病室の受けつけ前に葵が立っていた。
「葵・・・“ねる”はどうなの??」
「安心して、発作的に手首を切ったんだけど
傷は浅いから明日には退院できるそうよ。」
「そう、よかった・・・
でもなんで葵ここにいるの??」
「私が“ねる”の部屋にいる時に
自殺を図ったのよ。」
「え???」
「“ねる”は
あなたとよりを戻したがっていたのは
齋藤さんと別れたことだけが
原因じゃないの。
別れた1週間後に
“ねる”のお母さんが男を作って、
家出したらしいの。
“ねる”はお母さん子だったから、
ショックが大きかったの。
だから、あなたに頼ったんでしょうね。
寂しくて辛くて
どうしょうもなかったんだよね。」
一緒だ・・・
高校時代の私と一緒だ・・・
両親のケンカに耐えられず、
何時も友梨奈に助けを求めていた
それがやがて友梨奈の重荷になり
私たちは別れることになった。
「今日も私が代わりに一緒にいたんだけど
やっぱり、私では役不足だったみたいね。」
「“ねる”のお父さんは?」
「仕事で、九州だそうよ。
“ねる”が無事だと伝えるとよろしくって
電話を切られたわ
“ねる”は孤独なんだよね。」
そうか、そうだったのか・・・
私が孤独な時、
“ねる”が私を救ってくれたんだ。
それなのに私は自分の幸せを優先して
“ねる”をあまりにもあっさり
拒絶してしまった・・・
私は最低だ・・・
でも、ここで”ねる”に手を差し伸べたら
友梨奈を深く傷つけることになる。
私はどうしたらいいのだろうか・・・