理佐は友梨奈の異変に気づいていた。
新太郎が帰った後
部屋にもどり友梨奈を呼んだ。
3人がけのソファーに
ふたり並んで会話を始める。
「お父さんのこと知ってるの?」
理佐は友梨奈の顔を見つめて聞いた。
「わからないの・・・
なにか昔に会った気がしただけなの
気のせいかもしれないけど・・」
理佐は友梨奈の記憶が戻って、
ここを出て行かれることが一番心配であった。
「記憶が戻りそうなの??」
「なにも思い出せないから大丈夫よ、
今日は寝るね。」
友梨奈は理佐の部屋を出ていった。
友梨奈もまた、記憶がもどることで
理佐との関係が壊れるのではないかと
不安が襲った。
もし、自分に帰る家があり
家族が待っていたらどうしよう。
もし、記憶がもどり
今の記憶が消えたらどうしよう。
友梨奈は理佐との別れに怯えていた。
しかし、その恐れが現実となる日が
もうすぐそこまで迫っていたのであった。