吹きかけて、
無限大のマークを描いてみせた。
電車はその瞬間に発車した。
友梨奈がどんな気持ちで
あのマークを描いたかは知らないが、
私には“理佐への愛は無限大だよ!”と
言ってくれていると解釈したんだ。
空を見上げると、顔を覗かした星達が
「シンデレラに会えてよかったね」
と喜んでくれている・・・そんな気がした。
クリスマスの夜の出来事だった・・・