強がり時計 ~失われた恋~ 14 | じゅりれなよ永遠に

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じゅりれな・坂道小説書いてます。

そして、次の日の夜に私は

喫茶店で坂口さんと会っていた

 

「坂口さんは今何を?」

 

「僕は、普通に東京で大学に通っています。

 こちらでは一人暮らしをしています。」

 

「どうして、友梨奈の居場所が

わかったのですか?」

 

すると坂口さんは自分のスマホを

とりだし一枚の写真を見せた。

 

なんと、友梨奈が“LOOP”で

演奏しているときの写真じゃないか・

 

「SNSに投稿されているのを発見したのです

 友梨奈はサックスの仕事を

 しているのではないかと

 まれに探していたんです」 

「そうだったんですか・・・」

 

「高校時代にあの事件があった時

 友梨奈は苦しんでいました。

そして、僕は何もできませんでした・・

自分の無力さに腹が立ちました。」

 

わかるわ、その気持ち!

 

私がそうだったもの・・・

 

この人・・今でも友梨奈を愛しているんだわ

 

「坂口さん・・・私が知っている

 友梨奈のことを貴方にお話ししますね。」

 

「お願いします。」

 

坂口さんは姿勢を正しながら

訊いていた。

 

私は友梨奈が

加害者である長谷川和美さんの

お父さん、長谷川博巳さんのところで

暫く演奏をしていたこと。

 

それが妻の美和さんが知ることとなり

騒動が起きて

私が階段から突き落とされたこと

 

そして、アメリカへ1年半修行にいってい

たことを簡潔に話した。

 

ただ、私と友梨奈の恋愛については

伏せていた・・

 

「そうだったんですか・・・

 友梨奈は苦労してたんですね。」

 

坂口さんは下唇を噛んだ。

 

友梨奈に急に去られた後、

友梨奈の辛い気持ちを理解してませんでした

 どうか、一度

 友梨奈に合わせてもらえませんか?」

 

坂口さんは懇願するような目で

私を見た。

 

「はい、私もそれがいいと思います。

こちらから連絡します。」

 

「お願いします。」

 

坂口さんは深々と頭を下げる。

 

私は坂口さんと別れた後に

ゆっくりと一駅分歩いていた。

 

もう、友梨奈は

すっかり過去とは決別出来たと思っていたけど

 

私の早合点だったよね・・・

 

友梨奈にはまだまだ私の知らない

癒えていない沢山の傷があるに違いない・・