今日は大学での予定は
ゼミでの勉強会だけである。
玲奈達は3回生になり、
ゼミナールに入らなければならない。
当然、珠理奈と玲奈は同じゼミに行き
赤西もついてきたのである。
珠理奈達が入ったゼミは
中世の日本文学の研究で
3回生と7名、4回生8名の
計15名が所属している。
担当教授が立花といい、
角刈り頭の50代後半の男性で
声が渋いのが特徴である。
今日は教授の部屋で
各自レポートの作成日であった。
担当教授の立花が【徒然草】について
独自の観点から見解を生徒達に熱弁していた時
珠理奈はこの中に玲奈を狙うものがいるかもと
集中して様子を伺っていた。
「考えすぎだよ。」
隣に座る玲奈が小声で話しかけた。
「え??」
「いくらなんでもそう都合よく
私の周りの人が稲垣先生を
崇拝しないよ」
たしかに玲奈の言うとおりである。
少し稲垣の言葉に
過敏になりすぎたと思う珠理奈である。
「そうだね、私は少し稲垣の言葉に
過剰に考えすぎていたかもしれないね。」
珠理奈は少し肩の力を抜いたのだった。
珠理奈は立花の話に耳を傾向けながら
レポートの作成に励むのだった。