やがて、退院まで2日と迫った夜のことだった、
理佐もお母さんも帰り
私が一人で病室にいた時だった。
見覚えのある男性が
私の見舞いに訪れたんだ。
そう、理佐のお父さんである
渡邉秀喜さんだ。
秀喜さんは、現在、
商社の仕事でアメリカに滞在している。
高校時代よく、
理佐の家に遊びに行っていたので
たまに顔を合わせて、
挨拶程度は交わしていたんだ。
「平手さん、久しぶりです。」
「あ、理佐のお父さん・・・」
私は突然の訪問に驚いていた。
なんせ、理佐がケガをして
植物状態で入院している時も結局2回しか
見舞いに来なかったのに
私の所に訪れたからである
「理佐がお世話になっています。
平手さんも大変な目にあいましたね。」
「もう、明後日には退院できますから、
心配ないです。」
「それは、よかった・・・」
「あ・・・どうぞ、座って下さい。」
私は秀喜さんにイスに座るように促した。