泣きやみ、落ち着いた友梨奈は
ソファーに座り小さな声で話し出した。
「私ね・・・乳癌なの・・・
もう、リンパにも転移していて、
長く生きられないの。」
理佐は覚悟していたのだろうか
その言葉に動揺することなく
受け入れることができたのだ。
「この病気が発覚したのが今年の2月なの
その時には、もう・・手遅れで・・・
余命半年って言われたの・・・
だから、学校に行く気になれなかったの
でも、勉強はしなさいとお父さんが言うから
家庭教師をつけて貰うことになって、
来る人みんなに八つ当たりしていたの・・・」
そう、友梨奈の精神が不安定になった理由は
乳癌になり余命を宣告され
それでも家族は誰一人心配していないからである
理佐は下を向いて悲しんでいる
友梨奈の顔を見つめて言葉を発した。
「友梨奈!!残りの時間・・・
私にくれないかなあ」
「え????」
「残りの時間・・・
私が絶対に友梨奈を幸せにするから。
私と一緒に暮らそう。」
その言葉に友梨奈は理佐に寄り添い
再び泣きだしたのだ。
「狭いアパートだけど、
友梨奈一人ぐらい住めるから」
「でも・・・」
すると、玲奈が
ドアを開けて入ってきたのだ。
「友梨奈様、お言葉に
甘えてはいかがですか?
私が旦那様にお話ししておきますから・・」
玲奈が優しい笑みを浮かべた
「うん、私、理佐と一緒に暮らすよ!
いや、暮らしたい。」
「明日迎い来るから、準備しておいてね」
理佐にショックはなかったのだ・・・
いや、ショックをうける暇が
なかったのかもしれない・・
それよりも残された時間、
輝かしいものにしてあげたいと思ったのだ。