僕は草津温泉の小さな医院で育った。夜遅くまで賑やかな温泉の町の病人や怪我人の治療にあたる様子を見てきた。

私は幼いなりに過疎地の医師として働くことを使命に考えてきた。

漫画 #ブラックジャック#土砂降り のようなストーリーを憧れていた。それが僕が小学校を卒業して、1人で前橋に下宿をして学んできた理由だった。残念ながら医学部浪人の末に文系の大学へ転身したのだが…

医院に掲げられた「優生保護法指定医」の看板は、今も鮮明に覚えている。

 

優生保護法は憲法違反であり国に賠償を命じる判決を受けての担当大臣の記者会見を見た直後だったので参加したかったが昨日の加藤大臣の前橋でのミーティングは残念ながら行けなかった。

新しい生命を迎えると言う事は尊いことだと思うし、どのような医学的な見地に基づき精神や知的障害からの優生の程度の判断してきたのかは私にはわからないが、それでも新しい命を大切にしたいと言う願いが法律によって認められなかったとことは許されるものではありません。

(法には出産における母体の健康を守ると言う意味もあったとの事を加えておきます。)

昔、らい予防法が不治の病であり、そして遺伝や伝染性への恐れから多くのらい患者が強制に隔離されたことと重なる。

•テクノロジーのや医学の進歩と

•社会が多様性と寛容さの広がり

によって、個人が尊厳を持って暮らせる社会が来るはずだ。

その大きな気づきを与えてくれた裁判の結果を受けての加藤大臣の記者会見において「総理から指示を受けて、被害者の方々と速やかにお会いし保障について対応したい」と話された。「個性を尊重される社会の推進に向かって進んでいこう」とのメッセージも発表された。しかし原稿を読むだけでなく、ご自身の考え方に触れて欲しかったと感じている。

記者の質問に対しても

「国会と相談しながら進めていく」

「総理の指示を仰ぐ」との言うメッセージ以上には拡がらなかったことも合わせて残念です。

 

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今、私が言ったように、テクノロジーや医学の進歩と社会の多様性がどんどん広がっている。だからこそ大臣を務める政治家には新しい社会の形について大いに語って欲しかった。

何しろ特に医学的なテクノロジーであるDNA解析などが僕たちが今まで触れえなかった世界に広がっている。中国の研究者がデザインベイビーを発表し世界からの批評を浴びた。一方ではDNAの検査による将来の病気リスクを予防する仕組みも実用されている。アンジェリーナ・ジョリーさんが乳がんの予防のための切除を行ったのもその一例だ。

受精卵のDNA操作によるリスクヘッジということが倫理的に認められるのか?そんな大きな選択が社会に迫られる。その社会のリーダーにある政治家がいかなる倫理観を持っているのかそしてどんな社会を目指しているのかをお話しいただく機会があればと願っている。