ガラスを割れ ~暗闇の中の絆~5 | じゅりれなよ永遠に

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タワーマンションの光が

白石麻衣を包み込んでいた。

 

彼女は部屋のドアを静かに開け

男性の部屋に入る

 

男性は防衛大臣の木下。

今回の暗殺の的である

 

彼はソファに座って、ワイングラスを手にしていた。

 

「君みたいな美人が来てくれてうれしいよ。」

 

木下は笑顔で彼女を迎えた。

 

木下が頻繁に使用している高級売春クラブから

今日の21:00に女性が派遣されることになっており

 

麻衣はこの派遣されてきた女性を

入り口で薬を嗅がせて気絶させて入れ替わったのだ

 

すでに酔っぱらっている木下は

パネルで指名した女性ではないことに

全然気ずいていなかった。

 

いや、むしろ麻衣の美貌に見とれていたのだ

 

麻衣は微笑んで、木下の隣に座った。

彼女は指輪に仕込んだ毒針を隠し

機会を伺っていた。

 

「このワイン、美味しいですね。」

 

麻衣はワイングラスを持ち上げた。

 

木下も同じく乾杯した

 

「君は本当に美しい。」

 

木下は彼女の手を握った。

 

「今日はずーと一緒ですよ。」

 

麻衣は彼の目を見つめていた

 

「もちろん、ずっと。」

 

木下は幸せそうに彼女を抱きしめる

 

その瞬間、麻衣は右手の中指に

はめている指輪に仕込んだ毒針を

木下の首に刺したのだ。

 

木下は驚いた表情で首をおさえて立ち上がった

 

「何をした?痛いじゃないか。」

 

「ごめんなさい。痛かった?

でもあなたの指示で殺された人々も

痛みはこんなもんじゃないわ」

 

「なにものだ・・・おまえは・・・」

 

木下は後ずさりした。

そして、スマホを握ろうとしたが

突然血を吐いて倒れたのだ。

 

「・・・何を・・・し・・た」

 

「自分の犯した罪を悔いて死んでいくといいわ」

 

麻衣は静かに囁いた。

 

やがて木下は息絶えた

 

麻衣は冷静に毒針を指輪に直し

部屋を後にした。