理佐は玲奈に案内されて、
エレベータにのった。
(自宅にエレベータがあるの?凄い・・)
乗り込むと玲奈は3階のボタンを押す。
理佐はある意味感動してしまった。
ゆっくりとエレベーターが動き、
玲奈が理佐の顔を見ずに話し出す。
「お嬢様は少し個性的ですが、
根はやさしい方です
どうかよろしくお願いします。」
言い終えると丁度3階に到着する。
玲奈がドアを手で止め、理佐が先に降りる。
そして、少し歩き部屋を2つ通過して
一番奥の部屋に案内される
玲奈は2回ノックする。
「友梨奈様。お連れしました。はいりますね。」
玲奈がドアを開けて理佐を誘導する。
「さあ、どうぞ。お入りください。」
理佐が先に部屋に入る。
(わあ~~広い部屋!!
いいなあ・・私もこんな広い部屋がほしい。)
理佐が部屋を見渡すと
白いソファーに座りながらTVを
見ている少女がいた。
そう、彼女がこの家の娘
平手友梨奈17歳であった。
「友梨奈様・・・こちらが新しい
家庭教師の渡邉理佐さんです。」
玲奈が右手を添えて紹介した。
「わ・・・渡邉理佐です。
よろしくお願いします。」
「また、違う家庭教師雇ったの?
どうせ、すぐ辞めるのに。
お父さんも懲りないね。」
友梨奈はTVから視線を外さずに言った。
(え???そんなに、
みんな直ぐに辞めてるの??
私なんか無理にきまってる・・)
理佐は早くも怖気づいたのだ。
「週2回・・・17時~19時まで
理佐さんに来て頂きます。
友梨奈様よろしいですね!」
「わかったよ・・・
まあ、1日でも長くいれるといいね」
友梨奈はようやく、
理佐のほうを見て言った。
理佐は
愛想笑いをすることしかできなかった。
(前途多難だな・・・・・・・)
友梨奈の部屋を後にし、
玄関まで見送られる途中に
理佐は訊ねた。
「前の家庭教師の方々はそんなに
早くに辞められたのですか?」
「そうですね・・・長くて一カ月
あとは2週間以内ですね。この半年で
10人もお辞めになりました。」
相変わらず無表情で淡々と話す玲奈である。
「そうですか・・・・」
理佐は絶望的な顔になる。
「ご主人様からの申し出ですが、
1カ月続ける毎に3万の
ボーナスを出すそうです。
どうか、頑張ってください。」
(え???一か月毎に3万。
1年で36万・・・よし、がんばろう!)
理佐は打算的になった・・・
理佐は幼い頃に事故で両親を亡くし
現在は一人暮らしで
奨学金をもらい大学へ通っている。
とにかく、普通に
家庭教師を続けることができれば
3万もらえるのだから、
理佐はモチベーションが上がり
なんとか頑張ろうと決心するのだった。