トーシャ・シルバー著
「私を変えてください」より
トーシャは15年ほど前、胸を弾ませながら、友達とメキシコに旅行に行った。
到着すると、彼女たちは相乗りタクシーに乗り込み、街に向かった。
ひとりのアメリカ人が、トーシャたちを見て言った。
「はじめてこちらに来たの?あらまあ、今くるとは残念ね。街はもう廃れちゃて、10年前にくるべきだったのよ。あの時は素晴らしかったから、もう遅すぎね」
それから彼女は5分間、トーシャたちがいかに極楽を体験するチャンスを逃したかをくどくどと語り続けた。ついにトーシャはうんざりした。そして、できるだけ優しさをかき集めて彼女を見て言った。
「私たちは、今、ここにいるんです。あなたが言う、10年前にここにいることにはなってなかったんです。今が私たちのタイミングです。それに、私たちはたった今の状態を受け入れたいんです。いい加減やめてくれませんか」
彼女は黙った。
そして、メキシコの街は素晴らしかった。
実に多くの人が、何かしらの形で乗るべきボートに乗りそこねたのではないかと、恐れるように教え込まれている。
けれど真実は、いつどこに行こうが、そのときが、自分にとってのタイミングなのだ。
自分の運命に乗り遅れようがないのだ。
もし、その真実を受け入れるなら、もし、起こるままの人生に対して”とんでもなく全開になる”ならばそれはとても美しく、楽チンな生き方なのだ。
最愛の神よ、私を変えてください。
自分がひらいていればすべてが至高の形で起こると知り、今この瞬間をそのまま受け入れられる者に。
「このタイミングを逃したら損をしますよ」
「今ですよ、今がチャンスですよ!」
などと、よくせかされる。
売りたい方のタイミングかもしれないが、
こちらのタイミングってものがある。
そこを、流されないようにしないと。