私は振り向き友梨奈を見上げた
友梨奈の涙が
風に運ばれ私の頬を濡らしていた。
「友梨奈・・・」
「玲奈さん・・・
ごめんなさい。
私と・・・
私と・・・別れて下さい。」
友梨奈から想定していなかった言葉が出て
私は固まってしまった。
「玲奈さんの苦しむ姿を
これ以上見てるのが辛いんです。
本当にごめんなさい。」
友梨奈は深々と頭を下げた。
そっか・・・
そうだよね。
もう、友梨奈は
精神的に限界に来ていたに違いない。
友梨奈を開放してあげないとね。
「よしてよ、頭をあげて。
友梨奈が謝る必要はないよ。
友梨奈と生活できて
本当に楽しかったよ。
こんな私に尽くしてくれてありがとう。
幸せだったよ。」
私は笑みを浮かべた。
すると友梨奈は顔をあげた。
「こんな形で去る私を許してね。」
「だから、怒ってないよ。
感謝してる。元気でね。」
「今日中に荷物は整理して、
鍵は送るから。」
「うん・・・わかった・・・」
「さよなら、玲奈さん。」
そう言うと友梨奈は振り向き
速足で去っていったんだ。
あっけないなぁ・・・
でも、仕方がない。
彼女には
自分の人生を歩んでほしい。
友梨奈が去ると
珠理奈がすぐによってきた。
恐らく、予め友梨奈は珠理奈に
私と別れることを告げていたんだろう。
珠理奈はすぐに励ましてくれる。
「玲奈ちゃん、私はなにがあっても
絶対に玲奈ちゃんから離れないから
だから、頑張ろう。」
「ありがとう、珠理奈・・・
大丈夫、頑張るから・・・
でも、本当に悲しい時って
涙がでないんだね。
私、泣きたいのに泣けないよ。」
「玲奈ちゃん・・・」
珠理奈は
言いようのない悲しげな表情になった。
短い間だったけど、
本当に幸せな時間だったよ。
私は屋上の出入り口に視線をやり
去って行った友梨奈の残像を映し出した
友梨奈・・・貴方と出会えて幸せだったわ。
例え別れても
貴方との思い出は消えないから
私はそれだけで十分だよ。
貴方のことは忘れないからね。
友梨奈・・・ありがとう。
木枯らしが吹く中
私と友梨奈の恋が終わったんだ。
To be continued