翌日、珠理奈は仕事が終わると
小さなBARで一人飲んでいた。
ここの店は玲奈が珠理奈の元を
去ってから 行きつけになった店だ。
店内はカウンターしかない小さな店だ。
「今日は、いやにペースが早いなぁ。
あんまり飲み過ぎると体に悪いぞ!」
珠理奈に声をかけたのは
この店の店主である中村優一である。
珠理奈が頻繁にくるので
すっかり打ち解けた関係である。
「いいの。今日は飲みたい気分なの!」
「おやおや!荒れてるなあ!」
「ねえ!優一さん!
私ね、プロポーズされたの!」
「それはおめでとう!」
優一はグラスを拭いて棚にしまった。
「でもね、私の前に2年前に姿を消した
恋人が現われたの!」
「そいつは穏やかじゃないねぇ~~」
「そいつね、
私に結婚おめでとうって言うのよ!
ふざけてると思わない??」
「え??でも、今の彼氏と
別れろって言ったんじゃ無いんだろ?
ごく普通の言葉じゃないか!
珠理奈が荒れることないだろ・・・
え??まさか、
その前の恋人の方が
珠理奈は好きなのか!」
「だれも、そんなこと言ってないでしょ!
おかわり!」
珠理奈はグラスを差し出した。
「はいはい!」
結局、珠理奈は
2時間も優一に愚痴っていたのだ。
もう、玲奈とは過去の関係、
今は三宅とのことを
真剣に考えなければならない。
でも、玲奈との再会が
珠理奈の心を大きく揺れ動かしていた。
だが、そんなある日・・・
悲劇は起こるのであった。