そして、午後5時を回った頃
珠理奈が帰り仕度にはいる。
エプロンをとり、ロッカーへ行こうと
した時だった。
店のドアが開いたのだ。
そこには今にも泣きそうな
飛鳥の姿が
それを目にした珠理奈は
ことの成行きを理解した。
「珠理奈さん・・」
飛鳥は珠理奈の胸に飛び込んで
泣きじゃくった
「飛鳥・・・」
珠理奈は飛鳥の頭を撫でた。
「駄目でした・・彼・・
彼女がいるんですって・・
珠理奈さん・・
失恋って辛いですね・・」
飛鳥は珠理奈に抱きしめられながら言った。
「そうだね・・・
でも、飛鳥は偉いよ。
堂々と自分の本心を言えたんだから。
今は気が済むまで泣きなよ」
飛鳥は珠理奈の腕の中で約30分間
泣き続けたのだった・・・
落ち着きを取り戻した、
飛鳥は静かな口調で話し出す。
「珠理奈さん・・ありがとうございます。
いてくれたおかげで、辛さが半減しました
また、明日からがんばります。」
李苑に笑顔が戻った。
「うん、お互いがんばろう。」
珠理奈も笑顔で返す。
「失恋記念日だな、飲めよ・・・」
仲居がグラスに
はいったグレープフルーツジュースを
二人に差し出した。
「ありがとうございます。」
そう言って、珠理奈と飛鳥が
ジュースを飲む。
「酸っぱい・・」
飛鳥が顔をしかめる。
「これ、果汁100%ですね」
珠理奈が飲み干した後に顔を
しかめる。
「いつかきっと、これが
甘く感じるときがくるよ」
仲居が笑う
「ほんとかな・・
マスターって
結構いい加減だからな・・・」
珠理奈はコップを机に置き言った。
「そりゃ、ないだろ・・・」
仲居が拗ねる。
それを見た飛鳥と珠理奈が
顔を見合わせて笑う・・
今日も喫茶グリーンでは
和やかな空気が流れている・・・