訪ねてきた理佐に
私は声をかける。
「とにかく寒いから中に入って!」
私は台所にテーブルのイスに
理佐を座らせ、熱いお茶を差し出し
彼女の前に座った。
理佐はまるで大切な人を失ったような
悲壮な顔をした。
「ごめんなさい・・・こんな真夜中に・・・」
理佐は弱々しい声で発言した。
「いいよ、気にしないで」
きっとなにか辛いことがあったんだ
それで私の所へ来てくれたなんて
すごく嬉しい
でも、あせっちゃだめだ。
なんせ、
私は理佐のことはなにも知らないんだ
「よかったら今日泊っていってよ
あ・・・勘違いしないでよ
なにもしないから、雨宿り程度に
考えて泊まってくれたらいいから。」
「え??でも・・・」
「家に帰りたくない事情ができたんでしょ?
気が済むまでここにいてくれていいから。
さあ、ねよう。」
私は理佐をベッドまで連れていった。
「布団が一つしかないから、
私もベッドで一緒だけどいいかな?」
「うん・・・」
理佐は頷いた。
私は深い事情は一切きかなかった。
私達の関係は風俗嬢と客
だから、私からは
深く立ち入ってはダメなんだ。
ベッドに入ると理佐は半身になり
私にしがみついてきた。
「こうして、寝てもいいかな?」
「うん、いいよ」
理佐が悲しい思いをしてここにきたのに
不謹慎なのは分かっている。
でも、こうして
私の部屋に泊ってくれるのは
正直、嬉しい。
理佐は疲れていたんだろうか
ものの10分で眠りに落ちた。
私は寝るのが勿体ないので
彼女のホッペに触れながら
顔をジーっと眺めていた。
時が止まってくれれば・・・
そう願わずにはいられない夜だった。