花火が終わると私達は風間さんのおごりで
かき氷を食べたんだ。
そして、暫く3人で立ち話をすることに。
考えてみれば、こんなにゆっくりと
3人で話すことは初めてかもしれない。
よし、ここは5年前のお詫びもこめて
今の風間さんの状態を確認しよう。
「ねえ、俊ちゃんは
新しい彼女は出来たの?」
「なんだよ。いきなり。」
風間さんはかき氷を食べる手を止めた。
玲奈ちゃんも興味深く聞き入っていた。
「いやぁ~~今年も
一人だから気になったの。」
「まだ、一人だよ。」
その言葉を聞いた玲奈ちゃんは
安心した顔になる。
「なんで、前の彼女と別れたの??」
「ちょっと、友梨奈!俊輔さんに失礼よ。」
玲奈ちゃんは私の上腕を掴んで言った。
「ははは、いいよ、
もう1年以上も前の話だから、
浮気されたんだよ。彼女に。」
「え??」
玲奈ちゃんは風間さんの顔を見つめた。
風間さんは静かに過去の話をするのであった。
「浮気相手は俺の友達だったんだよ。
罪悪感から彼女の方から
俺に打ち明けたんだよ。
そして、許してほしいと言ってきた
でも俺は許せなかったんだよ。
彼女が泣いて懇願しているのに
俺はたった一回の過ちを
許して上げられなかった。
器の小さい男だよ・・・」
風間さんは、悲しそうな目をしていた。
まさか、彼女の浮気が原因だったとは
重い話になってしまい、
私は返答に困っていた。
「俊輔さんは悪くありません!!」
玲奈ちゃんが急に声をあらたげた。
私と風間さんはびっくりして
玲奈ちゃんを見た。
「例え1回でも
俊輔さんを裏切ったんですよ。
俊輔さんが許せなくなる気持ちが
よくわかります。
俊輔さんは間違ってません。」
玲奈ちゃんは威風堂々と言ってのけた。
すると風間さんは
優しい笑みを浮かべ言ってのける
「ありがとう…玲奈、
俺…だれかにそう言って欲しかったんだ、
自分の出した結論に間違いがないことに。
玲奈のお陰で、前に進めそうだよ。
こんど、彼女を見つける時は玲奈みたいな
女性を探すよ。」
風間さんは悪気はなかった・・・
いくつになっても、
彼からみたら私達は子供なんだ。
恋愛対象には見ていない。
それが私にも分るぐらいだから
当然玲奈ちゃんもそう感じとっていた。
私が玲奈ちゃんの顔を見ると
切ない表情をしていたんだ。
そんな顔をしないでよ・・・
私の胸が締めつけられるよ
この想いを玲奈ちゃんに打ち明けたい…
でも、それは無駄なことを思い知らされた。
玲奈ちゃんは風間さんを愛している。
それが、今日、十分すぎるほどわかったよ。